Tuesday, February 28, 2006

問題解決

今日も寒い。 昼食のサンドウィッチを作って、出勤。 個研で昼食を済ませて、 13時から来週から始まるシンポジウムの最終打ち合わせ。 振り返れば、もうこれで 6 年目、 最初からコミティに参加しているが早いものである。 A 堀先生によれば、 この国際会議のプレスティジはかなり高くなっているそうな。 本当? ともかく、毎年、この大きな山が終わって、 ようやく春休みらしい気分になれる。 ちなみに、 こちらが今回のシンポジウムの専用サイト, Stochastic Processes and Applications to Mathematical Finance 2006. 私も講演者の一人だけれど、 確率過程ともファイナンスとも何の関係もない話をする予定で、 今から憂鬱。

午後の会議の分、後ろにずれて夜も少しお仕事。 今日、購入した本は、「ジョエル・オン・ソフトウェア」 (J. Spolsky 著/青木靖訳/オーム社)と、 「問題解決への数学」(S.G.Krantz 著/関沢正躬訳/丸善)。 ソフトウェア開発のマネジメントをやっているわけではないが、 人生はソフトウェア開発とそのマネジメントそのものなので、 必読かと。 Krantz はこの分野の新たな名著の一つでもあり、 問題解決は私の人生のテーマの一つなので。 買わずじまいだったのだが、ふと生協の本屋で発見して購入。 どこかで見た名前だと思ったら、 数学の英語論文の書き方の指南書で有名な Krantz と同一人物ですな。

Monday, February 27, 2006

ピアニシモ

数日前まではもう春かとさえ思い、 これが一雨ごとのあたたかさ、と言うやつかしらん、 とさえ思っていたのだが、 また急に気温が下がってきた。春はまだ遠い。 気候に関わらず、寝起きが悪いのは相変わらず。 朝食のブラックコーヒーの後も午前ははかどらず。 昼食はペンネ・アラビアータ。 雑用を少しした後、午後は仕事。 夕食はちりめん山椒を使って甘口の焼き飯、 蒟蒻の土佐煮の残り。

昨日、今月の給与の端数をかけた執事とのチェス。 45分ギロチン、黒番、ジオッコ・ピアノ (どこかで d3 が入ったので、ジオッコ・ピアニシモだったかも)。 ジオッコ・ピアノは激しい展開になることが多いのに、 どうしてピアノなんだろう? ピアニシモですら、けして静かではないと思うのだが。 はたして、ゲームはかなりタクティカルな展開。 中盤まで押され気味だったが、白から 1R ただ取られのブランダーが炸裂し、 あっさり勝ち。またしてもラッキーで無敗記録をのばす。

Sunday, February 26, 2006

ひきこもり

雨の日は良く眠れる。目が覚めたら11時近かった。 昼食はカルボナーラ。 午後は仕事。 夕食は御飯を炊いて、高野豆腐の卵とじ、 蒟蒻の土佐煮、ちりめん山椒、韮の味噌汁。

最近、引きこもり気味だな… 用事がなければ外出しないのは当然のことではあるが、 もう少しは社会的になった方がいいかも。

Saturday, February 25, 2006

フリー・ドキュメント

午前中は少し趣味の勉強。Penrose 本など。 昼食はベンガルカレー。 午後は仕事。夕方、近所のワイン屋に注文していた、 トリュフのチーズとワインを 受け取りに行く。 夕食は一汁一菜の粗食。

無駄に時間を吸い取り、 生産性を下げると言うマイナス面もあるが、 知識や情報や学習の機会のコストをほとんどゼロに下げる可能性がある、 ということで収支はプラス無限大だろう。 例えば、現在ではかなりの量の教科書 (textbook revolution)、 論文雑誌 (Directory of Open Access Journals)、 プレプリント (arXiv.org) に無料でアクセスできる。 何か興味のあることの教科書や論文なりを、 貴方も上のリンクから探してみてはいかが。 あっと言う間に、いくらでも暇がつぶせます。 ただ、英語が読めなくてはならないのが問題。 サイエンスの分野については、もう英語で仕方ないか、 と思わないでもないが、 他のジャンルではもっと色んなものが日本語でフリーで読めるべきだと思うなあ。

