Friday, August 15, 2008

local culture

昨日の夕方に実家に到着して、夕食をいただく。 海老と野菜の天ぷら、 ポテトサラダ、トマトと青野菜のサラダ、南瓜の煮つけなど。 変に野菜が多いし、妙な組み合わせだな、 と思っていると、「畑で穫れたから」ということだった。 家の近所に十坪ほどのちっちゃな畑があって、 祖母が趣味の野良仕事をしていたのだが、 その後、両親が(おそらく主に母が)野菜をあれこれ作っているらしい。 田舎の人は農家でなくても、単なる習慣だったり、生活の張りのためだったり、 生活防衛のためだったりで、畑仕事をするものだ。 うちの猫の額のような畑でも、 春まではじゃが芋、夏は南瓜、トマト、胡瓜、 冬は大根などを育ててているとのこと。 どうやらキタアカリ(じゃが芋)の出来が自慢らしく、 確かにポテトサラダが大変美味しかった。

野菜の天ぷらとサラダ類をあれこれ食べながら畑の話を聞いて、 「へー、そりゃいいね。この不況の昨今、自給は大事大事」と感心していると、 「はぶ」も作っていると聞いて、ちょっと懐しかった。 はぶと言うのは、細長い莢に入った小さな豆のようなもので、 この実を煎じてお茶にする。 この「はぶ茶」は私の田舎のローカルカルチャーで、 子供の頃はお茶と言ったら 100 パーセント自家製のはぶ茶だった。 小学校で他の子が麦茶などと言う洒落たものを飲んでいるのを見て、 子供心にうちは貧しいのかしらん、と思ったものだ。 このはぶ茶でさらに茶粥を作り「おかいさん」と言う。 これまたカルチャーである。私の祖母などは一年中、 一日のうちの一食はおかいさんと径山寺味噌か何かで済ませていた。 夏は冷たくして食べたりなんかして、 ご馳走ではないが、まあそんなに悪くないものである。 食後に桃を食べる。近所からいただいたもので、 この地方の「荒川の桃」。 和歌山と言うと蜜柑と思っている人が多いが、 桃もなかなか美味しい。白桃だが黄色みの強い、むっちりした感じで、 甘く濃い味がする。 田舎は田舎で、貧しいなりに、その中での豊かさがあるものだな。

翌日、つまり 15 日の今日、10時くらいに起きて、 裏庭を見たりして時間をつぶす。ちょっと事情があって、 高校生の頃は私一人だけがこの家で寝起きしていたのだが、 当時はこの庭もただの空き地のような感じで、 土もかちかちに乾いていて何も育ちそうになかった。 しかし、私が出て行ってからは、あれこれ色んなものが植えられて、 もうジャングルのようになっている。 構成に脈略もセンスもない上に、 隅の方では紫蘇やら茗荷やらの薬味まで育ててしまっている。 それぞれの手水の中に目高がいた。 赤い目高と、黒い目高に分けているようだ。 近所の川でとってきたのか、わざわざ買ってきて育てているのか。 そうこうしている内に昼食。 秋刀魚の塩焼、卵焼き、冷奴、ポテトサラダ、大根の漬物など。 午後、銀行に行って手続き。 書類を書いたり、判子を押したり、結構あれこれと時間がかかった。 一旦、実家に戻り、母から巻き寿司と稲荷鮨のお土産を受け取り、 和歌山駅からオーシャンアローで京都に戻ってくる。 夕食はお土産のお寿司。

裏庭、左右から