Saturday, July 08, 2006

昼と夜のような黒と白

昨日に続き、チェス関連の映画の話。 学生時代に「チェスの楽しみ」(松田道弘著/筑摩書房) を読んだとき、次のような映画が紹介されていて、 それ以来、これは是非観たいと思っているのだが果たせずにいる。 日本では劇場公開されていないのはもちろん、 始めは TV ドラマ用に作られたフィルムだと言うので、 観られないままになる可能性は高い。 タイトルは「昼と夜のような黒と白」 "Shwarz und Weiss wie Tuge und Nachte" (Weiss の "ss" はエスツェット、Nachte の a はウムラウト) と言う 1978 年制作のドイツ映画で、 監督は「Uボート」のヴォルフガング・ペーターゼン。

松田道弘氏による解説によれば、メインのストーリィはこんな感じ。 タイトルが出るまでのイントロダクション。 最初のシーンは、 中年男性二人が書斎でチェスをしているところ。 その傍らで少年がうっとりとチェス盤を見つめている。 この少年が主人公トーマス。 父がしばらくためらった後ビショプを動かすと、 はっと口に手を当てる少年。 相手は「それだとあと三手だな」とメイト宣言をする。 チェスの魅力に取り憑かれた幼少期の描写の最後、 トーマスはガールフレンドの貯金箱のお金でトーナメントに参加するが、 年上の少年に負けると、逆上して相手につかみかかってしまう。 トーマスが「もう二度とチェスなんかしない!」と叫んだところで、 クレジットタイトル。 本編はその二十年後から始まる。 トーマスはプログラマとして平凡なサラリーマン生活を送っている。 そんな彼に、会社の宣伝のためにチェスコンピュータを開発せよ、 という社命が下る。 しかし、彼が作ったチェスマシンは簡単にチャンピオンに負けてしまう。 (この発想が普通と逆だと思うのだが) トーマスはこの屈辱を晴らさんと、 今度は自分自身がチャンピオンに勝ってやる、と決意する。 その後、映画は舞台をチェスの世界トーナメントに移し、 盤外戦術や神経戦をテーマの一つにして、 チャンピオンと挑戦者である主人公の闘いをヴィヴィドに描いていく、 と言うもの。 これは面白そうだ。 しかも、松田氏によれば、 シナリオを書いた人がかなりチェスに詳しいようで、 登場人物の台詞やエピソードなど非常に良く描かれているとのことである。 今、検索で調べたら、ドイツ映画の特集などで、 ときどき上映されているようで、 よほど気をつけていれば観る機会があるかも。