「私、自分が死ぬ日をカレンダに書きたいわ…」
9 時起床。目覚しの珈琲を一杯。 懐しさのあまり、つい、 amazon で注文してしまった西村しのぶのマンガの到着を楽しみにしていたのだが、 これまたうっかり届け先を大学にしてしまっていた。 変更しようにも既に荷物が出発した後だ。がっかり… 今日は一日、冷たい麦酒を飲みながらマンガを読んでだらだらしよう、 と一昨日前から楽しみにしていたのに。 そんなわけで予定を変更して、 日本橋のチェスクラブ「アンパサン」の例会に行くことにする。 指慣らしのためにフィッシャーとスミスロフの棋譜を並べ、 ゴーヤうーめんチャンプルーで早めの昼食をとってから、日本橋へ。 午後からの二局に参加。 歴代クラブチャンピオン二人に連勝する。絶好調。 どちらも、 ピースが密集してわけのわからないねじりあいになった中盤を勝ち抜いた。 集中力も保てたし、運も良かった。バイオリズムが上げ調子かな。 19 時少し前くらいに帰宅して、 夕食は茄子とオクラのスパゲティ・アーリオオーリオ。
夜は「生きる」の TV ドラマリメイクでも観るかな、と。 大昔に映画で観て感動したものだったが、 世界のクロサワには申しわけないものの陳腐だなあ、とも思った。 自分があと一ヶ月で死ぬと分かったらどうするだろう、 と色々考えるのは愉しいが、実際は普通に暮らすと思う。 まあ、そうね、私ならばいつもの日常を暮らす上に、 自分にいつもより少し贅沢を許すくらいだろう。
私が同世代で自分と同じくらい頭が良いと思っている二人、 K 大の S 君と A 社の K さんと一晩ずつ直接会って、 居酒屋で下らない話をする。 近所の好きなカレー屋と担々麺屋で一回ずつ昼食を取り、 普段とは違って麦酒もつける。 一日は、近所の贔屓のワイン屋に行って、 社長とスタッフたちと立ち話をする。 その夜は近所のバーと祇園のバーを梯子して、いつもと同じように飲む。 妹に電話をし、おまえは僕と違って何の才能も表さなかったが、 それは性別と環境と社会のせいだろう、 それ以外のところは全く僕と同じだよ、と言う。 昔、愛した女性たちに何とか直接会えれば、 あいかわらず綺麗だね、と言う。 会えないようなら電話をして、元気かい、僕を選ばずに大失敗だったろう、 逃がした魚は大きいぜ、とも言う。 平日の朝には好きな本を読み、昼には学生と院生を叱りつけ、夜には数学を考える。 日曜日にはチェスクラブに行き、できればトーナメントに参加し、 チェス友達たちと闘いたい。 そして最後の日には、誰にも会わず、自分の家で一人切りになり、 ウッドハウスのジーヴスものを読みながら、 夏ならば小さなグラスで良く冷えた麦酒、 それ以外の季節ならば、やはり良く冷えた日本酒を少しだけ飲みたい。 日本人は死ぬ前に山や海や庭の緑など自然を見たがる傾向があるそうだが、 私は別に見たいと思わない。 心の中に十分美しいものがあれば、窓も景色も必要ない。
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