Thursday, July 31, 2008

石垣の数式

8 時起床。今日も京大正門前へ。 朝は最適輸送問題の第三回レクチャーと、 ラフパス入門の第三回レクチャー。 昼休憩の間は、進々堂で講演の準備などをした。 今日の午後はヴァラエティに富んだ話が色々あって、 お茶の時間の後、今日の最後の招待講演は私。 相変わらずひどい発表だったが、まあ災害は避けられたか。 講演の後、すぐに L 先生がやってきて、 「なんて控え目なんだ。どうしてもっと非線形フーリエ変換の話をしない」 と怒られたが、まあお喜びのようだった。 そのあとは会場に誰もいなくなって、 オーガナイザに追い出されるまでずっと数学の話をされ、 結局バス停まで一緒に行くことになった。

もちろん一方的に数学の話が続く。 歩きながら、ここは紙に書かないと良く分からない、 とおっしゃり始めたのだが、そのまま聞き流していると、 ついに L 先生は立ち止まって石垣の岩に指で数式を書き始めた。 どうやら書き出しは何かのフーリエ変換らしかったのだが、 見ている内に既に数式は二行目に入ったらしくて、 もう何やら分からない。 そこは私も伊達に一年間オックスフォードにいたわけではないので、 ずばり、「スミマセンガ、てりー、ソレ見えマセン」 と途中でやめてもらった。 バス停に到着しても勢いは止まらず、 L 先生が乗るバスが来ても、まだ話している。 「さっきの講演の条件は微分についてだったが、 F のダッシュダッシュを考えると二次のラフパス条件に…」 「てりー、バス来マシタ」。 L 先生は後ろ向きにバスに乗りつつも、 バス停で手を振っている私に向かってまだ大声で話し続けている。 「これから予想するに三次の微分を使った条件で三 (ぷしゅー:バスのドアの閉まる音) (次のラフパス条件が得られることは帰納的に…)」 あたりでバスが遠過ぎて姿が見えなくなった。 ドアが閉まったあとは身振りだけしか分からなかったが、 多分、上の通りだろう。 しかし、バスの中の他の乗客はどう思っていたのだろうか。 そんな L 先生を見送ったあと、 百万遍まで歩き、バスで家に帰る。

19 時前に帰宅して、近所のバーに電話を入れて、夕食に行く。 シャンパーニュを一杯。 一仕事終わったのだから、これくらいの贅沢はいいだろう。 ラタトゥイユのキッシュと、鱧のソテーのマデラソース。 20 時半くらいに帰宅。 MSJ-SI は来週まで続くが、自分の講演が終わってあとは気楽。

Wednesday, July 30, 2008

研究会三日目

8 時起床。バスで京大正門前へ。 MSJ-SI の三日目。 午前は情報幾何の創始者による講演と、 O 大の A 先生のラフパス入門レクチャー第二回。 一日だけ顔を出した K 大の S 君、 講義を終えたあとの A 先生、 オックスフォードの L 先生と学内のカフェテリアで昼食。 今日は午後もほとんど情報幾何関係の講演。 夜は京大会館にて立食式のパーティ。 会場に移動する最中に S 君にパズルを教わり、 パーティ中に考えていたらほとんど人と話が出来なかった。 20 時半くらいにお開きになって、 百万遍あたりまで A 先生と一緒に歩き、バスで帰る。

三日目にしてもうかなり疲労。舌が腫れてきた。 明日の講演さえ終われば、気楽になれると思うのだが。

Tuesday, July 29, 2008

輸送問題

8 時起床。バスで京大へ。 MSJ-SI の二日目。 午前中は最適輸送問題と幾何学の連続レクチャー第二回、 O 大の A 先生のラフパス入門の連続レクチャー第一回。 午後はランダム行列の話や、幾何学の話などが続き、 お茶の時間のあと、最後の講演はまた幾何と輸送問題の話。 やはり輸送問題の講演が多いようではある。 輸送問題とは、素朴な例で言うと、 「京都のあちこちに弁当工場があって、 また京都のあちこちにコンビニエンスストアがあるのだが、 それぞれの弁当をどの店に運ぶことにすると一番輸送コストが小さくなりますか」、 と言う問題。 解くこと自体は大変難しい問題だが、 最近はこのアイデアが色んな所でツールとして使えることが分かってきて、 研究が盛んになっている。 例えば、マルコフ連鎖の混合時間の評価にも使えるし、 幾何学の問題にも使える。 今日の日程が終了してバスで家まで帰る。 夕食はペスト・ジェノヴェーゼを使って、 バジルのスパゲティ。

第一回 MSJ-SI のテーマは幾何学への確率論的アプローチ。 事前には、 やはりポワンカレ予想の解決後の今、 リッチ・フロー関係の講演が中心なのかなと想像していたのだが、 実際はかなりヴァラエティに富んでいる。 幾何学に輸送問題を応用する話とラフパスがメインのようだし、 リッチ・フローの話も勿論あるが、 他にも SLE(確率レヴナー方程式), ランダム行列、 ランダム群、熱核評価、フラクタル上の確率過程、情報幾何学、etc. と何でもありで、しかもいくつかのテーマが混じったような話もある。 実際、確率論と幾何学は相性が良いので、 大抵は OK なんじゃないだろうか。

