Tuesday, May 02, 2006

逆色チェス盤

ドバイの羽生 vs Miroshnichenko 戦。 シシリアンのリヒター=ラウザーか… そんなレイザーシャープなラインを選ぶということは、 余程の準備をしているということだろうなあ。 将棋を指す他にそんな時間とエネルギーがあることに敬服。

ところで将棋盤はどのマスも同じ色だが、 ご存知のようにチェス盤は黒と白(とは限らないが、 とにかく暗色と明色)の「チェス盤模様」になっている。 この模様は大変便利なものではあるのだが、 本質的には大した問題ではないはずだ。 しかし、この模様はプレイヤーの思考方法に入り込んでしまっていて、 その証拠に、チェス盤の黒と白を逆にしたチェス盤で対戦すると、 トップクラスのプレイヤーでも(だからこそ、かも知れない)読みがおかしくなるそうだ。 Krogius の "Chess Psychology" (「チェスの心理学」)によれば、 プレイヤーたちにこの逆色チェス盤でキングズインディアン定跡の典型的な盤面を見せ、 その盤面評価とプランニングをさせたところ、 通常より弱い、あるいは間違った判断しかできなかったと言う。 チェス盤を90度回転して使えば簡単に実験できるので、 興味のある方はお試しあれ。 ちなみに正しい配色は、手前の左隅のマスが黒。 私は引用でこの話を読んだので、クロギウスは読んでいない。 他にもいろいろと面白い話が書かれているそうで、 是非読みたいとは思っている。