アルコールの引越し / 目標以上を目標にする(つづき)
8 時起床。慌てて支度をして、日本橋に向かう。 大阪のチェスクラブ「アンパサン」にて一日トーナメントに参加。 流石にゴールデンウィークの上に、 丁度今、東京で全日本選手権も開かれているので、参加者は少ない。 十人くらいで 3 ラウンドだけのトーナメント。 結果、1 + 1 + 0 = 2.0 ポイントで同率二位を数名と分けた。 家に帰り着いたのは 19 時過ぎ。 御飯を炊くには遅いので、トマトを使ってスパゲティ。 アーリオオーリオを作って、 湯むきしたトマトの乱切りをあわせただけだが、 とても美味しく出来た。 材料が良ければ、切っただけで美味しいものだね。 食後に、珈琲。
執事から、「明後日、冷蔵庫を処分するから、 中に入っているものを移動しておくように」とメイル。 執事の冷蔵庫は、事実上、私が飲み物用に使っていた。 シャンパーニュ(ヴィルマールのゼロ)、 もらいものの泡盛(「ひとときのちゅら」)、 ジン(ボンベイ・サファイア、マティーニ用)、 ベルモット(ノイリー・プラット、マティーニ用)、 ウォッカ(ストリチナヤ)、を移動させる。
では、昨日に続いて、Pandolfini "Every move must have a purpose" より、第 15 章の後半。 名将ラスカーは、チェスの申し子、天才キャパブランカに対して、 どう戦ったか? 以下のエピソードは、キャパブランカが特に神業的なエンドゲーム(終盤戦) の名手だったことを知っていると、より興味が増すと思います。
第 15 章 目標以上を目指すこと(つづき)
…(前半は昨日 を参照)
まさにこのことが起こったのが、有名な 1914 年サンクトペテルスブルク大会の 全十回の第七ラウンド、世界チャンピオン、エマヌエル・ラスカーがホセ・ラウル・ キャパブランカと対局したときだった。 キャパブランカは 1.5 ポイント先行していた。そして、大会で優勝するのに、 ドローの 0.5 ポイントも取れば十分と思われた。 本当のところ、彼はこのラスカーとの 1 ゲーム落としてもまだ、 大会を一位で終えることが可能だったのだ。 一方のラスカーは、優勝の可能性を残すには少なくとも一つ勝ちが必要だった。
驚くべきことに、 ラスカーはキャパブランカの仕事をむしろお手伝いしたかに見えた。 ラスカーは序盤で突然、強制的にクイーンを交換し、局面を大いに単純化してしまったのだ。 観戦していた誰もが衝撃を受けた。 キャパブランカの形勢は手堅く、ほとんどの観客の目には、単に余計なトラブルを 避けてさえいれば、たやすくドローにできそうに見えた。 ラスカーの戦略はまるで意味をなしていなかった。
しかし、ラスカーは知っていた。キャパブランカが複雑な中盤戦を予測していたことを。 ラスカーは敵が最も予想していなかったことをぶつけ、単純で乾き切ったエンドゲームに 見える局面に引きずり込むことで、このキューバ人を弱体化しようとしたのだった。 そしてラスカーは成功した。ラスカーの異常な戦術に混乱したキャパブランカは うろたえ、神経質になり、そして負けた。 彼はさらにその直後のラウンドも負けた。 ラスカーは頭一つを出て、優勝した。
勝つことが必要だったラスカーは、策略を用いてまで勝つために戦った。 一方、ドローしか必要でなかったキャパブランカは、勝利を得るには 優柔不断すぎた。彼は大会での自分の順位の自己満足に捉えられ、 それは高くついた。
ドローを得るために戦うにはどうすればよいのだろうか。 優れたプレイヤーが勝つためにするのと同じやり方で、だ。つまり、 全身全霊を打ち込み、局面から全ての可能性を引き出すこと。 ゲームが何であろうが、要点は同じである。 欲しいものを得るためには、必要な以上を目指さなければならない。 これは遊びではないのだ。
これはビジネスにおいても通用するアドバイスだろう。 貴方は今、勝ちつつあるところかも知れないが、 それは戦いが勝利に終わった、と言うこととは違う。 もし貴方が負けているところならば、貴方が逆襲しない限り 落ち続けることになる。 指をくわえて見ていることはできない。それでは駄目だ。 ベストを得るには、ベストを注ぎ込まねばならない。 貴方は目標にたどりつき、そしてそれを乗り越えなければならない。 しかも、そこはまだ出発点に過ぎない。
まとめ:自分で設定した目標以上のものが得られることは絶対にない
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