幻のバー ("Fly me to the moon")
8 時起床。珈琲を飲んで、 いつものように一時間だけ翻訳の仕事をして、 衣笠キャンパスに出講。 一昨日も衣笠講義だったので変な感じ。 学生食堂で早めの昼食。 日替わり(ポテトコロッケ、鶏てん、マカロニサラダ、キャベツ千切り)、 紫蘇ひじき御飯(M)、味噌汁。 法学部の講師控え室で予習などして、 13 時から「数理の世界」。二次方程式と複素数など。 1 コマ分の空き時間は「ゆんげ」に行って、 200 円のカプチーノを飲みながら、数学を考える。 16:20 から今度は産業社会学部で「情報の数理」の講義。 エントロピィの定義と簡単な具体例での計算。 17:50 終了。 バスで帰る。帰宅は 18 時半くらい。 夕食は、しめじとベーコンのスパゲティを作った。 夜もまた翻訳の仕事。
「特権的情人美食」にも再録されていたのだが、 村上龍の連作短編で私の好きなものに、 幻のジャズ・バーの話がある。 何かの拍子に、とてつもなく素晴しいバーに行くのだが、 あとでどう探しても見つからない。 短いカウンターの他は、 その後ろに二つか、せいぜい三つのテーブルだけがある、 ジャズクラブのウェイティングらしきバーで、 奥のホールでは女性ヴォーカルがジャズのスタンダードナンバーを歌っているようだ。 バーテンダも照明もインテリアも何もかも控え目で、 ひっそりと静かで、遠くから「私を月まで連れてって」の歌声が聞こえ、 酒はとても素晴しい。カンパリですら北イタリアのリゾートで飲むような味がする。 主人公はその幻のバーを探して、 そこに行ったことがあると言う人物を尋ね歩くが、 ある種の人間がある種の状態のときにそのバーの扉が現れるらしい、 と言うような神秘的な感触が得られるだけ…、と言う話である。 この連作短編の最終回で、そのバーの「正体」らしきものが分かる。 それがちょっと残念なところだ。謎のままの方がいいこともある。
ちなみに私はジャズを全く知らない。 「私を月まで連れてって」なんて大人になるまで、 竹宮恵子の漫画の方がオリジナルだと思っていた。
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