Friday, February 24, 2006

二回転

昼食はオムライス。 午後は京大の金曜セミナへ。 講演者は奈良女の M さんで、 条件付き一般化拡散過程とその集団遺伝学への応用について。

普通の物体は 360 度回転すると元通りになる。 しかし、一回転では「逆」の状態になって、 二回転でようやく元通りになる、というおかしな概念を「スピノル」と言う。 数学的にはもちろん意味のある良い構造だが、 現実世界の非常に微小な構造でスピノル的なものがあるらしい。 (と言うより、 スピノルの名前は素粒子の状態の「スピン」から来ているんだったと思う、確か)。 で、このスピノルを説明するときに、 数学的に構成するだけでなくて、 実際にイメージが湧くものがあった方がいい、 と言うことであろう、 次のような例を挙げるのがお約束のようだ。

幅のある帯のようなものの一端をどこかに固定し、 もう一方の端は栞のように本に挟む。 そして、この本を帯の出ている方向を軸に一回転すると、 帯に一回転分ねじれが出来る。 さらに、もう一回転すると、もちろん二回転分のねじれができる。 しかし、ここがちょっと不思議なところだが、 実はこの二回転分のねじれは存在しないのだ。 実際、本の姿勢を変えないままに帯をくぐらせると、 この二回転分のねじれが消えてしまう。 つまり、これはスピノルなのである、と。 まあ、その通りなのだけれど、 そして初めてこれを自分で試したときには、 ちょっと驚いたのは事実だが、 何だかあまり良い例でないような気もする。 私達の身の周りに人間スケールで観察できるもので、 スピノル的なもっと良い例はないものだろうか。

Thursday, February 23, 2006

復旧

夜になって復旧。 新しいハードウェアと換装して、無事に正常起動。

一日、ネットワークを完全に遮断するだけで、 信じられないほど仕事が進む。 GTD よりも超整理法よりも効果のある驚異の生産性向上法、 「まる一日、プラグを抜く」。 お試しあれ。

夕食は久しぶりに外食。 近所のバーへ行く。 牛の胃袋のトマト煮込み、ボロネーゼソースのパスタなど。

Wednesday, February 22, 2006

切断

昨日の午後あたりから、自宅からのインターネット接続が出来なくなり、 夜になって自宅のネット環境管理者の執事に相談したところ、 ハードウェアの故障らしかった。 「これでいよいよ世間と断絶しましたね…」と嫌味を言われつつの見立てでは、 復旧の見込みは交換機器の届く明日木曜日の夜以降。 運が悪ければ、しばらく孤立かも。 この更新は昼休憩中に研究室から行いました。

そのようなわけで、孤立状況の一日を過すが、 これで気づいたことには、 私はなんと多くの無駄な時間をインターネットで過していることか。 ちょっとアンリーチャブルになっただけで、 大変に充実した時間が自宅で過せた。 普段は時間がありあまっているわけでもないのに、 意味もなくPCの前にいて、意味もなく時間を浪費している。 例えば、本当に私は数十の blog を RSS リーダでチェックする必要があるのか。 (少なくとも、「しょこたん blog」 は読まなくていい。)

サイード「知識人とは何か」、読了。いろいろと反省。 イーガン「万物理論」、読了。 イーガンは細々した背景のアイデアも面白いが、 この作品全体の仕掛けになっている大ネタは以前の「順列都市」の発想に似ている。 基本的に理論や情報が物理世界を究極的かつ、 実際的に支配してしまう、いや、その間に差はない、 という主張がいつも軸になっているようだ。

