古い教科書、その2
生協食堂で昼食の後、 12 時半から「情報理論」。 Huffman コードが最適コードであることの証明、 情報源の拡大、 エントロピィの定義へのイントロ。 講義の後は、アクロスの図書室で勉強。 目標の予想から小さな問題を設定し、 これに挑戦することにした。でもあまり易しそうに見えない。 バス停の混雑がおさまるのを見計らって帰る。 夜は少し、講義の予習。
また教科書の話。 私が大学院生の頃、同級生に M 君と言う人がいた。 専門は偏微分方程式で、私とはかなりスタイルも違ったのだが、 それ故に、と言うこともあるのか、私は勝手にライバル視していた。 その M 君があるとき、院生室で小平先生の「解析入門」を読んでいた。 既に院生なのだし、M 君は極めて優秀でもあったから、 今さら微分積分の入門書を読む用事はない。 おそらく楽しみのためだったろう。 私はその本を読んだことがあるようなないような、 特に記憶にも残っていなくて、「それどう?」ときいた。 M 君が言うには、「もの凄く明解で、著者の頭の良さがビシビシ伝わってくる」 とのことであった。 私はこの返答に大変、感動した。特に「ビシビシ」のところに。 私は数学の専門書を読んでそんな風に感じたことは、 少なくともその頃までは一度もなかった。 ちなみに、M 君は国家一種試験を受けて公務員になり大学を離れていったが、 今でも私はM 君を、私の知る中で最も頭の良い人間の一人だった、 と思っている。
<< Home