明日の夜はパーティなので、更新は少し遅くなると思います。

Monday, July 28, 2008

豪雨の時計台

朝 8 時起床。 すぐに家を出て、バスで京大へ。 河原町のあたりで沢山外国人が載ってきたな、と思ったら、 O 大の K 君に引率されているところを見るに、 どうやら全員が MSJ-SI の参加者らしかった。 京大正門前に到着。 ウォーウィック大でお世話になった E 先生がいて、 会場まで雑談しながら歩く。 時計台の中にあるホールにて MSJ-SI 研究会の初日。 招待講演者の他にも、海外からけっこう沢山の若者が来ている。 オーガナイズは大変だろうなあ、 と最近の私はつい思ってしまう。 数学会の理事代理が研究会の歴史と趣旨など簡単な挨拶をしたあと、 今日のプログラム。 朝は連続レクチャーの第一回続きで、 V 先生の輸送問題の第一回、L 先生のラフパスの第一回。 午前中から激しい雨が降り出し、外に昼食に出られなくなった。 やむをえずしばらく並んで、 時計台の中にある唯一のレストランに入り、 TK 大の N さんと昼食。 午後も招待講演やその他の講演が続いて、 最後に少し長いお茶の時間のあと、招待講演が一つで終了。 毎日これが繰り返されるようだ。今日の午後の休憩時間は、 オックスフォードでお世話になった L 先生につかまって、 数学の話などしていた。夕方、日程が終了したものの、 また激しい雨に閉じ込められる。 しばらく雨宿りしていたが止む気配もないので、 購買部で傘を買って、バス停まで。19 時頃帰宅。夕食はかけ蕎麦。

凄い雨だったな、と思っていたら、 京都ではあちこちで避難勧告が出ていたようだ。 床下浸水もあったらしい。

Sunday, July 27, 2008

バジル

9 時過ぎに起床。今日はやや曇り空。 予報では今日も体温程度の最高気温だが、少し低めになるのかも。 午前中は少し棋譜など並べて遊ぶ。 昼食はキャベツのスパゲティ。 午後は OHP シート書き。 夕食はまた王将の餃子を焼く。 知り合いの方からバジルを大量にいただいたので、 夜はペスト・ジェノヴェーゼを作りおきする。 松の実と胡桃の実をローストしながら、葉をむしる。 フードプロセッサを持っていないので、作業が大変だ。 あまりに沢山なので半分だけしか処理できなかった。 同じ方からイタリアン・トマトと葡萄もいただき、 これらは冷蔵庫に保存した。 私の実家にも何故か野菜が植わっている庭と、 さらに小さな畑があるが、 持つべきものは田舎の知り合いだ。 これでしばらく生きていけそう。

明日から二週間、数学会の 第一回 MSJ-SI(季期研究所) が京都で開かれる。 私の講演は第一週木曜日のラスト。 定期試験の採点を別にすれば一応二週間予定をあけてあるので、 ほぼ全日参加するつもりではいる。 でも途中でバテそうなので、適当に休みを入れたい。

Saturday, July 26, 2008

Anyway

9 時起床。窓から見ると、外はもう白熱している。 今日も京都は 37 度を越える猛暑。 いや、まだこれから 8 月があるところからして、 これくらいは猛暑とは言えないのかも知れない。 朝食代わりの珈琲を飲み、 午前中は講演の準備をようやく本格的に始める。 もう次の木曜日なのだけれど。 私は常に OHP シートに手書き派。 今日、下書きを作って、セリフをつけ、 明日清書する手はず。 英語で講演するのがとても下手なのだが、 経験を積んだ結果、神経だけは太くなった。 どれくらいかと言うと、 質問が分からなかったら(大抵よく分からないのだが) "Anyway" の一言で勝手に話を続けるくらい。 昼食は御飯を炊いて長葱の味噌汁を作り、 沢庵とちりめん山椒で食べておく。 午後も下書きの続き。夕食は炒飯。

© HARA, Keisuke 2008

Friday, July 25, 2008

ディスカバー・キョート6(下鴨神社の御手洗祭)

8 時過ぎに起床。少しファイナンス仕事をして、 洗濯と掃除機がけ。今日も外は、真っ白に燃えるような暑さ。 何だか今年の夏は例年とは違うように思う。 光線の強さが尋常でないような。 昼食は「王将」の餃子。午後はゆっくりと講演の準備など。 夕食は冷麺。具は茹で卵と長葱。 食後に冷たい珈琲。

昨夜は、 下鴨神社の 「御手洗(みたらし)祭」に行った。 御神水が湧く御手洗池で足を洗って禊をする、と聞いたので、 それは一所懸命に足を洗わないといけないな、 と思って行ってみることにした。 神社に到着すると結構な人出、 その中で大勢の人が集まっているあたりが御手洗祭らしかった。 浴衣を着た美女がひっそりと池の水辺でさらさらと白い足を洗ったりして、 人に言えない思い出に物憂げにしていたりするのだろうな…… などと想像して、流石に京都の祭は奥床しくもエロティック、と思っていたら、 なんとこの大勢がみんな膝上までまくり上げて、 ざぶざぶと池に入って向こう岸まで渡るのである。 勝手なイメージを壊された腹いせに、 京都と言うと「しっとり」とか「はんなり」とか想像しがちだが、 実際の京都にそんな繊細な感性があるのかどうか疑わしいものだな! と舌打ちをしつつ、私もざぶざぶ、ざぶざぶ、と池を渡って行く。 思ったより池は深く、まくり上げたジーンズの端が濡れてきた。 どうやら、池の中ほどのあのあたりの蝋燭から火をもらうらしい。 ちなみにシステムは、池に入る前に竹籤の先につけた小さな蝋燭を受け取り(200円)、 池の途中で火をもらい、向こう岸についたところでその蝋燭を立てる、 という仕組みだ。 池の水はかなり冷たい。ひんやりと言うレベルではなくて、冷たい。 池の深度は一番深いところで私の膝より少し上くらいか。 水は飲めるくらい綺麗だし、 足元もなめらかな石が敷き詰められた感じで危険はない。 小さな子供から老人まで大勢でぞろぞろと池に入っていくので、 もう神事なんだか水遊びなんだか分からないと言うか、 インド新年ガンジス川中継と言うか、 「とん祭」とまでは行かずとも一種、奇祭である。 手に蝋燭の火を持って人を掻き分け冷たい池を渡っていたら、 ひょっとしたら三途の川と言うものは、 こういう賑やかなところなのかも知れないぞ、と思った。 本番では六文くらい出しても渡し船を頼みたいものだ。