Monday, February 20, 2006

応用

自宅で簡単パスタの昼食を取ってから、大阪大学へ。 今回だけ月曜開催の「火曜セミナ」に参加。 講演者は、Le Jan さんと Ma さんの二階建て。 Le Jan さんは相対論的な拡散過程、 特にシュワルツツシルト空間の拡散過程について、 Ma さんは平面に円をでたらめにばらまいたときに、 覆われない部分がどれくらい残るかの話。 後者はいかにも色んなことに応用できそうな話だが、 実際はこんな理論的な評価はしないで、 モンテカルロ法で数値実験して、こんなもんでしょ、 と言うことで済ませていて、しかもそれで何の問題もないような気はする。 あくまで応用のふりをした純粋数学的問題だろうな。

大宮に帰りついたのは7時前、 近所のカレーライスのチェーン店で夕食を済ませて帰る。

Sunday, February 19, 2006

フレンチ

そろそろ三月上旬のシンポジウムの講演準備もしなければいけないのに、 どうも気分が乗らない。 ちょっと考えていることもあるので、 新しいことをするのとやったことをまとめるのとの間で、 どっちつかずになっている感じ。

昼食は御飯を炊いて豚丼と根菜の味噌汁。 食後に仮眠を取ってから、午後はお勉強を少々。 夕方、暇そうにしている執事を発見したので、 チェスを一局。 各 45 分のギロチン。黒番、フレンチ・ディフェンス。 中盤からはこちらの読みが浅くてずっと劣勢だったが、 お互いに最悪手を応酬した結果、 白からパーペチュアルのドロー。 うーむ、今年に入って運良く無敗ながら、内容として負けていた局は多い。 この局も実際ははっきり負けだった。 自分で選んでいるものの、フレンチとの相性が悪いような。

夕食は白菜と鶏の鍋、雑炊。 食後は、昨日張ったチェロ弦の様子を見るため、軽くロングトーンなど。 新品の弦はいつも輝かしい音がする。 人間も身体のどこかを新品に張り替えられればいいのだが。 私が下の方の弦に使っているオイドクサは、 その柔らかさのせいかややコントロールし難い。 ガットコアの中でも素人向きでないようだが、 弓で弾いた感触がどことなく良い感じだし、 音色も好きなのでお付き合いしている。

Saturday, February 18, 2006

餃子

朝は定期バックアップの後、少しお勉強。 昼食はショートパスタでカルボナーラ。 どんなものだろうと好奇心で作ってしまったが、 やはりこれはちょっと違う。 午後は、三条の十字屋にチェロ弦を買いに行く。 知らない間に弦楽器部門が独立して、 すぐ近所のビルの二階に引っ越していた(「かに道楽」の前あたり)。 運良く、チェロ関係のセール中でチェロ弦も三割引きだったので、 ついでにスペアも買っておく。 河原町からは丸善も Book 1st も消えてしまったため、 時間をつぶすところもなく、さっさと帰宅。 チェロに C 弦を張って時々調整しながら、 夕方まで読書。 気温が低いせいか、ガットコアでもそれほど延びないようだ。 今日中に落ち着きそうな気配。 読書はイーガンの「万物理論」の続きと、 サイードの「知識人とは何か」(大橋洋一訳/平凡社ライブラリー)。

餃子 夕食にはまた小麦粉から餃子を作る。 餡は豚肉、白菜、韮。 皮も円形にうまく出来るようになったし、 手際もかなり良くなってきたが、 全体としてはまだまだ改善の余地がある。 特に、 もっと丸っこい、ぷっくりした感じにしたいのに、 焼き餃子のイメージに引きずられてか、 蜜柑の房みたいな形になってしまうのが問題。 やはり最後まで残る課題は包みか… まあ形はともかく、 二回に分けて茹でて、茹でたてを食べよう、 と思ったら、黒酢が切れている。 やむなく、普通の米酢と醤油で。

Friday, February 17, 2006

万物理論

キャンパスで昼食をとる暇がなさそうだったので、 かなり早めの昼食を自宅で済ませて出勤。 午後は博士課程進学の面接試験、 続いてその合否判定会議、 少し間をおいて、別の議題の教室会議。 夕方、BKC を後にする。気温がまた下がってきたような。 夕食はちょっと久しぶりに鍋。 今日もおじやは完璧だ。

