Sunday, October 21, 2007

鈴木訳と井上訳 / matter of technique

9 時起床。クロに御飯をやって、自分には珈琲。 しばらくの間、したくとも出来なかった細かいことをあれこれ。 例えば、鈴木新訳のプルースト「失われた時を求めて」の集英社文庫版、 全 13 巻を注文するとか。 私は今まで「失われた時を求めて」を二回、通読した。 両方ともちくま文庫の井上訳。 それで井上訳の文章に慣れてしまっているので、 鈴木訳の第一巻が出たときに冒頭の一文を読んで、 えっこれは違う、こんなのプルーストじゃない、 と思ってしまって、そのままになっていた。 しかしそもそも、井上訳だって翻訳なのであって、 いずれは原文を読みたいとは思っていてもそれが出来ない以上、 複数の訳業に接して、複眼的に原文を想像するに越したことはない。 また、特に私の鈴木訳への偏見が形成された原因には、 先に抄訳版が出ていたこともある。 プルーストを要約するなんて、人生を要約するような暴挙であり、 言語道断だと思ったわけだが、 今思えば無闇にスノッブで、心の狭い考えであった。

午後は大阪のチェスクラブ「アンパサン」へ。 今日はわりと賑やか。午後からの二局に参加。 二連勝。両方とも実際には中盤で勝負は決まっていたが、 両方とも優勢のはずのエンドゲームを勝ち切るのが難しかった。 棋譜の解説では時々、中盤の必殺技が決まったところで、 「以上、どの変化も黒勝ち。残りは "matter of technique" である。35 手後に白投了。」 なんて書いて解説が終わっていることがある。 数学の証明でも、 似たようなことが書いてあって、 途中で終わっていることがある。 しかし、実際はそこがなかなか難しくて、一番苦労するところだったりする。

帰りの電車の中から、軽い寒気と眩暈がし始めた。 二局目のルークエンドゲームに疲れたこともあるだろうが、 風邪の引きかけかも知れない。今日はあたたかくして寝よう。 19 時くらいの帰宅。 冷や御飯でレタス炒飯を作って食べる。 ほとんどレタス一玉使い切ってしまった。 意外と小さくなるものだなあ。