赤い本
9 時起床。 空気が大量に湿気を含んでいて、蒸し暑い。 雨も降りそうだ。午前中はあれこれ家事に励んだ。 昼食は今年初?の素麺。午後は少し昼寝してから、百万遍へ。 京大での関西確率論セミナ。韓国の人が 3G 定理について話していた。 何のことかなと思っていたら、 グリーン関数三つの積についての評価の話だった(ようだ)。 また古書店でラヴゼイの文庫をいくつか買って、 バスで大宮まで帰ってくる。 近所のワイン屋さんで注文してあったチーズを受け取って帰宅。 これでようやくカルボナーラが作れる。 夕食はカルボナーラ(笑)
最近読んで抜群に面白くて刺激的だった本。 「ファインマン流 物理がわかるコツ」(ファインマン、ゴッドリーブ、レイトン著/ 戸田盛和、川島協訳/岩波書店)。 かの有名な「ファインマン物理」の「補講」にあたる講義録。 物理な苦手な学生のための補講集の格好になっている。 第一章は物理で必要な数学について解説した講義で、 ファインマン先生流の「難しい関数を簡単に微分する法」、 みたいなことが書いてあったりする。 講義録なので、関数の後ろに括弧をひらいて、ここにこの指数を書いて…、 と言うタイプの記述が最初はサッパリ分からなかったのだが、 三分くらい考えて、ああ対数微分しているのか、と気付いた。
この本の前書きにレイトンがこんな話を紹介していた。 チベット問題で中国とインドの国境沿いが緊張していたときのこと、 中国側の人民解放軍は、自分たちが見られているのを承知の上で、 高らかに赤い本を振りかざして、インド兵士をあざけっていたと言う。 言うまでもない「毛沢東語録」である。 そのときインド兵の中に、余暇に物理学を勉強している人がいて、 そのあざけりにうんざりした彼は、 お返しにこちらも赤い本を向こうに振りかざして溜飲を下げたそうである。 その赤い本とは「ファインマン物理学」全三巻である。 この彼が後にレイトンにこんな手紙を書いてきたそうだ。 さて、あれから二十年、どっちの赤本がいまだに読まれているかな、と。 これは共産主義と他のシステムとどっちがいいかとか、 思想と科学の対立とか、 大衆と科学者の対決がどうとか、そういう話ではない。 人間が人間であることの意味と価値と誇りを本当に伝えているのは、 どっちだ、と言う話である。
<< Home