Monday, May 22, 2006

我輩はいかにしてブランダーを指したか

月曜の朝は辛いなあ。 ベーグルと珈琲とオレンジジュースの朝食をとって出勤。 研究室で持参のお弁当を食べて、 12時半から卒研ゼミその2。 ハンナーの不等式など。 Lpノルムの三角不等式の一般化でもあり、 p = 2 のときの中線定理の一般化でもあるが、マニアックな感じだなあ。 続いて、「数理計画法」。 ラグランジュの未定係数法、キューン=タッカー法など。 続いて、「情報処理演習」。 if, for, while などを復習して、 簡単な練習問題をやってもらう。 ふらふらしつつ帰宅。

目下の話題と言えば、もちろん トリノ・オリンピック、と言いたいところだが、 全く話題になっていないのは、 チェスが日本でまるでマイナースポーツである上に、 参加国中で 100 位にも入らないくらいなので、やむを得ない。 でも、いよいよ日本でも若手が成長してきたし、 将来は明るいような気がする。 彼等の活躍を祈りたい。 そして、私が個人的に注目しているのは、 女子チームの二将、I さんだ。 と言うのも、一度対局したことがあるからというだけなのだが、 それでも応援したくなるものですよね。 私が昨年初めて参加したトーナメントでの二局目。

東京オープン、一日コース(27 Nov. 2005), 2R, K.Hara(no rate)-M.I ((877)) 図は黒の26手目、隅にあったルークを Ra8d8 とオープンファイルにまわしたところで、 次が私の手番。 彼女がこの手を指すまでの考慮中、私は二つの手を考えていた。 まず第一感は、27. h6!? だ。 27. ... g6 に対してルークかクイーンをどこに動かすか、 どうも何か手がありそうだ。 そして、もう一つは 27. Kb2!?, 今このタイミングで守りに一手かける。これも良い手に思えた。 しかし、今考慮中の黒は 26. ... f5 と先に仕掛けてくる可能性が高い。 私はこの三通りの手から始まる一連の応手をあれこれと読んでいた。 いずれにせよ、これはおそらく私の勝ちだと思っていた。 そして、黒が指したのが何と、26. ... Rd8. 全く読んでいない手だったが、瞬間、これは悪手だと思った (多分、本当に悪手だと思う)。 しかしそれに対して、何故か、 ああ本当に一体何故なのだろう、私は考えていた手のどちらでもなく、 反射的に 27. Rd1?? の激しいブランダーを指してしまったのである。 私が Kb2 の守りの手を考えていたことに注意を喚起したい。 けして、次の一手を読んでいなかったわけではないのだ。 指した瞬間に私は自分が負けたことに気付いたし、 彼女もそれを逃さなかった。 最善 R 落ち、その他は mate in 6. つまり、27. ... Qa3+! (Eventually Black won after 28. Qb2).