例年土用丑の日の祭らしく、 今年はその7月24日(木)から27日(日) の早朝 5 時半から夜の22時半まで開かれている。 屋台も沢山出ているのでお祭気分も味わえる。 今週日曜日の夜までなので、御興味のある方はいかが。 人が少ない時間に行くと、また別の趣きがあるかも。 膝上まで裸足になれる格好で、 タオルを持参されるとよろしかろう。

ところで、京都の人なら誰でも知っていることなのかも知れないが、 「みたらし団子」はこの御手洗池の水の泡を象ったものなのだそうだ。 何となくああ言うタレにつけた感じのことを「みたらし」 と言うのかとこの年まで勘違いしていた。

Thursday, July 24, 2008

足を洗う / 再度、タルタコワ

8 時起床。今日も朝から、かなり勢いのある暑さ。 京都は連日、体温程度の気温が続いている。 キャンパスに到着して、午前中は Do It Tomorrow な仕事を次々とバッチ処理。 外国からのお客の世話の関係で少し調査してからメイルを書き、 先日の物理の先生の問題でメイルを二つ書き、 資料を送っていただいたお礼のメイルを書き、 来週の理工教員会議の欠席届けを出し、 昨日の出張報告書を出す。以上 5 件優先順、合計約 1 時間。 昼食は学生食堂にて。 食後はしばらく読書。「星の王子さま」(サン=テグジュペリ/河野万里子訳/ 新潮文庫)。 午後から試験監督二つ。 「シミュレーション技法」と「情報理論」。 「情報理論」の方は人数の多さにびっくりした。 理屈では何人と分かっていても、 普段は20人もいないくらいの教室が後ろまで全部一杯になっていると驚く。 夕方、今日の業務を終えて、下鴨神社へ。 久しぶりの、ディスカバー・キョート企画。 初体験だが、何でも足を洗って、御祓いするんだそうだ。 足を洗いたいことが色々ある人にはぴったりの企画。 これは予約更新ですので、詳しくはまた明日。

昨夜、タルタコワについてちょっと調べていたら、 ルーク・サクリファイスで有名なダッチ・ディフェンスの棋譜は マロツィ vs. タルタコワの快勝譜だった。 まだ展開が済んでいないところで見切り発車的にルークを捨て、 もう一つのルークも華麗に捨てるカラフルなゲームで、 この棋譜に憧れてダッチを指しては現実の厳しさに気付く人は多い(多分)。 そして、 キャパブランカの最も有名なルーク・エンドゲームの対局相手もタルタコワだった。 「完全チェス読本2」(フォックス&ジェイムズ/松田道弘訳/ 毎日コミュニケーションズ)によれば、 「この時代にあって最も想像力豊かなプレーヤー」 だったとのことである。 ちょっと興味が出てきたので、 暇なときにもうちょっと棋譜を並べてみよう。

Wednesday, July 23, 2008

タルタコワ / カラフルな人生

8 時起床。身支度をしてすぐに外出。 新幹線で東京へ。午後は某会議。 夕方会議を終了して、すぐに新幹線で京都に戻ってくる。 21 時少し前に帰宅。 メイルを見ると細々とした仕事がいろいろと入っていたが、 全て "Do-It-Tomorrow" ラベルをつけて明日にまわす。 あふれるメイルボックスをどう処理するか、 という問題についてのライフハックは色々ある。 私が「なるほど」と思い、しかも有効だったものは二つ。 "Not-To-Me" フォルダ(ラベル)への自動ふり分けと、 今日飛び込んできた仕事を明日するための "Do-It-Tomorrow" フォルダの設定だ。 一つ目は単に、自分宛てでない "cc" メイルやメイリングリストを、 フィルタ機能を使って自動的に別フォルダに振り分けてしまう、 というだけのことだが、これで素晴しくストレスが減る。 お試しあれ。 二つ目の「それは明日しよう」作戦は使用上の注意が色々あるし、 向き不向きの問題もあるので、一般にはおすすめしない。

新幹線の中で、New in Chess をぺらぺらと読んでいると、 Hans Ree の連載記事が目にとまった。 タルタコワ(S. Tartakower 1887-1956) についての記事。 最近、出版されたタルタコワを主人公にした歴史小説の書評である。 私は、そういうプレイヤーもいたな、くらいの認識しかなかったのだが、 大変にカラフルで劇的な人生を送り、面白い個性を持った人物だったようだ。 タルタコワの書いたハイパーモダン主義のチェス本についての言及もあり、 これまた全然知らなかったのだが、面白そうな本だ。 この記事の中ではその本から、 Maroczy-Euwe (Scheveningen 1923(2)) の対局を説明した、 今で言えば「マインドマップ」のような図が引用されていた。 これがすごく芸術的なのだ。

