Sunday, January 08, 2006

去年今年貫く棒の如きもの(虚子)

昼食はベンガルカレー。 午後は暮らしの雑用をあれこれ。 その合間の読書、「クビツリハイスクール」(西尾維新/講談社ノベルズ)。 短いものなので一時間半ほどで読了。 面白いですよ、本当に。ただ、スニーカー文庫とか、 X文庫とかから出す方が、消費者に親切ではあるだろう。 さらに、「文人暴食」(嵐山光三郎/新潮文庫)の続きを読む。読了。

一番面白かったのは、久保田万太郎の項目だろうか。 私は学生時代から万太郎の句が好きだった。 特に食べ物が読み込まれたものが好きで、 有名な、湯豆腐やら鮟鱇やら煮大根やらの凄みのある句も良ければ、 頼まれたのでさらっと詠み捨てました、 と言う感じの力の入っていない句もいい。 しかし、「文人暴食」に書かれた、 晩年になり醜い成金か、 妖怪政治家のようになった万太郎の姿を読んで、 私の句の味わい方は浅かったことを思い知った。 万太郎の真髄はやはりもっと年を取って、 老人と呼ばれるくらいにならないと分からないかも知れない。

他の項目では、幸徳秋水の母が偉い。 うーむ、昔にはこんな偉い女がいたのだなあ。 あの時代に大逆事件で死刑を待っている獄中の息子に面会して、 涙一つこぼさず「お前もシッカリしておいで」、 と言い捨てて帰るところも凄ければ、 その一ヶ月後に病死する直前、獄中の秋水に 「お前の先途を見届けぬ中は病気になぞにはならぬから、 ソンナことを心配せずと本を読んだり詩を作ったりして楽しんで居なさい」 と手紙を送った、と言うところも凄い。