「…それに、このさき残っている時間は、今までより少ないかもしれない。そんな状態で、 これまでの積み重ねをすべて捨ててしまうことは、なかなかできるものじゃない」 「すべてを捨てるわけではないわ。自分はここにいる。叔父様が三十六年間で築き上げたほとんど すべてのものが、今、この車に乗っているのよ。しがらみというのは全部、叔父様以外のものです」
日差し。暗号。日記。猫。玄関。 冷房。珈琲。ウッドハウス。 コンピュータ。チェス。素麺。 原稿。昼寝。原稿。夕涼み。祇園。夜。バー。巨峰のカクテル。 トゥーレーヌの白。鯛のキッシュ。ハインライン「夏への扉」。 浴衣。四条大橋。クロエ。猫。シャワー。純水。エンドゲーム。 スタンダールの「恋愛論」。日記。
「私を知らないと言って」© HARA, Keisuke 2007 (私蔵の山本六三氏銅版画「百合を持つヘルマフロディット」 に写真効果を加えたもの。)
posted by Keisuke HARA at 9:02 PM
<< Home
老猫一匹との隠居暮らし。著書に「測度・確率・ルベーグ積分」(講談社)、訳書に「世界を変えた手紙」(デブリン著/岩波書店)など。
View my complete profile
<< Home