手巻き寿司 / 封筒の問題、解答編
8 時起床。 珈琲だけの朝食をとって出勤。 早めの昼食をまた生協食堂でとって、 12 時半から「情報理論」の講義。 前回集めたアンケートにあった質問や要望について、 10 分間ほどかけて回答のあと、今日の講義。 エントロピィの簡単な性質など。 続いて、14 時過ぎから、卒研ゼミS。 マルコフ連鎖の定常分布について。 17 時に終了。事務の人が研究室にやってきて、対応。 たまたま質問の学生もやってきた。対応している内に、 18 時からの数理ファイナンスセミナの時間。 今日の発表者は S 沢君。 終了後、数ファ研お抱え料理人 K 君が腕をふるう食事会。 今日は手巻き寿司。 最後にサプライズ企画(?)として、 A 堀先生のバースデイケーキが出た。 学生からのプレゼントは A 堀先生が R 大に就任した年のワイン。 21 時過ぎに先に失礼する。 帰宅は 22 時半くらい。
昨日の封筒の問題の解答。 正しく封筒と中身が一致している数の期待値は 1。 これは封筒の数が 30 でも 100 でも(実際、いくつでも)同じ。 勘で正解できた人は、ランダムな現象について鋭い直感を持っている。 ギャンブルの才能があるかも知れない。 計算の仕方については、おそらく多くの人が以下のように考えてしまうだろう。 30 の封筒の中に 30 通の招待状を各々入れる方法は、 30 の階乗通り、つまり 30 x 29 x 28 x … x 3 x 2 x 1 通りある。 そしてこの内で一通だけ正しい封筒に入っているのは…通りで、 二通だけ正しい封筒に入っているのは…通りで、 と場合の数から確率を計算し、公式通りに期待値を計算することは、 原理的に可能である。しかし、数が巨大すぎてまともに出来るとは思えない。 ここまで考えて諦めてしまったのでは? ところが、この問題は以下のような驚くべき方法で解ける。 確率変数の概念と期待値の線形性というやや高級な (とは言え、高校で習うことになっている)道具を使うので、 興味のある人だけ読んでいただきたい。
一つめの封筒に正しい招待状が入っていたら 1、
そうでなければ 0 の値をとる確率変数を考えよ。
同様に二つめ、三つめ、…の封筒についても同じように考えて、
30 個の確率変数を用意する。
すると、正しく招待状の入った封筒の数とは、
これら 30 個の確率変数の和に他ならない。
この和の期待値が答であるが、
これはそれぞれの期待値の和に等しい。
各々の確率変数の期待値は明らかに 1/30 だから、
答は (1/30) x 30 = 1 。
もちろん、この計算は 30 と言う封筒の数に依存せず、
一般の N 通に対して答は、(1/N) x N = 1 となって同じ。
(専門家向けのコメント:
これらの確率変数は独立ではない。しかし、
期待値の線形性は独立性と無関係に成り立つ。)
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