今さら、だろうけど、 グレッグ・イーガンの「万物理論」、面白いなあ。

この Blogger は結構たびたびアクセスできなくなるように思うのだが、 サーバ負荷の問題だろうか。 blog とは言え、もう少し安定してもらいたい。

Thursday, February 16, 2006

現実への道

昨日に続き、雨。 昼食は一汁一菜の粗食。 夕食は昨日から仕込んだ豚角煮で角煮丼。

仕事や勉強や家事の合間に、ペンローズの "The Road to Reality" をつまみ読みしている。 ハードカヴァー版はイギリスで人にあげてきたので、 後で出版された Vintage 社のペーパーバック版を買い直したもの。 このペーパーバック版の表紙に、Sunday Times 紙でトップテン・ベストセラーに入ったと書いてある。 Times とは言え、それは凄いな… 千ページを越す数学の本がトップテン入りとは。 日本にはクオリティ・ペイパーが存在しないから、なおさら想像しにくい。

ところで、この前、 I 波書店の編集者の方とお会いしたときに、 この本はすごい本だから翻訳しないといけないと主張したのだが、 現実的には無理でしょう、とのことだった。 ペンローズのレンガのように分厚い一連の科学(啓蒙)書は、 みすず書房が翻訳を出版している(「皇帝の新しい心」とか)。 でも、さすがにこれはほとんど数学の本だけに、 難しいだろうなあ、と思う。 どれだけ売れるかと考えると、確かに現実的でない。 でも、もし、翻訳を出してやろうと言う根性のある出版社があれば、 微力ながらお手伝いしたいです。

Wednesday, February 15, 2006

新青春エンタ

採点期間中は仕事の後、ほとんど頭が働かないので、 読書に西尾維新の戯言シリーズを読んでいた。 これが新青春エンタですか…、と二十歳ほど若返った気持ち(嘘)。 最後まで読むまでもないことは途中で分かったが、 行きがかり上、シリーズ読破してしまった。 やはり、非常に若くしてデビューすると、 すぐに書くことがなくなってしまうようだ。 これからどうペースを取るかが問題だろうなあ。 と他人事ながら心配してみたり。

午前中は使いものにならなかったが、 午後はちょっと仕事。 息抜きに久しぶりにチェロでも弾こうかな、 と思ったら、C 弦が切れていた。 スペアもなくなっている。 そんなに古くはないはずだが、 最近の気候の変化にガット弦が耐えられなかったか。 夕食はオムライス。 残っていた鶏レバーでソースを作り、 ちょっと変わった感じに仕上げてみた。 食後は、グレッグ・イーガンの「万物理論」(山岸真訳/創元SF文庫) を読みつつ、豚の角煮を作りおきする。 以前にトンポーロを作ったのだが、 あまりに大変だったので今回は和風のレシピ。 とは言え、「一時間半、下茹でする」とか、 結構の手間ではあった。

執事とのチェス。先月分を引き分けたため、決着戦。 各30分のギロチン。 白番。ルイ・ロペスに対して、シュタイニッツ・ディフェンス。 序盤から優位に進め、 2 ポーンアップのエンディングに入ったところで、 黒のポカであっさり勝ち。

Tuesday, February 14, 2006

ブルーチーズ

海苔弁当を作って、出勤。 午後、会議。 気候がちょっと暖かくなったせいか、 無闇に眠い… 疲れているのかも知れないなあ。 採点ウィークの後とは言え、 そんなに働いたような気もしないのだが。

夕食は鶏レバーのソースのスパゲティを作って、 赤ワインで食す。 デザートはブルーチーズ(ロックフォール・カルル)。 私はブルーチーズ好き。 食後に、珈琲。

Monday, February 13, 2006

味ばなし

採点週間、予備日も含めて全て終了。

拘置所に拘留、とでもなったら、 私ならどんな本を差し入れて欲しいかなあ… 今なら、丁度、注文していたペーパーバック版が届いたことでもあるし、 Penrose の "The Road to Reality --- A Complete Guide to the Laws of the Universe" も一つの選択か。 絶対に許可してくれそうな無難なジャンルとして料理本から選ぶならば、 「吉兆味ばなし」(一)~(四)(湯木貞一著/暮しの手帳版)の全四巻本を、 自宅から運んでもらいたい。 きっと拘置所の健康的な生活に彩が添えられると言うものだろう。

