マラルメの夏
朝から晩まで働いた。 マラルメだったろうか、 ある詩人は一夏を過酷に働いたと言う。 愛する幼い姪の記念日に仔馬を贈るために。 仔馬じゃなくてヨットだったかな、 いや、仔馬とヨットだったかも。 それに比べて私の労働は、 嗚呼、何とぱさぱさとして、味気ないことであろう。 花の命は短くて、苦しきことのみ多かりき、 と林芙美子の一節をつぶやきながら、 夕闇迫る灼熱のキャンパスから、 こんな夏休みの日にまで満員のバスに乗って帰る。 満員の通勤バスほど、詩から遠いものがあるだろうか。
私にとっての、姪への贈り物とは何なのだろう…
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