油滴と霧箱
今日も寒い。 テクノコンプレックスとか言う、 ダンスミュージックの新ジャンルみたいな名前の建物に、 外国からのゲストの JR チケットを受け取りに行き、 今度は反対方向にはるばる歩いて、 生協書籍部に注文していた本を受けとりに行く。 午後は、卒業判定の会議。
実験すること自体も才能だが、 実験の方法を考えることも実験家に必須の才能である。 そう言えば、高校生の頃に物理の授業で、 「ミリカンの油滴実験」を習って、 このアイデアの巧妙さに感動したものだ。 アナクロかつ素朴な実験装置で、 電子一個の電荷という超ミクロな量を測定する方法で、 これによって人間は電子の実在を初めて認識したわけである。 私よりちょっと前の世代までは、 学生実験で時に題材にされていたように思う。 勿論、その難易度の高さからして、 学生の腕では滅多に成功しなかっただろう。
上のリンクの Wikipedia の記述で知ったのだが、 この本質的なアイデアは C.T.R. ウィルソンによるようだ。 ウィルソンは 「霧箱」 の考案者でもある。 これまた、よくぞそんなことを思いついたものだ、 と感心するアイデアだ。 こんなもので素粒子が観測できるなんて。 実験科学者はこんな途方もないことを思いついて、 しかも、それを実際に自分の手でやってのけなくてはならない (今では、実験方法だけを提案する、 というタイプの「実験科学者」も珍しくないようだが)。 実験家に対する憧れはあったものの、 私の人生のかなり早い時期に、 私には到底不可能であると認識し、 将来計画から却下されたのであった。
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