ワインの後味
いつの間にやら長月。光陰矢の如し。 昨夜も涼しかったからだろうか、早朝に爽やかに起床。 日中はまだ気温が高いとは言え、風は既に夏のものでない。 袖の上の露けかりつる今宵かな これや秋立つはじめなるらむ (紀伊君)。 9 月はまだ夏休み中とは言え、あれこれと忙しい。 午前中はスケジュールをレヴュしながら、 各仕事への時間の振り分けを考え、 できるものには最初の筋道をつける。 せいぜいがタイトルだけ書いておく、 とか、空のフォルダ(ディレクトリ)、またはファイルだけ作っておく、 程度だけれど。 仕事は取りかかるのが一番難しいのだが、 今日はファイルの名前だけつければいいんだ、 と思えばこのハードルを越え易い。 そして作ってみたら、意外とするすると仕事が進む。 私と同じく怠け者の方はお試しあれ。 9 月末だと思い込んでいた論文の締切が、 実は 8 月末で、しかし、9月末に延長されたことを一通のメイルで知る。 損をしたような、得をしたような…
午後は少し昼寝をしてから、読書など休日モード。 伝説の傑作と呼び声も高い、「ハマースミスのうじ虫」。 比較的短い小説なので夕方までに読了。 兎に角、イギリスらしい小説。 グレアム・グリーンや、 イヴリン・ウォー と同族か。 人間に対する悪意のこもった好奇心とスポーツマン精神と言う相容れない要素が、 階級社会の中でブレンドされた、とでも言いますか、 知りたくなかったことを知ってしまった、 と言う感じの純潔の喪失感とでも言いましょうか、 形容のし難い後味の悪さ。 ところで、小説の主人公もワイン業者だが、 作者のモールもワインと関係がある。 モールは MI5 の諜報員だった一方で、 義父は代々続いたワイン醸造家の家柄だったし、 モール自身、"Gods, Men and Wine" (by William Younger, 1966) と言うワイン通史も本名で書いている。 その業界では権威のある本だそうだ。 amazon.co.jp で調べたら、確かに売っていた。 しかし、528 ページもあるハードカヴァの本なのに、税込 1065 円。 何かの間違いでは。 夕食は鰻の蒲焼を買ってきて、御飯を炊いて鰻丼。 卵を落としたお澄ましも作った。
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