Sunday, February 12, 2006

村上サンドウィッチ

外国で最も人気のある現代の日本人作家と言えば、 ハルキ・ムラカミ。 小説自体はともかく、とても美味しそうな料理、 特にサンドウィッチやスパゲティが出てくることは確かだ。 そして、村上春樹の小説に登場する料理のレシピも当然のように出版されている。 「村上レシピ」と「村上レシピ プレミアム」 (台所で読む村上春樹の会、編/飛鳥新社)。 前者が主に洋食、後者が主に和食のレシピ集。 レシピはやや大ざっぱだし、 本格には遠い簡略化されたものではあるが、 手軽でよろしい。 特にサンドウィッチの説明は秀逸で、 読むと必ず自分でもサンドウィッチを作りたくなる。 よく切れる包丁で。

こういった、小説の中に登場するレシピ集、 と言うジャンルの本はときどき出版されるのだが、 大抵、すぐに絶版になる。 見つけた時点で買うことを心がけてはいるものの、 ああ、あれを買っておけば、と思うものが何冊かある。

Saturday, February 11, 2006

五百人前

あまり凝った料理を作っている暇がなく、 夕食には焼きそばを作った。 せめて、野菜はしゃきっとしていていただきたいので、 野菜と麺を別々に炒めて最後にあわせる、 というくらいのことはしたが。

料理と食の関係の書物の中で、 私が最も力を入れているのは、 ちょっと変わったレシピ集。 「ハッカーズ料理読本」や「亡命ロシア料理」はその代表格だが、 それほど変ではなくとも個性豊かで、 けっこう役に立つ一冊をご紹介。

「パリジャンのレシピ」(A.カマス著/上野万梨子監修・訳/文化出版局)。 パリに存在する上から下までありとあらゆる無数の厨房で料理されている、 176 種類の料理のレシピ集である。 けして普通に想像するような「ビストロ」のレシピ集でもなければ、 高級フレンチのレシピ集でもない。 ほとんどどれも、どこの国出身の料理なのか良く分からないが、 兎に角、パリで愛され、パリをある意味で代表する料理たち。 例えば、アラン・デュカスの皿焼き卵もあれば、 ソニア・リキエルのチョコレート・ムースもあれば、 街角の揚げじゃが芋もあれば、 貧しい人のためのスープ(Soupe populaire)のレシピも載っている。 貧しい人のためのスープとは、 13 区にある慈善団体「ラ・ミー・ド・パン」 が作ってホームレスたちにふるまうスープである。 そのレシピはさすが本格である、 なんとレシピの分量が五百人前

Friday, February 10, 2006

本箱

books on foods 料理と食に関する本は私の蔵書の中では、 比較的多いカテゴリーに入る。 今のところそれほど優先順位は高くないが、 いずれは「祇園書店」とむこうを張るくらいまで…、 と目標は高い。 左はその中で比較的、高尚そうな部分の写真。 "Proust, La Cuisine Retrouvee", デュマの「大料理事典」、 雑誌「現代思想」の料理特集、 などが目につく。 他の棚ではもっと実用的なものが大半。

Thursday, February 09, 2006

謎の料理人

夕食に肉じゃがを作る。 野菜と豚肉はそれぞれ熱湯をかけてさらし、 肉の脂身を使って野菜を炒め、 水で薄めただしで煮る。味つけは醤油と味醂のみ。 最後に肉を戻して少し煮る。やや熱がさめたころが美味しい。

