Saturday, November 10, 2007

最後の晩餐

昨夜は夕食が鍋で、雑炊までしっかり食べてしまったため、 食べ過ぎで動けなくなって 11 時くらいに寝てしまった。 気付いたら、今朝の 9 時。よく寝た。

完全に休暇日。 「ハートの4」(E.クイーン/大庭忠男訳/ハヤカワ文庫)を読了。 さらに休暇を満喫するため、 次はブランドの「ぶち猫」(C.ブランド/深町・吉野・白須訳/論創社)を読む。 未訳の短編、エッセイ、戯曲などの作品集。 今年がクリスチアナ・ブランドの生誕百周年なんだそうで、その記念出版。 私はミステリ作家ではブランドが一番好きだ。 ブランドはその「巧緻」さを讃えられることが多いが、 私が彼女を好きなのは誠実だからだ。 良い作り手は多いが、本当に誠実な作り手はあまりいない。

時々、会食のときなどに、 人生の最後に食べるものは何がいいか、と言う議論をすることがある。 答のない議論であることは分かっているが、 その議論自体を楽しむためのお題である。 そして、私の周囲のアンケートによれば、 今のところ二通りの回答が圧倒的多数だ。 おむすび、である。 両方ともシンプルな米料理と言う共通点があり、 一方は贅沢派、一方は清貧派、と言う感じか。 この二派があまりに多いので、 かつてニュース番組で放映されていた、 各界著名人と「最後の晩餐」を食べると言うコーナーは、 やらせだったのではないかと思うくらいだ。 絶対に、「すみません、それはもう出ましたから、他のに出来ませんか。 鮟肝と熱燗とかどうでしょう」とか、ずるをしていたに違いない。 私自身は(あまり共感は得られていないが)、 第三の選択肢として「(鍋のあとの)雑炊」を提案することが多い。 冬だったら、丸鍋のあとの雑炊とか衝撃的に美味しいものだと思うので、 シンプルさに欠けるかも知れないが、一考には値すると思う。 ところで、アメリカ帰りの S 君によれば、 このような問題に対する平均的アメリカ人の回答は 「パンケーキ」だそうだ。 それを聞いたときには、 アメリカと言う国を最底辺の側から見たような寒々とした心持ちがしたものだが、 考え直してみると、これはアメリカ版「おむすび」派なのかも知れない。