Monday, October 13, 2008

浮気疑惑の帰納法

7 時に目が覚めた。 寝床でしばらくボンフィグリオリを読んで、 相変わらず一行に三つずつくらい単語が分からないなあ、 と思いつつ、8 時に起床。 猫、シャワー、珈琲、シリアル、フルーツジュース。 いつものあれこれのあと、午前中は午後の文系講義の予習。 11 時頃に家を出て、衣笠キャンパスへ。 今日は良い天気だ。祝日だし、まさに行楽日和か。 学生食堂で昼食。 午後は続けて、「数理の世界」と「情報の数理」の講義。 意外といつも通りの聴講者数だった。 すぐに他大学の事務の方、二名のモグリ聴講を発見。 かなり後ろの方だったが、すぐに分かった。 と言うことは、他大学は今日はちゃんと祝日ってことか。 今日はお客さんが多いなあ、と思いつつ、二つ連続講義。 講義のあと、モグリ聴講者に少し挨拶など。 終了後、バスで帰る。

講義中に「数学的帰納法」の説明をしたときに、 応用例として以下のような問題を挙げた。 ある町には k 人の浮気妻がいる。 どの妻が浮気をしているか誰もが知っているが、 夫だけは自分の妻が浮気しているかどうか知らない。 ある日、町長から「この町には浮気をしている妻がいる。 自分の妻が浮気していることを知った夫は、翌朝に被害届を出すように」 という御触れが出た。 その日から丁度 k 日後に k 人全員の浮気妻が同時に被害届けを提出されることを証明せよ。

このように考えれば良い。 まず、k = 1 のとき、つまり、町に浮気妻が一人しかいない場合を考える。 このとき、その妻の夫は、町には浮気している女はいないと思っていた。 しかし、御触れの日、自分の妻こそが浮気をしていたのだ、と気付き、 翌日に被害届を出す。次に k = 2 の場合を考えよう。 浮気をされている二人の夫はそれぞれ、 この町には浮気妻が一人だけいる、と思っている。 だから、御触れの翌日、その被害届が出されるだろう、 と推論するが、実際、その日には届は一つも提出されない。 二人の夫のそれぞれが、他方だけが浮気されていると思っているからだ。 その日が過ぎた段階で、つまり御触れの日の 2 日後、 その二人はこのことに気付き届を出す。 以下同様に、浮気妻が一般に k 人いるときには、 御触れの翌日から k 日目に全員が被害届を提出される。 正確には帰納法を用いればよい。

講義の後、女の子が質問にやってきて、 「誰が浮気をしているかを夫を除く誰もが知っていると言う事実を、 誰もが知っていると言う仮定も必要なのではないか」 と言う指摘を受けた。鋭い。頭の良い子もいるものだ。 ボーイフレンドは浮気をしない方がいいだろう。