The Cook 料理は科学であると同時に、 どこかしら魔術的なところもある。 私の好きな小説に、「料理人」(ハリー・クレッシング/一ノ瀬直二訳/ハヤカワ文庫) と言う「奇妙な味」ジャンルの物語がある。 私は傑作だと信じているが、あまり人から聞いたことはない。 コブと言う名前の小さな平和な町に、 黒づくめの服を着た、 異様に背の高い痩せた男が自転車に乗ってやって来る。 コンラッドと名乗るその男は超絶的な料理の技術を持ち、 町の人々の心を静かに捉えてゆく。 それと同時に、町は奇妙に変化してゆく… と言う、それだけのお話である。 原書はランダムハウス社から出版されたが、 著者の情報は、変名であると言うこと以外に何も明かされていない。 よほど、この小説の出版に自信があったことは確かだろう。 こんな小説を書けるところからして、 有名作家が別のペンネームを利用して書いた可能性が高いと思う。 ただ私はアメリカ文学に疎いので、誰が正体かを推理することはできない。

Wednesday, February 08, 2006

料理の科学

「Mathematica ビギナーズガイド」を最後まで終わらせた。 これでこの本がほとんど「ノートブック」に手動コピーされたので、 後はこれを時々参照するくらいで用は足せそうだ。 もう図書館に返しておこう。 夕食に餃子を作った。もちろん、皮から。 餃子を作ったことがない人は余程面倒な料理なのではないか、 と思われがちだが、 実際は(手際良くやればだが)、 一人分や二人分くらいなら一時間もあれば全てできる。 とは言え、 餃子は主食なので、かなりの量を作らなければならない。 ちまちま、ちまちま、皮を延ばしては包んで包んで包んで包んで、 茹でて食べるのは一瞬。この切なさも味の内か。

On Food and Cooking 料理はかなりの部分、サイエンスでもある。 和書では思いつかないが、洋書では以下が有名な本。 "On Food and Cooking --- The Science and Lore of the Kitchen" (H. McGee). 私が持っているのは、2004 年度に出た改訂版で、 真っ赤なカバーがかかっているもの。 初版は 1984 年で、20年ぶりの完全改訂版だとのこと。 時々、暇なときに、 でたらめに開いたページのあたりを読んだりする。 和食についてのこういう本があればいいなあ、と思うのだが。

Tuesday, February 07, 2006

料理の規律

昨日、図書館で「Mathematica ビギナーズガイド」 (T.グレイ、J.グリン著/榊原進訳/アジソン・ウェスレイ・トッパン) を借りてきて、昨日今日でちょこちょことコンピュータをいじり、 丁度半分くらいまで演習した。 私の必要から言えば、この本をマスターする程度で十分そうだ。 明日くらいには最後まで出来るかな…

昨日書いた「亡命ロシア料理」には、 このような一節があります。 「いい料理とは、不定形の自然力に対する体系(システム) の闘いである。 おたまを持って鍋の前に立つとき、 自分が世界の無秩序と闘う兵士の一人なのだという考えに熱くなれ。 料理はある意味では最前線なのだ…」。 確かに、料理とは法則であり、秩序であり、規律であり、 システムであり、ロジックであり、忍耐であります。 混沌の中から最後には完全な調和をもたらす大団円、 それが料理であるとしてみれば、 料理は音楽に通じ、チェスに通じ、ミステリ小説に通じ、 数学にも通じるのはもっとも…。いや本当に。 おそらくこの全部に強い興味を持つ人は沢山いるはずです。

実際、料理はミステリ小説と相性が良く、 沢山の本が書かれています。 例えば、料理と言うより「食」についての本ですが、 「ミステリー食事学」(日影丈吉著/現代教養文庫)など面白いと思います。 そう言えば、イギリスの音楽家が書いたレシピ集もありました。 しかし、チェスと料理について書かれた本があっただろうか… あるいは、料理と科学についての本はあっても、 数学と料理についてはどうだろうか。 もしご存知の方がいれば、御一報を。 (ルイス・キャロルの小説は確かに、この全部に言及してはいる。)

Monday, February 06, 2006

亡命ロシア料理

以下の時間、メンテナンスのためのサーバ停止。ご注意を。
6th Feb 2006, 7-8PM PST.

