Friday, June 02, 2006

都会の夜

自宅で家事を色々片付けて、 粗食の昼食を取り、郵便局で雑用をし、 京都大学へ向かう。 金曜日の関西確率論セミナ。 K 大の H 君の発表。なかなか面白かった。 帰りに大宮駅近辺まで乗り過して、 ワイン屋で注文していた二本を受け取って帰宅。 自宅で簡単な食事をしてから、 近所のバーへ。 今月からのスタッフ再編によって、 F シェフが祇園から六角新町に戻ってきたと言うので、 その様子を偵察に。 また客が来なくて一人でボヤいているんじゃないかと思っていたのだが、 何と大入り満員でスタッフ全員が天手古舞していた。 カウンターでシャンパンを飲みながらカポーティの短編集「夜の樹」 (川本三郎訳/新潮文庫) から一編だけ読んで帰る。 やっぱりこれからは今まで通り、平日の早い時間に行く方がいいかな。

「ブルー・ブラッド」(D.ハンドラー著/北沢あかね訳/講談社文庫)、 移動時間などを使って一日で読了。 お洒落な会話を書かせたらミステリ界では並ぶものなし、 ハンドラーの新シリーズ。 ゴーストライターのホーギーに代わって主人公として登場するのは、 映画評論家ミッチ。 ストーリー自体は全盛期から随分、力が落ちている気がする。 正直に言うと、 MWA 賞受賞作「フィッツジェラルドをめざした男」(同じく北沢訳、講談社文庫) で既に頂点で、後はその続編として読んでいるようなものだったから、 新シリーズではますます弱い。 舞台が都会でないことも欠点。 ハンドラーは町を離れると文章の魅力が落ちる。 海に浮かぶ宝石のような夜の摩天楼、 フルートグラスのぶつかる音、汐のように満ち干きするジャズ、 才能豊かで職業不明の美男美女たち、映画の名台詞も裸足のへらず口、 おそらく現在のアメリカには存在しない、 シャンパンの香りが大気に漂っているような大都会の夜こそ、 ハンドラーの真骨頂が発揮される場所だ。 なお、「フィッツジェラルドをめざした男」 は本当に傑作なのに、 講談社文庫の海外ミステリにありがちの品切れ。

明日から東京に一泊。 汐留のコンラッド東京にて、友人の結婚式に出席のため。