Tuesday, July 22, 2008

教授会

8 時起床。しばらく家で雑用をしてから、出勤。 かなり遅めの昼食を学生食堂でとり、 「暗号理論」の試験監督。 私の試験は何でも持ち込み自由なので、 誰もが何とかなってはいるようだ。 それに最近は、講義を綺麗にまとめたノートと、 模範解答のようなものが売られている。 休憩なく、続いて、教授会。 体制が変わってから二回目の教授会だが、 私は初回を欠席したので、これが初出席。 会議室(?)は入学式をするような大ホール。 さすがにそれでは広過ぎるので適当な範囲にロープをはって、 そこに囲まれた普通の席に出席者が座り、偉い人たちは壇上の席に並ぶ。 ちょっとした株主総会みたいな感じ。 四つの理工系学部をたばねた理工学院全体の教授会なので、 その構成人員の規模からして、 こんな風にせざるを得ないのかも知れないが、 まあ何か議論するような雰囲気ではなさそうだ。 とは言え、それほどの人数でもなく、出席率が低かったものと想像される。 実際、学期に1、2回くらいしか開かれないので、 一種のセレモニーだろうか。

教授会のあと、学科の事務室にポストを見に行く。 以前は毎日出勤したらまず事務室のポストを見に行っていたのだが、 最近は遅くなったときなどにこっそり行くだけ。 自動的に週に一回か二回くらいになるが特に問題ない。 そんなたまたまの機会に物理の若い先生につかまって、 ちょっと相談を受けた。 部屋で少し雑用をしてから帰る。 帰宅は 20 時頃。夕食は王将の餃子二人前を焼いただけ。

明日は東京に日帰り出張。

Monday, July 21, 2008

恋愛において身内感覚はどこまでセーフか

8 時起床。朝からもう暑い… キャンパス着、 土日にたまった自分宛てでない大学関係メイルを見たら、 学科のMLでスレッドが凄い長さになっていてびっくりした。 一応目を通すかな、と思ったところに、 学生が試験対策の質問に来る。 その対応のあと、卒研ゼミI。第二種スターリング数など。 少し時間を遅らせて昼食は学生食堂。 でも、もう明日から定期試験だからか、大混雑。 トレイをもってうろうろした後、 もう食べ終わっているらしき女の子二人の隣に座った。 女の子たちは恋愛相談の真っ最中だった。 どうやら、「身内感覚」になってきたのが嫌だ、 と言う話らしい。

「それでなー、家にごはん作りに行ったんてん」
「ええやーん、そういう身内感覚あこがれるわー」
「それはええねんて。あいつな、 彼女が家に来てんのにな、クーラー入れてくれへんねんで! どこまで身内やねん」
「あんた暑がりやのに、ひどいなあ」
「ほんまやわ、私と電気代とどっちが大事やの! って泣いたってん」
「ドラマやなあ…」
それはドラマチックだ。猛暑は若者の恋愛にも濃い影を落としているらしい。 それはさておき、 女子大生と言ったら恋人は妻子持ちの外科医だったり、 ある日からシャンパンが NV になった、 と言う理由で別れたりするものだったのだが、 バブル時代は遠くなったな、と学食でしみじみ思った。 鶏肉のフライにシーザーサラダもどきをかけたような料理(今日の私のランチ) も食べ終わったので、 恋愛において身内感覚はどこまでセーフか、 をまだ熱く語っている女の子たちをおいて仕事に戻る。

午後は卒研ゼミF。ギルサノフの定理と、 マルチンゲール表現定理。 少し早く終わったので、部屋で暇つぶしをして、 次は卒研ゼミF2。クラメルの定理とその証明。 あちこちひっかかったので延長戦に入って、 結局二時間くらいかかった。 ようやく今日のゼミ三つを終えて、 これで前期の授業は終了。明日からは定期試験。 19 時半くらいに帰宅。冷やし蕎麦を作って夕食。 具は葱と半熟茹で卵だけ。

Sunday, July 20, 2008

梅とオクラ

8 時起床。カーテンを開ける前から、 生地の裏側が焦げているのかと思うほどの日差しの強さ。 今日の京都は最高気温が 37.4 度に逹したのだが、 朝に窓から風景を見るだけでも、何と言うか、勢いが違った。 外に出る予定がないから良いものの、また厳しい京都の夏。 しかしこうまで暑くなると、 風俗や生活習慣をもっと熱帯らしく、 変えて行かざるを得ないのじゃないか。 朝食代わりの珈琲。 午前中はあれこれ雑用。昼食まで少し時間が出来たので、 チェスを並べたり。昼食は豚丼を作る。 午後は数学を少し。夕食には、カッペリーニを使って、 梅とオクラの冷製パスタを作った。 ワインはイタリアのゲヴュルツトラミネールの 2006 年を一杯だけ。

世間は三連休だそうで、京都は祇園祭のシーズンでもあり、 町は盛り上がっているようだ。 しかし出かける用もないし、この猛暑の中に出る気もしないので、 また家を一歩も出ず土日を過してしまった。 ついでに言えば、三日間、言葉を発していない。 自宅から動かないと移動するコストがかからないが、 一方では自宅で暮らすコストがかかる。 私については自宅から出ない方がずっと経済的ではある。 明日は世間では祝日でも、もちろん R 大には関係ない。 私も朝から三連続ゼミの予定。 一応、明日で前期授業は終了。明後日から定期試験。

