湯船 / J.Rowson について
台風は夜の内に日本海へ抜けて行ったので、 結局ほとんど影響を受けないで済んだ。 駅で「真珠の耳飾りの少女」(T.シュヴァリエ/木下哲夫訳/白水uブックス) を買って、車中で読みながら京都に帰ってくる。 原書 "Girl with a pearl earring" を読んだはずなのだが、 初めて読むように新鮮。あまり分かっていなかったらしい(笑) それはともかく、この版は字が小さくて辛いなあ。
夕食は車中で食べるつもりだったが、結局、家まで持って帰ってきた駅弁。 それだけでは侘しいので、卵の澄まし汁も作った。 食後は出張費用の計算をして家計簿をつけつつ、珈琲とカステラ。 最近、シャワーで済ませることが多かったが、 久しぶりにゆっくり湯船につかる。 「湯船」って良い言葉だなあ。 アヒルのコンラッド君も健在。
湯船では、今日到着したばかりの "New in chess" をぱらぱらと読む。 今回の目玉は何と言っても、クラムニク vs. ゲルファンド戦の クラムニクによる詳細な注釈だろうが、 私が毎回楽しみにしている連載記事がある。 J. Rowson によるブック・レヴュー、"Rowson's Review" だ。 この人の文章はチェスの話に限らず、とても面白い。 前回の Waitzkin(映画「ボビー・フィッシャーを探して」の主人公) の自己啓発本とカスパロフの同様の本の比較レヴューは本当に笑わせてもらった。 彼が書いた専門的なチェスの本だと "The seven deadly chess sins" (「チェスにおける七つの致命的な罪」) など、私の好きなチェス本のベスト5に入れてもいい。 残念ながら、タイトルが不真面目なのと、 七つの大罪に沿ってチェスの理論を説明すると言う、 おそらく若さゆえに飛びついてしまった凡庸なアイデアのため、 日本のチェスファンには全く読まれていないと思われる。 残念だ。内容は凄く面白いのに。 ちなみに私の個人的な感触では、 Rowson のチェスの理解は相当深いし、 時々はっとするような対局もしているが、 多分、スーパーGMのレヴェルには到達しないと思う。 そうなるにはちょっと、インテリ過ぎる。 将来的にはチェスが趣味でGMのタイトルも持っている弁護士とか、法律学者とか、 そのあたりに落ち着いて、シリアスな対局から身を引きそうな気がする。
さて、これでいよいよ夏休み。したいことが色々あるけれど、 明日、明後日はなーんにもしないで、ゆーっくりと、のーんびりと、休みますよ。
<< Home