Saturday, November 17, 2007

豚バラ肉のコーラ煮

猫の鳴き声で 8 時に目覚める。 喉が痛い。やはり風邪をひいたようだ。 喉が痛いのと、微熱があるようなのと以外には、 特に自覚症状はない。 この週末はおとなしくしていよう。 明日は冷え込むそうだから、丁度いいかも。 クロにキャットフードを与え、 籠に一杯どころか山になった衣類を洗濯機にかけ、 珈琲をマグカップに入れてまた寝床に戻り、読書。 「至福の味」(M.バルベリ/高橋利絵子訳/早川書房)。 2000 年度フランス最優秀料理小説賞受賞作。と言っても、 いくらフランスとは言え、一年に料理小説が何冊出るのだろうか。 ようやく起き出して洗濯ものを干し、外出。 近所のワイン屋に注文していたものを受け取り、 帰り道沿いのスーパーで豚バラ肉とじゃが芋を買い、 さらにコンビニエンス・ストアでコカコーラを買って帰宅。 本当はコカコーラ・ライトが望ましかったのだが。 昼食は鍋焼き饂飩と、白ワインを一杯。 午後は翻訳仕事を少ししてから、小一時間ほど昼寝をして、 いよいよ「豚バラ肉のコカコーラ煮」を仕込む。

昨日、バーに持って行った本が「ミステリ亭の献立帖」(東理夫/晶文社)だった。 鴨の赤ワイン煮込みを食べながら、 そこに載っている豚バラ肉のコカコーラ煮込みのレシピの話をシェフにしたら、 黒ビールならまだしも、と言う感じの疑惑の眼差しだったので、 作ってみることにした。 この本によれば、 著者の友人である写真家の藤生睦人氏がこのコーラ煮の名人で、 二人が試行錯誤と艱難辛苦の果てにたどりついたレシピがこれだ、 と言うことである。 そのわりに極めてシンプルなレシピで、 鍋の中で豚バラ肉をサラダ油で少し焼いて、 コーラと水と醤油を注ぎ強火で沸騰させてから、 落とし蓋をして弱火で三時間煮る、と言うだけ。 水や醤油の割合が艱難辛苦のポイントだったのだろうか (ちなみに肉 600g に対し、コーラと水が 300cc ずつと、 醤油がお玉に一杯半)。 普通なら他に何かを一緒に煮たり、 少なくとも塩胡椒くらいはしたくなるところだが、 レシピを厳密に守って作ってみることにした。 「至福の味」を読みながら鍋の番をして、ぴったり三時間煮込む。 何か洒落たつけあわせをしたり、 緑を飾ったりするタイプの料理ではないと思い、 皿に盛ってじゃが芋だけをつけあわせにして夕食。 ソースは単に、煮汁を煮つめて塩胡椒で味を整えただけ。 近所のワイン屋キュヴェの今年のヌーヴォと。 このコーラ煮、正直に言って…びっくりするほど美味しかった。 さすが、艱難辛苦の果てのレシピだ。 99 パーセント以上は疑っていた己の不明を恥ぢた。 私にはやや甘かったが、普通のコカコーラを使ったからだろう。 レシピではコカコーラ・ライトが指定されていた。

ジャンクフードに理解があり、 食通のお友達たちからの冷たい視線も気にならない、むしろ快感だ、 と言う方は是非お試しあれ。