Saturday, July 19, 2008

副作用

8 時起床。窓から見るには今日も蒸し暑そうだが、 外に出る予定はないので問題ない。 でも見るだけで気持ちは夏。 どうも体調がすぐれない。 朝食はレモネード。 また寝台に戻って、しばらく読書。 「幸福について」(ショーペンハウアー/橋本文夫訳/新潮文庫)を読む。 ようやく起き出して、Karpov の棋譜(Belgrade 1996) を並べたりしている内に昼。

昼食はトマトソースで夏野菜とオクラのリングイネ、 と言うより、先週に作り過ぎたラタトゥイユがなくならないので、 一気に片付けるためにパスタにした。 まったく適当に「こんな感じかな」で作ったのだが、 けっこう美味しかった。 食後に珈琲。ようやく目が覚めてきたことだ。 まとめて一息に読もうと思っていた本があったので、 レモネードを飲みながら読書。 日の高い内にお風呂に入り、湯船でチェスの問題集を解く。

夕食は御飯を炊いて、おかずに回鍋肉(ウー・ウェン先生レシピ)。 その鍋で適当にスープも作る。 金土日あたりに体調が今一つなのは、 自分で料理を作るのでつい食べ過ぎるからかな。 料理は大抵、少量を作るのが難しいし、 自分で作ると自分の舌で味見するので自動的に自分には美味しい。 例年、夏は体調を整えるためにやや減量することにしている。 少し気をつけよう。

夜はまた「戦う操縦士」(サン=テグジュペリ/堀口大學訳/新潮文庫) を読む。 サン=テグジュペリは好きなのだけれど、 人類の貴族サン=テグジュペリの精神性に感動する一方で、 自分の人間としての品質の低さに憂鬱になる、と言う副作用がある。 年を取るにつれて、 これから何とかなるかも知れない未来が減り、 もうどうにもならない過去が増えてくるので、 副作用の方がひどくなってくるのが問題だ。

© HARA, Keisuke 2008

Friday, July 18, 2008

言葉の変遷

8 時起床。カーテンを開けると曇り空だが、 蒸し暑いことには変わりないようだ。 朝食代わりの珈琲。洗濯機に洗濯をまかせつつ、 プロジェクト "Kibitzer" の提出前最終チェック。 掃除機がけをしてから、洗濯ものを干す。 昼食は、御飯を炊いて、 買ってきてあった鱸の刺身を使って鱸丼を作り、 澄まし汁と一緒に食べる。午後も原稿のチェック。 音読よりやや遅いくらいのスピードでしか進められないので、 時間がかかる。夕方になって、 近所のワイン屋に注文していたものを受け取りに行く。 ついでにスーパーで少し買い物。 やはり外は大変な湿度。空気を絞るとお湯が出てきそう。 実際、家の近くまで来たところで、雨が降り始めた。 夕食にはオムライスを作って、まだ残っている冷製ラタトゥイユと。 赤ワインを一杯。食後に珈琲。 プロジェクト "Kibitzer" の原稿を編集者に送る。 自分で早めた締切より、二日早く提出。 これもまた一段落ついた。うまく出版の運びとなればよいのだが。

昨夜久しぶりに NHK のニュースを観ていたら、 アナウンサが「見れる」と言っているのを聞いて、ちょっと驚いた。 私の世代は「ら抜き言葉」を排撃する教育を受けたので、 いまだにかなり抵抗がある。 自分自身では絶対に使わないし、使ったこともないはずだし、 他の人が使っているのを聞くと少しひるむ。 しかし、この言葉はどんどんと広がって、 今やむしろ標準になっているようだ。 私の印象では、今の三十代の半ばくらいに境があって、 それより若いと誰も自然に「ら抜き言葉」を使っている。 実際、「ら抜き表現」には合理的な側面もあり、 極端に「ら抜き」を嫌うのは世代に特有のことかも知れない。 この問題には色々難しいことがあるようだが、 少なくとも私にとっては、 間違いとされていた表現がだんだんと広まり、標準的となり、 ついに支配的になるまでの変化が観察できそうだ、 と言うことが興味深い。

Thursday, July 17, 2008

定期試験情報 / 再び冷製パスタ

8 時起床。すぐに出勤。外は京都の夏。午前は 10 時から卒研ゼミS。 ハーン=バナッハの定理の続き、リースの表現定理。 昼食は学生食堂にて、チキンカレーのセット。 続いて 12 時半から「シミュレーション技法」。 カントロヴィチ距離による混合時間の評価。 一コマ分の空き時間もぐったりしている内に過ぎて、15:50 から「情報理論」。 最終講義なので、また後ろの方に見たことのない学生たちが沢山来ていた。 この講義は 100 人以上が登録しているのだが、 普段、聴講しているのは 20 人もいない。 黒板の端に、「定期試験情報: 持ち込み自由。一時間。今日の講義は試験範囲に含まれません」、 と大きく書いておいたら、いつの間にやら後ろの集団はいなくなっていた。 最後の講義は Shannon の基本定理を BSC のときに限って証明。 目標は達成した。これで今期の講義は全て終了。 あとは月曜の卒研ゼミ 3 つと定期試験。 思えば、後期の担当は一般教養科目二つ、基礎科目、演習一つずつなので、 専門科目の講義は今日が最後だった。 部屋で来週と再来週の学科会議の欠席届けを学科長あてに書き、 18 時過ぎに撤収。