今日から入試採点週間、開始。 採点進捗の調整のための予備日も入れて、 今日から 13 日(月曜)までの 8 日間。 その間は、日常の話題はなし。

以前、やはり採点シーズンに、 私が所蔵している変な本として、 「ハッカーズ料理読本」(J. Johnson 著/ 西尾操子訳/アスキー出版局) のことを書いたが、私が持っている変な料理本はこれだけではない。 例えば、 「亡命ロシア料理」(ピョートル・ワイル、アレクサンドル・ゲニス著/ 沼野充義、北川和美、守屋愛訳/未知谷)。 ロシア料理ではない。 亡命ロシア料理である。 ロシア人亡命者のノスタルジア、魂の料理を紹介する、 実践レシピ付き、料理と人間と文明と亡命についてのエッセイ。 この本が単なるレシピ集でないことを知るには、 まずは訳者に注目していただきたい。 そして、以下は前書きからの引用。

「愛を打ち明けるとき、 日本人は手のひらを胸にではなく、胃のあたりに当てるという… (中略)… 白人は高尚なことを話すとき、胸ポケットのあたりをぽんぽんと叩く。 そこには、パーカーの万年筆や、ハンカチや、 さらには財布さえあるかも知れないが、魂だけはない。 魂があるのは、ボタン三つ分ほど下なのだ。 どんな緯度にも、経度にも、そして土地のどんな高低にも慣れることはできる。 しかし、人間を家と結び付けるヘソの緒は、 もちろん、腹から出ているのであって、 心臓からではない。心臓というものは、 考えてみればわかることだが、 変幻自在で、猿の心臓にだってなり得る。 しかし、胃袋には言うことを聞かせるわけにはいかない。 たとえば、アボカドは食べ物であって飾りではないと、 胃袋を説得しようとすれば、わかるはずだ…」

同じ箇所で引用されているロシア人作家エロフェーエフの言葉。 「人生は人間に一度しか与えられない。 だから、レシピを間違えずに生きなければならない」。

Sunday, February 05, 2006

ニョッキ

早起きに失敗。明日の採点開始にあわせて起きられるかなあ… 午前中はちょっとまた Mathematica の「ノートブック」を整理。 昼食にオムライスを作る。 ちょっとオムレツを作る手際が良くなかった。 まあ何にせよオムライスはオムライス味。 食後に珈琲。 今日も寒いし完全引きこもり生活を続けていたかったが、 珈琲豆が丁度切れた。 ガソリン切れでは止むを得ない…、 近所まで珈琲豆を買いに行く。 午後は特に何と言うこともなく、 日曜日らしく安息に暮らす。 夕食はじゃが芋と小麦粉でニョッキを作り、 昨日作っておいたトマトソースで食べる。

先月分の執事給与の端数をかけたチェス。 40分プラス30秒のフィッシャー式。 黒番、フレンチ・ディフェンス。 謎のバリエーションの対応を間違い、 中盤に入って良い所なし。 ナイトを5段目、 取れないポーンを6段目に置かれ既に必敗。 ここで事実上は勝負あった。 しかし、お互いブランダーを応酬した後、ドローの提案を承諾。 時間があってもびっくりするようなブランダーが出るのは、 どうしてなのか。 大体、かなり時間を使ってあれこれ考えた後に、 「おや、こんないい手があったじゃないか」 とふと思いついて、大してチェックもせずに指した手がポカ。

Saturday, February 04, 2006

未来の生活

しばらくサーバがダウンしていた模様。(12:30, 5 Feb 2006).

