My life as a...
最近の懸案であった科研費申請の手続が、 金曜日の午前でようやく全て終了した。 献身的に助力してくれた事務方に感謝したい。 とりあえず、少しほっとした。 今夜は近所のワイン屋さんのローヌ試飲会。 今日はローヌ担当のブランドマネジャ Y が御説明します、 と言って始まったが、実際は Y さんと司会との掛け合いのシーンが多く、 なかなか楽しかった。このスタイルをデフォルトにしてみてはどうだろう(笑)。 出張疲れで舌が鈍くなっていて、 微妙な味の違いは良く分からなかったのだが、 何故か嗅覚の方は普段より敏感で、 色んな香りがかしましくて困るくらいだった。 疲れると味覚が鈍化して嗅覚が鋭敏化する、 と言うのは一般的な現象だろうか?
出張の新幹線車中での読書。 読みかけていた小説の残りと、「物理学者、ウォール街を往く」 (E.ダーマン著/森谷博之監訳、船見侑生・長坂陽子訳/東洋経済新報社)。 原著の "My Life as a Quant" を既に読んでいたので、その意味では再読。 オックスフォードにいたときに仲良くしてくれていた香港人の大学院生が、 これからの進路を悩みつつこの本を愛読していたのが、 原書を読んだきっかけだった。 数学者や理論物理学者の大学でのポストはとても少ない上に、 ツブシの効き難い分野でもある。 そんなわけで多くの人が妥協の上に、他の道を歩んでいくことになるのだが、 それぞれの時代にそんな人々が流れ込む分野がある。 あるときは通信、あるときはコンピュータサイエンス、 現在では、その一つが数理ファイナンスだろう。
最近、やはりオックスフォードでポスドクだった某英才が、 証券会社だか何かに就職したと耳にして驚いたし、 僕の学部時代からの同級生で理論物理学をやっていた某君も、 いつの間にやらクォンツに転身していた。 私は近頃、 研究の場として大学は必ずしも良い場所でなくなりつつあるのではないか、 と深い懐疑を抱きつつあるので、 自然なことでもあり、良いことであるのかも知れない。 その同級生は、最近では「多様体上の確率解析の良い教科書はないか」とか、 メイルで尋ねてきたりする。 そんな高級な数学まで必要なのだろうか、 と以前の私なら思っていただろう。しかし、 最近では自分も数理ファイナンスに首をつっこんでいるおかげで、 事情が少しは分かってきて、もう何が応用されようが驚かない。 例えばゲージ理論ですら既に応用されているし、 いずれ、超ひも理論とか、岩澤理論が応用されたって不思議はない。 いや、もうそういう研究があるかも知れない。 実際、R 大学の数理ファイナンス研究グループの中でも、 ほにゃにゃら理論(内緒)によって金利モデルを統合しようと言う試みが、 水曜夜の院生ゼミで深く静かに、ひっそりと、進行しているのだ…
<< Home