Monday, July 10, 2006

サンクトペテルスブルクの夢

生協食堂で昼食のあと、 12 時半から卒研ゼミその1。 Lp ノルムの弱下半連続性など。 ゼミの前に学生たちが宝くじの話をしていて、 「先生は宝くじ買わないんすか?」と尋かれる。 「買ったこともない」と答えると、 「夢、買わないんすか」と言うので、 「僕は他の夢を見るよ」と答えておく。 宝くじは算数が苦手な人への税金だと言う説があるが、 ある種の夢を見ることへの税金でもあるのだろう。 続いて、14 時 10 分から「数理計画法」。 効用関数、期待効用、聖ペテルスブルクのパラドクスなど。 続いて、15 時 50 分から「情報処理演習」。 最終レポートの課題。 夕食は自宅で、茄子とベーコンのスパゲティ。 茄子は油、特にオリーブオイルにあう。

聖ペテルスブルクのパラドクスとは、 コイン投げを続けて、 初めて裏がでたとき、 2 のその回数目乗の金額がもらえると言う賭けの参加費はいくらか? と言うもの。 例えば、表、表、裏、となったらそこでゲーム終了で、 2 の 3 乗で 8 円もらえる。 この確率は丁度、1/2 の 3 乗で 1/8。 同様に何回目でも、もらえる金額と確率が丁度逆数になるから、 受け取る金額の期待値は、 2*(1/2) + 4*(1/4) + 8*(1/8) + ... = 1 + 1 + 1 + ... となって無限大になってしまう。 すると、この賭けの参加費は無限大で、 いくら高くても参加すべきなのか? これが間違っていることは感覚的には明らかだ。 結論としては、 期待値だけからこういった判断はできない、というだけなのだが、 適切な参加費はいくらか、と言う問題は残る。 一つの解決法としては、 判断基準は受け取る金額そのものではなく、 その関数であるプレイヤーの「効用」である、と考えて、 受けとる金額の期待値の代わりに期待効用を計算すればよい。 実際、逆向きに同じ理由で、 多くの人間は参加費が利益の期待値よりずっと高いのに、宝くじを買う。 期待効用がプラスなのだろう。