Tuesday, March 27, 2007

オーラ

早起きしてホテルで朝食を取り、 大宮から南与野へ。駅を降りても、どこにもバス停が見当たらない。 しかし、心配ない。こういう時にはうまい手がある。 次の電車から人が降りてくるのを待ち、 数学者らしいオーラを放っている人の後をつける。見事、解決。 駅からずっと先に 5 分ほど歩いた所にバス停があるのだった。 バス停の名前が「南与野駅前」ですらない。 埼玉大学について、実函数論の分科会に出る。 朝から同じ人が 15 分の講演を 4 回続けた。 アクティブな人がいるものだ。 私が聴きたかった講演は、思っていたのと全く違う内容で、 それもそのはず、講演後に聴衆から、 「それならタイトルは、『ハウスドルフ=ヤングの定理』の精密化、 にすべきだ。単に『ヤングの定理』では通常別の定理を指すから、 聴衆は誤解する」と指摘されていた。その通り誤解したのである。 その講演のあと、統計数学分科会に移動。 歴史的な理由でなのか統計数学分科会と呼ばれているが、 実際は日程の前半で確率論、後半で統計学の分科会が行われることになっている。 シアトルにいるはずの K 大の S 君を会場で発見。 諸事情で二週間ほど日本に戻って来ているらしい。

学内の食堂で昼食を終えて、午後はそれぞれ一時間の特別講演の部。 最初は特別企画講演。H 大の F 先生の離散確率解析の話。 確率論以外の聴衆も仮定した易しい話だったが、さすがに話が上手で面白い内容だった。 既に学生の頃から F 先生がいかに良く出来たか、と言うのはこの業界の語り草になっていて、 「一年に三日しか数学をしない(が、誰よりも数学が出来る)」 と言う伝説まであったくらいだが、 やはり今でも凄い切れ味だ。こんな研究が出来れば楽しかろう。 続いて、私の特別講演。前の講演の聴衆が残っているせいか、満員御礼。 他の分科会に比べて、やっぱり確率論はそもそも人数が多いなあ、と思う。 私の講演はいつもの通り、もう一つぱっとしなかったが、こんなものだろうか。 毎回もっと落ち着いて話そうと思うのだが、 講演を始めると興奮してしゃべり過ぎてしまう。 とにかく一仕事終わって、ほっとした。 (チェス仲間の 広島の S さんが分野違いにも関らず聴いて下さっていたようだ。 ありがたし。お話しできなくて残念。) 次は K' 大の N 君の特別講演。 この N 君と私は、某基礎科学科の同期で、同じ部屋で机を並べて勉強した仲である。 二人続けて特別講演ができて、ちょっと感慨。 今日の講演は終了して、夜は I 先生、K 大の O 先生、S 君、K'' 大の S さんらと、 大宮駅近辺の居酒屋で飲んで帰る。 21 時頃お開きの後さらに、S さん、S 君、私、の兄弟弟子三人組で、 スターバックスで珈琲を飲みながら雑談をして帰る。 二人とも大活躍で、私も頑張らねばなあと思う…反省しつつホテルに帰る。

あ、そうそう。今年のアーベル賞はヴァラダンが受賞したそうだ。 また確率論の人。確率論の時代だろうか?