ラスカーの謎
今日の最高気温は 32 度らしい。本格的に夏だ。 行きのバスの中で、 去年私の卒研生だった O 大の院生 T 君に会った。 定期的に R 大に来て、数ファ研で学生の相手をしてくれているようだ。 生協食堂で昼食をとって、 12 時半から「情報理論」。 システム・エントロピィについて。 一般論の後、二進対称経路の入出力エントロピィの大小を調べるために、 関数の凸性の復習をしたところまで。 夕食は簡単なサラダと、また素麺。 妹からの連絡では、この週末に素麺を送ってくれるそうだ。
amazon で買った本の一つは、 "Why Lasker Matters"(by A. Soltis/ Batsford Chess). ラスカーの棋譜集で、100 ゲームが分析されている。 タイトルが面白いので買ってしまった。 (前にも書いたように 、ラスカーは数学者でもあったので、 特に私の興味をひくと言うこともある。) ラスカーは 27 年間にも渡って世界チャンピオンの座を守り、 ほとんど神秘的な強さを誇った。 しかし、何故そんなに強かったのか良く分からない。 様々な意見はあるものの、 ラスカーは盤面の真実を探すのではなく、 あくまで人間を相手に闘う勝負の天才だった、 と言うことでは一致しているようだ。 つまり、(Euwe の言葉らしいが) 我々はラスカーに驚くことができるだけで、 真似することはできないし、学べることすらあまりない。 フィッシャーはラスカーを「コーヒーハウス・プレイヤー」(縁台将棋?) と切り捨てているし、 ラーセンは「私はラスカーを尊敬していた…棋譜を調べるまでは」 とけなしてもいるように、棋譜を全く評価しない人も少なからずいる。 しかし考えてみれば、シュタイニッツのあと、 19世紀末から20世紀初頭の四分の一世紀を王座にあり続けたと言うことは、 現代チェスの成立を考える上で深い意味があるはずだ。 通俗的なラスカー評はいずれ完全に覆されるかも知れない。
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