Saturday, February 11, 2006

五百人前

あまり凝った料理を作っている暇がなく、 夕食には焼きそばを作った。 せめて、野菜はしゃきっとしていていただきたいので、 野菜と麺を別々に炒めて最後にあわせる、 というくらいのことはしたが。

料理と食の関係の書物の中で、 私が最も力を入れているのは、 ちょっと変わったレシピ集。 「ハッカーズ料理読本」や「亡命ロシア料理」はその代表格だが、 それほど変ではなくとも個性豊かで、 けっこう役に立つ一冊をご紹介。

「パリジャンのレシピ」(A.カマス著/上野万梨子監修・訳/文化出版局)。 パリに存在する上から下までありとあらゆる無数の厨房で料理されている、 176 種類の料理のレシピ集である。 けして普通に想像するような「ビストロ」のレシピ集でもなければ、 高級フレンチのレシピ集でもない。 ほとんどどれも、どこの国出身の料理なのか良く分からないが、 兎に角、パリで愛され、パリをある意味で代表する料理たち。 例えば、アラン・デュカスの皿焼き卵もあれば、 ソニア・リキエルのチョコレート・ムースもあれば、 街角の揚げじゃが芋もあれば、 貧しい人のためのスープ(Soupe populaire)のレシピも載っている。 貧しい人のためのスープとは、 13 区にある慈善団体「ラ・ミー・ド・パン」 が作ってホームレスたちにふるまうスープである。 そのレシピはさすが本格である、 なんとレシピの分量が五百人前