Saturday, December 15, 2007

価値

少し寝坊して、9 時起床。 休日。 昼食はインドカレー屋さんで、チキンカレー。 一緒に「マハラジャ」を一本。冬場は特に、昼間に飲むビールが美味しい。 午後も特に何もせず。読書とか、昼寝とか。 夕食はラーメンを作った。 珈琲ともらいもののカステラ。

「…。問題なのは、いや問題というか、興味深いのは、 以前は誰もこういうワインを必要としていなかったということだ。 ぼくが小さかったころ、ぼくの田舎ではこういうワインが世の中に 存在することさえ誰も知らなかった。 もちろん日本全体が貧しくて、外貨もなかったから、 こういうワインを輸入できなかったわけだけど、 必要としなかったんだ。 気の合った人たちと一緒に飲めるんだったら、 別にこういうすごいワインは要らない。 防腐剤の入った日本酒でも、味のない焼酎でも充分に楽しめる。 そういった社会の残骸はまだ居酒屋などに残っているけど、 そういうものもいずれ消えていくだろう。 一九七0年代のどこかの時点で、何かがこの社会から消えたんだ。 それは国民全体が共有できる悲しみだと言う人もいるが、 それが何なのかはそれほど大きな問題じゃない。 大切なのは、このワインと同じくらい価値のあるものをこの社会が示していないし、 示そうとしていないということだ。…」

「披露宴会場にて」より(「空港にて」(村上龍/文春文庫)所収)