帰りにスーパーで食材を買って帰宅。 夕食はラタトゥイユでフェデリーニの冷製パスタ。 前回はちょっと酸味が足りないと思ったので、 レモンを多めにしてみたが、今度はちょっと塩が足りない気がする。 味見をしても、ぴたっといかないものだ。 冷製パスタは味つけがなかなか難しい。一緒に赤ワインを一杯。 レモンの絞りかすでレモネードを作って冷蔵庫で冷やす。

Wednesday, July 16, 2008

ゲッコー

8 時起床。今日も暑そうだなあ。 午前中はM2ゼミ。 目標通り、今日でラフパス理論のレクチャー・ノートを最後まで終えた。 夏休みの間に、自分なりのノートを TeX でまとめる宿題を出しておく。 まあ出来るかどうか分からないが… 昼食は学生食堂にて。鶏肉胡麻おろし、法蓮草、冷奴など。 夕方の会議までの間は、あちこち場所を変えながら、 プロジェクト "Kibitzer" の最後の推敲をする。 エレベータの前で院生の I さんから、昨日来ていた元卒業生よりの伝言。 そういや、昨日の卒業生なんて皆とても良い子で、 金融関係で本当に生きていけるのかなあ、と心配したものだった。 勿論、私が学生の頃はバブルの最中だったので金融がかなりヤクザで、 ゴードン・ゲッコー みたいなのがノシている生き馬の目を抜く業界、 と言うイメージがいまだに残っているせいかも知れないが。 とりあえず、彼等もなんとかやっているようだ。 推敲は一応、16 時までに完成した。16時から学科会議。 もっともめるかなと思っていたが二時間もせずに終了。 少しだけ雑用をして、18 時過ぎに帰る。 19:30 くらいに帰宅。 夕食はバゲットを切ってラタトゥイユをのせて食べる。 赤ワインを一杯だけ。

夜は、古書店から届いたばかりの、 「戦う操縦士」(サン=テグジュペリ/堀口大學訳/新潮文庫) を読んだり。

Tuesday, July 15, 2008

卒業生たち

8 時起床。珈琲を飲みながら少しファイナンス仕事をして、 ゆっくり出勤。10 時半くらいにキャンパス着。 昼食は学生食堂にて、夏野菜カレーのセット。 少し時間をずらしたのだが相変わらず食堂は混んでいる。 前期の授業の最終週だからだろうか、キャパシティ不足だ。 12:30 からM1ゼミ。クラメルの定理。 続いて、14:10 から「暗号理論」の最終講義。 最終講義だけに、一番後ろの席に見たことのない学生の集団が。 特に面白いこともないと分かったのか、 いつの間にか消えていた。 後回しにしていた公開鍵暗号系の中の高速アルゴリズムをやって、 最後に楕円曲線暗号の話を少し。 続いて、16 時から理工学部教員会議。 偉い人たちがまた悪巧みをしているらしい。

会議は 18 時頃終了、途中から数ファ研の鍋パーティに顔を出す。 理由は知らないが、 東京の金融機関などで働いている卒業生複数がやって来ていて、 その歓迎会らしかった。 勤めだして一年、二年と言うところなので現実の厳しさを知り、 それぞれ大変そうな話をしていたが、 久しぶりに古巣に戻って楽しそうではあった。 主役たちが今日中に東京に帰らなくてはならないので、 19 時過ぎくらいに一段落。 留学生の作ったらしい甘い豆のデザートをいただいて帰る。 緑色のぜんざい、と言う感じだった。

Monday, July 14, 2008

Oeufs en Meurette

8 時起床。晴天。しかも朝から蒸し暑い。 出勤。今日も JR 西日本は遅れていたが、 無事 10 時頃にはキャンパスに到着した。 部屋でメイルを読んだあと、午前中は卒研ゼミI。 ワルデグレーブの問題、ペテルスブルグのパラドクスなど。 昼食は学生食堂にて。キーマカレーのセット。 図書委員の仕事メイルを書いてから、 午後は卒研ゼミF1。キャメロン=マルチン=ギルサノフの定理など。 続いて卒研ゼミF2。ワイルの定理とその応用、 中心極限定理、大偏差原理へのイントロ。 もう少し委員の雑用をしてから帰る。 外はまだ蒸し暑く、 手を握ると湯がこぼれ落ちそうなほどの湿度。 西友で猫砂と水フィルターを買って 19 時半くらいに帰宅。 即座に除湿。

夕食はラタトゥイユ、ポーチドエッグの赤ワインソース、 大蒜風味に焼いたバゲット数切れを一皿に載せて食べる。 あとかたづけが面倒なもので……。 一緒に赤ワインを一杯だけ。食後に珈琲。

ホテルなんぞで朝食のルームサーヴィスを頼むと、 卵はどうなさいますか、と言うことになるわけだが、 私は断然、目玉焼きにかりかりに焼いたベーコンだ。 しかし、 おそらく一番趣味が良くてスノッブなのは茹で卵だろう。 注文するときに復唱させるほど茹で時間をしつこく確認し、 スプーンだけですぱりと頭を切り取り、 殻の近くの白身なんか全部残すくらいおおざっぱに食べたい。 一番実質的で美味しいのは、スクランブルエッグ。 本当に上手に作ったスクランブルエッグは美味しいし、贅沢料理だ。 が、やや実質的過ぎるのが欠点だ。 美味しいものを知っているな、と思うが、食い意地がはってる気もする。 朝からオムレツの選択肢はない。 そして、ポーチドエッグを頼むのは日本人じゃない。 とは言え、ほんのときどき、 特別な気分の時にはポーチドエッグでもいいかな、と思う。

