親の影響
"Freakonomics" は、 ミクロ経済学と言うよりむしろ計量社会学とでも言う感じで、 そのある種のえげつなさが興味深かった。 例えば、親は子供に何が出来るか、どれだけの影響を与えられるか、 という統計的な研究、とか。 膨大なデータによる回帰分析によれば、 概ね、親の子供に対する影響は子供に接する前に決まってしまっているそうだ。 例えば、 家に沢山の書籍があることは子供の学校の成績と大きな相関があるが、 親が子供に本を読んであげたり、 さらには美術館に連れていったり、TV やゲームを禁止したり、 と言ったことは、 子供の成績にほとんど影響を与えない。 つまり、家に沢山の書籍がある親は、そもそも、 より高い知能を持ち、より豊かで、 より高い教育を受けている可能性が高い。 そしてそれが正の相関の原因なのだ、と。 親が子供に何をしてあげるか、ではなく、 親が既に何であるか、が子供に対する影響のほとんどだ、 と言う結論は、 誰もが心の底ではそう思っていながら、 真正面から言わないことになっているタイプの事実である。 そういうことをあらためてきっちり示されると、 スリリングであると同時にちょっと嫌な気持ちにもなる。 もちろん、この著者はさりげなく、 この嫌な気持ちを救う心遣いも見せている。 この本は今、翻訳されるとすごく売れそう。
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