登頂経路
7 時起床。寝直して次に起きたのは 9 時過ぎ。 強い雨が降っている。珈琲豆もフィルタも切れていて、朝食はなし。 昨日から珈琲を飲んでいないので、調子が悪い。 私はカフェイン中毒なので、珈琲が一日切れるとかなり辛い。 雨なので買いに出るのも面倒だし… 洗濯をしながら、読書。 一階は暗いので、二階の寝室に行って自然光で読む。ささやかなエコロジィ。 午後からは小雨になった。 京大の関西確率論セミナに行く。 少し早く百万遍についたので、古本屋で物色。 ハヤカワ・ポケミスの A.A.フェア「馬鹿者は金曜日に死ぬ」(井上一夫訳)、 F.W.クロフツ「列車の死」(能島武文訳)を買った。 今日の関西確率論セミナは、 シアトルから来日中の Z.Q.C. (勿論このイニシャルからして中国系)さんの講演。 ディリクレ形式理論の話で良く分からないので、 ぼーっと英語を聞き流していたら、ちょっといいことを思いついた。 あわててノートを取り出して、メモをとっておく。 昨日まで発表のために整理していたのが良かったのかも知れない。 まあ数学では「良い思いつき」の内、 百回に一回も実際に進展に結びつくことはないものだが。
セミナのあと、 百万遍のファーストフード屋であれこれ考えごと。 まだ小雨が降り続いている。 さらに、出町柳のワインバーに夕食に行く。 この前、久しぶりに渋谷の「黒い月」に行った時のこと、女主人から、 友人が京大の近くでワインバーをやっているから訪ねてあげてくれ、 と言われていたので、その約束を守るため。 ベトナムの牛筋煮込みなどでワインを二杯ほどいただき、 バスで四条大宮に帰る。 四条通りでは祇園祭のお囃子の練習の音が聞こえてきた。 私は実際に祇園祭を見に行った、と言う経験は一度か二度しかないが、 この季節になるとあちこちでお囃子の鉦の音を聞いて、 ああ、もう夏なのか、と思う。 夜にひっそりとした通りを歩いていると、 どこか遠くから鉦の音が聞こえてくる。 なんとなくしんみりとした気持ちになるものだ。 また夏がやってくる。この一年も早かったなあ…
考える価値のある問題は大抵が難しい。 しかし問題は解けるか解けないかで、その意味ではオールかナシングだ。 ところがそれでは仕事にならないので、 何とか部分的な解が得られないものかと考える。 つまり頂上まで行けないにしろ、途中で色々な良いことがある道がないか、 登頂経路を探す。 そうすれば目的の問題が解けなかったとしても、 努力が何らかの形で実を結ぶ。 そういうことが上手な人が、良い数学者になるように思う。 これは数学の研究に限らないような気がする。 私はずばり、これが大変に下手だ。
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