Thursday, February 09, 2006

謎の料理人

夕食に肉じゃがを作る。 野菜と豚肉はそれぞれ熱湯をかけてさらし、 肉の脂身を使って野菜を炒め、 水で薄めただしで煮る。味つけは醤油と味醂のみ。 最後に肉を戻して少し煮る。やや熱がさめたころが美味しい。

The Cook 料理は科学であると同時に、 どこかしら魔術的なところもある。 私の好きな小説に、「料理人」(ハリー・クレッシング/一ノ瀬直二訳/ハヤカワ文庫) と言う「奇妙な味」ジャンルの物語がある。 私は傑作だと信じているが、あまり人から聞いたことはない。 コブと言う名前の小さな平和な町に、 黒づくめの服を着た、 異様に背の高い痩せた男が自転車に乗ってやって来る。 コンラッドと名乗るその男は超絶的な料理の技術を持ち、 町の人々の心を静かに捉えてゆく。 それと同時に、町は奇妙に変化してゆく… と言う、それだけのお話である。 原書はランダムハウス社から出版されたが、 著者の情報は、変名であると言うこと以外に何も明かされていない。 よほど、この小説の出版に自信があったことは確かだろう。 こんな小説を書けるところからして、 有名作家が別のペンネームを利用して書いた可能性が高いと思う。 ただ私はアメリカ文学に疎いので、誰が正体かを推理することはできない。