Monday, February 06, 2006

亡命ロシア料理

以下の時間、メンテナンスのためのサーバ停止。ご注意を。
6th Feb 2006, 7-8PM PST.

今日から入試採点週間、開始。 採点進捗の調整のための予備日も入れて、 今日から 13 日(月曜)までの 8 日間。 その間は、日常の話題はなし。

以前、やはり採点シーズンに、 私が所蔵している変な本として、 「ハッカーズ料理読本」(J. Johnson 著/ 西尾操子訳/アスキー出版局) のことを書いたが、私が持っている変な料理本はこれだけではない。 例えば、 「亡命ロシア料理」(ピョートル・ワイル、アレクサンドル・ゲニス著/ 沼野充義、北川和美、守屋愛訳/未知谷)。 ロシア料理ではない。 亡命ロシア料理である。 ロシア人亡命者のノスタルジア、魂の料理を紹介する、 実践レシピ付き、料理と人間と文明と亡命についてのエッセイ。 この本が単なるレシピ集でないことを知るには、 まずは訳者に注目していただきたい。 そして、以下は前書きからの引用。

「愛を打ち明けるとき、 日本人は手のひらを胸にではなく、胃のあたりに当てるという… (中略)… 白人は高尚なことを話すとき、胸ポケットのあたりをぽんぽんと叩く。 そこには、パーカーの万年筆や、ハンカチや、 さらには財布さえあるかも知れないが、魂だけはない。 魂があるのは、ボタン三つ分ほど下なのだ。 どんな緯度にも、経度にも、そして土地のどんな高低にも慣れることはできる。 しかし、人間を家と結び付けるヘソの緒は、 もちろん、腹から出ているのであって、 心臓からではない。心臓というものは、 考えてみればわかることだが、 変幻自在で、猿の心臓にだってなり得る。 しかし、胃袋には言うことを聞かせるわけにはいかない。 たとえば、アボカドは食べ物であって飾りではないと、 胃袋を説得しようとすれば、わかるはずだ…」

同じ箇所で引用されているロシア人作家エロフェーエフの言葉。 「人生は人間に一度しか与えられない。 だから、レシピを間違えずに生きなければならない」。