Saturday, September 16, 2006

白い僧院の殺人

朝、少し雨が降っていたが、後は終日曇り空。 午前中は読書などして、昼食は近所のベンガルカレー。 午後は少し論文書き。 夕方、暇そうにしている執事をつかまえて先月分のチェスをする。 20分プラス一手10秒。白番。 相当に優勢に指していたのだが、今一つ攻め切れず。 最近の課題として直感のサクリファイス(捨て駒)をしてみる。
B:「余程優勢だと思っているんですね?」
H: 「うーん、ゲームに趣きを加えようかと」。
確かに趣きは加わったも知れないが、 実はそんなに手にはなっていなくて、 結局、時間がなくなって負け。 夕食はトマトとベーコンのパスタなど。

他の時間はバリンジャーの「歯と爪」 (B.S.バリンジャー/大久保康雄訳/創元推理文庫)を読んでいた。 「意外な結末」ジャンルでは有名な古典だが、 ずーっと昔に読んだときにはそれほど感心しなかった記憶が。 当時の私はがちがちの本格派だったからかなあ、 と思って、バリンジャーを読み直してみることにした。 私は子供の頃に古典と言われる大抵の翻訳ミステリは読んだ。 と言うのも、父方の叔父の一人がミステリマニアで、 子供の頃に何百冊もの創元推理文庫と、 ハヤカワミステリ文庫をゆずってくれたのだ。 一度にではなくて、何かの用事のたびに、 数十冊くらいずつもらいに行ったのだが、 その帰りは毎回、大変に幸福な気持ちだったものだ。 今でも、父に送ってもらった車の中で、 夜だから暗くてあまり見えないのに、 「白い僧院の殺人」の表紙を撫でるようにして、 何度も眺めながら帰ったことを思い出せる。 今のデザインはぱっとしないが、 かつては、青黒い背景におとぎ話のような小さな僧院が描かれ、 その上に銀色の雪と足跡が浮いた綺麗な表紙だった。