Sunday, July 13, 2008

日々の練習

9 時起床。珈琲だけの朝食。午前中はあれこれ雑用。 昼食は、冷製ラタトゥイユとカルボナーラ。 食後に珈琲。午後は講演の準備など。 何とかラフスケッチを作った。

夕方から小一時間ばかり練習室でチェロを弾く。 ロングトーンとスケール、"Feuillard" からメカニックな練習。 すっかり指の筋肉が落ちている。 やはり楽器は毎日練習しないことにはどうしようもないな、とは思う。 書道か何かのつもりで、 毎日少しだけでも Feuillard をやって瞑想するのもいいかも知れない。 ちなみに Feuillard とは、 Schott 社から出ているわずか 40 ページほどの楽譜で、 フランス語とドイツ語と英語で「日々の練習」というタイトルがついている。 多分、一生かけても全部出来るとは思えないので、 むしろ「一生の練習」とか「人生の練習」と言うにふさわしいかも知れない。 エクセサイズばかりでは虚しいので、 最後に何か簡単で短い曲を弾こうと思い、 ドヴォルザークの「わが母の教へ給ひし歌」を弾いた。

まだ日のある内にお風呂に入り、湯船で読書。 湯上がりにワイン一杯と冷製ラタトゥイユ。 ボーヌの赤、98 年。 そのあと、DVD で「英国式庭園殺人事件」を観ながら、 昨日作った散らし寿司の残り。 気付けば、二日間一歩も家を出ず。 おかげで暑さに気付かずに済んだが、 いよいよ本格的に夏が来るようだ。

Saturday, July 12, 2008

冷製パスタ / 散らし寿司

9 時起床。今日も良い天気だ。35度を越すかも。 ちょっと思いついたことがあったので趣味のプログラミングを少ししながら、 朝食の珈琲。 どうしても講演の準備をする気にならなくて、 その逃避パワーを利用して、 今日はプロジェクト「K」(コードネーム "Kibitzer") の推敲に集中することにした。現在、Ver.0.5.

昼食はラタトゥイユの作りおきで冷製のパスタ。 ラタトゥイユの汁をオリーヴオイルとバルサミコ酢とケイパーなどとあえ、 氷水にとったフェデリーニをからめて、野菜を適当に盛る。 赤ワインを一杯。 家では滅多に食べないけれど、ズッキーニって意外と美味しい野菜だな……。 午後も推敲作業。 夕方、最後まで目を通して、ファイルに反映。Ver.0.6 完成。 次の推敲が提出前の最後、つまり次が Ver.1.0 になる予定。

夕食は御飯を炊いて、また散らし寿司を作る。 具はちりめん山椒と沢庵の微塵切りが主体の貧乏散らし。 一瞬、「ラタトゥイユ散らし」というアイデアが浮かんだが、 流石に即座に却下した。 だしを引いて、卵の澄まし汁も作る。 食後は普通はお茶なのだろうが、 私は珈琲中毒なのでやはり珈琲。 「南方郵便機」(サン=テグジュペリ/堀口大學訳/新潮文庫「夜間飛行」所収) をまた読み終えたので、また「夜間飛行」を読む。

Friday, July 11, 2008

冷製ラタトゥイユを仕込む

9 時起床。珈琲だけの朝食。 洗濯を洗濯機に任せ、掃除を掃除機に任せ、 午前中は雑用をあれこれ。 昼食は盛り蕎麦とだし巻き卵。午後は数学など。 夕方、少し涼しくなってから食材の買い出しに行く。 ラタトゥイユ用に夏野菜など。ついでにタリーズで珈琲豆。 夕食はトマトソースを作って、スパゲティ・アラビアータ。 ついでにラタトゥイユの作り置き。 茄子のあく抜きをしたり、煮込んだりしながら、 趣味のプログラミング。昨日講義で、 星型グラフの配色集合上のマルコフ連鎖の混合時間について話したので、 そのシミュレーションを ruby で書いてみた。 こういうものは C で書く方が良いのだが、 可変長のデータ構造を書くのが面倒だったので。 マルコフ連鎖のシミュレーション自体は、 百数十行くらいで簡単に出来たが、 現れた配色を記録する方法がちょっと悩ましいな…

とか考えているうちに、ラタトゥイユの煮込み完了。 鍋一杯作ってしまった。なかなか良い香り。明日以降が楽しみだ。 大学を辞めたら、しばらくコンビニエンスストアで働こうか、 とも思っていたのだが、 夏はラタトゥイユ&シャンパン屋台もいいかなあ。 冷製ラタトゥイユ一皿つきで一杯、2000円でどうだろう。 そして冬は洋風の筋煮込み付きでホットワインを出す。

みすず書房のサン=テグジュペリ「戦う操縦士」を読みつつ、 やはりテグジュペリは堀口大學訳がよいよなあ、と思う。 詩人の言葉は詩人でないと訳せない。 と思ったら、つい、 堀口大學訳の新潮文庫版を古書店に注文してしまった。 残念ながら絶版になっているので。 おそらく他の「夜間飛行」や「人間の土地」に比べて、 戦記であるだけに生々し過ぎるのだろう。 しかし、今読むと、いっそう胸に迫って感じられるのは、 その時代ほどではないとは言え、 文明と人間のある種の衰退か、 少なくとも危機の段階にあるからかも知れない。

