ルーチンワーク
今日もなかなかエンジンがかからなかった。 さらにエンジンをあたためているだけで午後も遅くなってしまった。 いや、しかし何事かはせねばならん、労働者として許されぬ、 と思い、講義の予習をする。 あっと言う間にもう夕方。 夕食を食べた後は、さすがにこれが一日にした仕事全部です、 と言うわけにはいかない、 何か一歩でも前進せねばおかぬ、と自分に言い聞かせ、 校正を原稿に反映する作業をする。 昨日、院生室で読書の合間合間に校正したので、 残りは実質的に単純なタイピング仕事である。 15ページほどの各ページに数カ所ずつ訂正があったが、 一瞬で終わった。
自慢ではないが、私は単純作業に強い。 タイピングとか、封筒貼りとか、 図書カードの整理とか、アスパラガスの皮剥きとか、 得意中の得意だ。 昔、冗談で見てもらった占い師に、 「あなたは目立たない、地味な、 決まりきったルーチンワークに適正があります。 区役所や図書館の窓口、書類の整理や経理などの事務職、 または、封筒の宛名書の内職などが良いでしょう」 と言う趣旨のことを言われたことがある。 夢がない。言わば、前世占いで「前世は庶民です。マル」と言われたようなものか。 しかし自分でも心の底では、その占いは当たっていて、 その方が今の職業よりはずっと向いているのではないか、 と言う疑いが消えない。 もちろん、今からでも遅くはないのだが…
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