Thursday, March 29, 2007

情熱と好奇心

学会は週末まで続くが、私は今日で帰京。 ホテルを遅く出て、東京駅で昼食を取って、新幹線で帰る。 夕方に京都着。 東京も温かかったが、京都も初夏のように暑い。 山陰線に乗ると、まだ冷房が入れられなくて申しわけありません、 とアナウンスしていた。 帰宅したら家の中がピカピカに掃除されていた。 お、ガスレンジまわりまで新品同様。うーん、醤油差しまでぴっかぴかだ。 徹底してるな。たつ鳥、後を濁さず、と言うやつか… 夕食は近所のバーで。 海老とのれそれと三葉のキッシュと、 牛脛肉のポトフ。 最後にチーズを少しとデザートワイン。

広島の S さんにいただいた動画データで、 羽生がフランスでのチェス大会に出たときのドキュメンタリ TV 番組を観る (毎日放送の「情熱大陸」)。 名将タイマノフとの対決が目玉。 タイマノフはシシリアン定跡のタイマノフ変化に名前も残る有名プレイヤー。 タイマノフはかなりの御高齢で流石にもう現役とは言えないが、 引き分けたのは凄い。さすが羽生先生。 ところで、タイマノフは超一流のピアニストでもある。 「20 世紀の偉大なるピアニストたち」 と言う CD に演奏が収録されているくらいだ。 アマチュアのピアニストでもある S さんが シシリアン・タイマノフ定跡を好むのはそのせいなのかも。

映像は正味20分ほどの短いものだったが、 なかなか面白かった。 どうしてチェスを指すのかと言うインタビュアの質問に、 新たに興味を持ったことに敏感に反応していきたいと思っているからだ、 と言うようなことを答えていて、 うーむ、なるほど…と妙に感心してしまった。 インタビュア側は、「将棋の世界を制覇した男の新たな挑戦としてのチェス」、 みたいな答を求めていたようだったが、 面白いことに出会ったらやってみたいじゃないか、 と言う単純な好奇心が本当のところだよな、と思う。 さすが天才、羽生先生だ。 いつまでもそうありたいものだ。 私などの場合は、そのせいであれこれ無駄に手を出して、 何一つまともには出来ないただの物好き、と言うことになってしまうのだが、 もちろんそれでいいのだ。 誰かに褒めてもらうために生きているわけではなくて、 自分が知りたいことをもっと知るために生きているわけだから。