Friday, February 24, 2006

二回転

昼食はオムライス。 午後は京大の金曜セミナへ。 講演者は奈良女の M さんで、 条件付き一般化拡散過程とその集団遺伝学への応用について。

普通の物体は 360 度回転すると元通りになる。 しかし、一回転では「逆」の状態になって、 二回転でようやく元通りになる、というおかしな概念を「スピノル」と言う。 数学的にはもちろん意味のある良い構造だが、 現実世界の非常に微小な構造でスピノル的なものがあるらしい。 (と言うより、 スピノルの名前は素粒子の状態の「スピン」から来ているんだったと思う、確か)。 で、このスピノルを説明するときに、 数学的に構成するだけでなくて、 実際にイメージが湧くものがあった方がいい、 と言うことであろう、 次のような例を挙げるのがお約束のようだ。

幅のある帯のようなものの一端をどこかに固定し、 もう一方の端は栞のように本に挟む。 そして、この本を帯の出ている方向を軸に一回転すると、 帯に一回転分ねじれが出来る。 さらに、もう一回転すると、もちろん二回転分のねじれができる。 しかし、ここがちょっと不思議なところだが、 実はこの二回転分のねじれは存在しないのだ。 実際、本の姿勢を変えないままに帯をくぐらせると、 この二回転分のねじれが消えてしまう。 つまり、これはスピノルなのである、と。 まあ、その通りなのだけれど、 そして初めてこれを自分で試したときには、 ちょっと驚いたのは事実だが、 何だかあまり良い例でないような気もする。 私達の身の周りに人間スケールで観察できるもので、 スピノル的なもっと良い例はないものだろうか。