名将は兵を引く
7 時起床、20分間で全支度をして出勤、のロケットスタート。 その隙間に、 世界チャンピオン戦 の結果もチェック。 なんと、クラムニクがまた黒番のアナンドに完敗だ。 世界最高レヴェルの闘いなのだから、29. Nxd4 は「ブランダー」 と言わざるを得ないだろう。 2 ポイント差を逆転するのはかなり難しいな……。 9 時から卒研ゼミI。ランダム置換の昇順の数について。 少し雑用をして、遠い方の学生食堂で昼食をとり、 12:30 から卒研ゼミS。 ルーミス=ホイットニー不等式など。 続いて、14:10 から「プログラミング演習」。 終了後すぐに、某委員の方からの相談のミーティング。 続いて、16:00 からの理工学部教員会議。 二週間に一回も開いているせいか、一時間ほどで終了。 会議室で他の先生から、事務の方が探していましたよ、 と教えられたので、すぐに事情を確認に行く。 大した用でなく良かった。 少し雑用をしてからキャンパスを後にする。 帰宅して、夕食はまた鍋。今日は、鍋の残りのだしで、 雑炊風に御飯を米から炊くことにした。うーん、いい感じ。 今日もついヱビスビールを飲んでしまった。 いやあ、雑炊美味しい。白ワインとの愛称もいいし。
通勤中に「科学者という仕事」(酒井邦嘉/中公新書)を読む。 この春 R 大を見切って K 大に移籍した I 先生から誕生日にもらったものである。 最近、読んだところには、 「名将は兵を引く」 が研究の極意だと言うようなことが出ていた。 引き際が肝心、と良く言うが、その意味は深い。 外科手術で一番大事なのは、手先の器用さや技術ではなくて、 的確なところで引き返せる判断だそうだ。 戦だって、商売だって、引くところで引けるか、 後にうまく託せるかが難しく、しかもそれが正しかったか、 未来にしか分からない。そしてそれが出来て初めて名将、 名経営者だ。 研究でも、どこであきらめるかが難しい。 何も結果が出ないのにずっと同じ問題を考えていて鳴かず飛ばず、 そのままになってしまった、などと言うのは良い方だ。 少なくとも、自分は難しい問題に限界までチャレンジした、 と言うプライドが残る。もっと悪いのは、 とりあえずやっていれば何かは出てくるものだから、 手慣れたことをずるずると大した意味なくやっている、 と言うケースで、こういう研究者は(私を含め)多いと思う。 こんなに自分をつぎ込んでしまったことをやめて、 新しい方向に転換することがいかに難しく、 いかに大事か、それがまさに極意であることが分かるのは、 かなり年季を積んでからだ。 つまり、時間がない、と言うことに気付いてからだ。
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