昨夜はかなり早い時間から猛烈な睡魔が襲ってきて、 そのまま就寝。今朝の9時くらいまでたっぷり寝てしまった。 特に理由は思い当たらないが、疲れているのだろうか。 朝から雪が散らつき、今日の最高気温は 2 度だとか。 朝食は珈琲のみ。 午前中は私事の事務用をあれこれ。 昼食は御飯を炊いて一汁一菜の粗食。 夕食はペンネ・アラビアータ、じゃがいもを焼いて簡単なつけ合わせ、 白ワイン。食後に珈琲とデザート。

午後は Mathematica で遊ぶ。 私は普段は数学研究に全く計算機を使わないが、 K 大の S 君が最近、よく Mathematica で遊んでいるらしくて、 会うとその話を聞くのでその刺激を受けて。 一通りチュートリアルとデモを試してから、 膝に猫をのせて「楽しいにゃー」とか言いながら、 気になっていた不等式の数値実験をあれこれ表示させたりしている内に夜。 うーむ、これは有意義な時間だったのか、無駄だったのか。

こんな話も思い出した。 昔読んだ子供向けの SF みたいなもの。 ほとんどの労働が機械で置き換わってしまったため、 人間は働く必要がなくなってしまった世界。 科学や芸術すら機械が押し進めている。 人間がすることは機械には出来ないとされている、 「知恵」や「発想」を教えてやることだけで、 具体的には人間は時々何か面白いことを思いついたら、 世界を納めているマザーコンピュータにそれを送信することだけが唯一の仕事。 マザーコンピュータはそれを検証したり、 刺激にしたりして、世界を進歩させ統治している。 あるいは、それは人間の自尊心を傷つけないためだけで、 コンピュータは人間の「思いつき」をノイズとして利用しているだけなのかも、 あるいは、全てスパム処理しているだけなのかも知れない。 昔は役にたっていたこともあったのだが。 そんな話だったような…、ひょっとしたら、私が夢の中で読んだのかも。

Friday, February 03, 2006

雪の恵方

昼食に鶏雑炊を作る。やっぱり雑炊は鶏が一番美味しい。 午後は京大の金曜セミナ。 セミナが終わって河原町あたりまで帰ってきたら、 雪が散らつき始めた。 夕食は河原町に出たついでに、 祇園の某バーにて。 今日は久しぶりに客の入りがいいとかで、 「人との触れ合いっていいですね」と F シェフがしみじみ語っていた。 六角新町の店にいた頃からそんな調子だったが、 これはジョークなんだろうか… テリーヌ、キッシュ、エスカルゴの前菜、 メインは雛鳥の煮込み料理。シャンパンと赤ワインを一杯ずつ。

帰宅。お茶をいれて、買ってきた太巻きを食す。 今年の恵方は南南東だそうだ。

Thursday, February 02, 2006

悲しき技能

来週月曜から始まる採点シーズンに向けて、 少しずつ早起きするようにシフト。 午前、午後と三月の国際シンポジウムの講演アブストラクト作成、 夕方メイルで事務局に送る。 合間に読書。フリーマン・ダイソン自伝、「宇宙をかき乱すべきか」。 深く感動。 ダイソンは有名な科学者ではあるものの、 私にとってはややマイナーな名前だったのだが、 自伝を読んで考え直した。 少なくとも、これほど深い教養と学識を備え、 こんなに美しい文章を書ける科学者はそういないし、 この特異な個性は比類ない。 私は科学者や数学者の業績の偉大さよりも、 その人間性や個性、人生そのものに魅かれる傾向があるので、 その意味でダイソンは私のヒーローの一人になるだろう。

昼食は豚丼、豆腐の味噌汁、白菜の漬物。 夕食は、 ブルーチーズのショートパスタ、 メインに鶏肉を焼いて、肉汁とワインで適当にソースを作る。 食後に珈琲。 自分が、ああ美味しい、と思えるものを自分自身で作れる、 ということは幸福の一つなのか、 それとも悲しい技能なのだろうか。

Wednesday, February 01, 2006

好きなことをする

雨。昼食はいつもの一汁一菜の粗食。雨の中、出勤。 私は研究室の照明をつけないので、 雨の日は薄暗い。研究室で読書。 ダイソンの自伝、「宇宙をかき乱すべきか」。 夕方から短い会議。 夕食は白菜鍋と雑炊。

好きなことをして生きていきたい、 とか、好きなことを仕事にしたい、 と誰もが思うものだが、 天才プログラマ P. グレアムのアドバイス "How to Do What You Love" ( 原文、 naoya_t さんによる 翻訳 )。