Thursday, July 10, 2008

テグジュペリを読む

8 時起床。すぐに出勤。今日も良い天気で気温が上がりそうだが、 朝のうちはまだ涼しい。 午前は、卒研ゼミS。ハーン=バナッハの定理とその証明など。 11 時半にアポイントをとってあったので、執行部室に学部長に会いに行く。 執行部会議の途中だったようだが、 ちょっと抜け出してお時間を作ってくれた。 実際、五分間ほどで終了。 その内容は、 ことは教授会、理事会、 大学協議会を経由して決定になるので学部長としては説明の必要がある、ついては一応、 辞める理由をお聞かせ下さいとのことだけだった。 ちょっと意地悪な気持ちになっている時なら、 そちらこそ辞めない理由をお聞かせ下さい、と問い返したかも知れなかったし、 本音で話す気持ちになっている時なら、 もう働く必要がないからです、と答えたかも知れなかったが、 そこは不惑も間近の大の大人なので穏便かつ無難かつ事務的に必要事項に答え、 総計五分間。大人の会話はつまらない。 昼食は学生食堂でカレー風味の野菜炒めなど。 夏はどうしてもスパイス頼み。

12 時半から「シミュレーション技法」の講義。 ボトルネック比による混合時間の評価の具体例。 カントロヴィッチ距離の定義など。 S 君のノートを使ってずっとやっていたのだが、 後一回でぴったり終わる。 この講義は勉強になって本当に楽しかった。 一コマ分の空き時間に雑用、あれこれ。 数ファ研にプリントアウトしに行ったら、 院生たちが来週の鍋パーティの相談をしていた。 近辺の先生たちも誘っているようだが、 その日の夕方は理工学部教員会議なんじゃないかな… 15:50 から「情報理論」の講義。 信頼できない経路での通信、 Shannon の基本定理へのイントロなど。 あと一回で予定通りに Shannon の基本定理の証明までできそうだ。 この講義は私の十八番になりつつあるので、 そういう意味での刺激はなかったが、楽しい講義であった。 終了後、いくつか雑用を片付けて、 18 時過ぎにキャンパスを後にする。 車中の読書は、 「戦う操縦士」(サン=テグジュペリ/山崎庸一郎訳/みすず書房)。

夕食は近所のバーにて。きっと今頃、シャンパンを飲んでいるだろう。 と言うのも、これは予約更新だから。

Wednesday, July 09, 2008

宣伝

8 時起床。出勤して、 偽カロリーメイトで偽コーヒーを飲みつつ偽仕事。 学部長とのアポイントは明日に設定された。 結局、プロジェクトRの第一フェイズ完了は明日になるようだ。 その後、午前中から昼にかけてM2ゼミ。 ラフパスによる積分、そして最終章の微分方程式に入った。 前期は後一週間ほどなので、ゼミもあと一回。 何とかこの本を読み終えられるか。 少し遅い昼食を学生食堂にて。タコライスのセット。 今日は夕方の学科会議がお休みだったので、時間ができた。 早めに帰宅して、プロジェクト「K」の推敲。 夕食は作りおきしてあったソースで、鶏レバのスパゲティ。 赤ワインを一杯だけ。 食後に珈琲。夜も推敲作業。

プロジェクト名「ポーランド」が完了。 「測度と積分 入門から確率論へ」(ツァピンスキ&コップ/ 二宮・原訳/培風館)の見本が出版社から送られてきた。 ハードカヴァかと思っていたのだが A5 版ソフトカヴァで、 藤色の軽い雰囲気に仕上がっていて、なかなか良い。 第一印象は「えっ、こんなに薄いの?」と言う感じ。 原書に比べても、断然小さくて軽くて薄い(もちろん中身は一緒です。念のため)。 奥付では 7 月 10 日発行になっているので、もうすぐ発売されると思う。 多分、確率論を学ぶ予定の人には、ベストの積分論の教科書だろうし、 他分野を目指す学生にとっても、 どこも目指していない学生にとっても、 ルベーグ積分論を(真面目に)勉強せざるを得ないのなら、 これがベストに近いはず。

「人生には不確実性がつきまとう。 計画が思いどおりにいくことは滅多にないし、 そのために我々は幼い頃から、ある事柄が他に比べて 『より起こりそうだ』という、 出来事が起こる確からしさについて考えるようになる。 こういった曖昧な概念を確率モデルに変換するとは、 つまり、不確実性について考えるための合理的な枠組みを構成することである。 この枠組みは一般的でなくてはならないし、 十分な量の事前情報を吟味できるときも、 ほとんどそういった情報なしに進まなければならないときも、 等しく状況を扱えなければならない。 どんな場合にもある程度の決断が必要になるが、 我々は計量的に一般的な法則を導くことを可能にする、 秩序だった理論的な枠組みと方法を探す」
「測度と積分 入門から確率論へ」(M.ツァピンスキ、E.コップ著/ 二宮祥一、原啓介訳/培風館)、第1章「動機と準備」より

Tuesday, July 08, 2008

土砂降りの一車線

8 時起床。今朝はすこし涼しい。どうやら雨模様だ。 自宅で少し雑用をしてから出勤。 また京都駅で遅れ。 結局、10:40 からの授業にゆっくり間に合う時間を狙って通学する 学生の波に飲まれる。 しかも駅を降りたら、土砂降り。 キャンパスに着いて、 旅費の申請書を書き、大学院の平常点評価科目の採点表を受け取り、 文系向け一般教養科目の科目概要を代筆してから、 早めの昼食。鶏のクッパのセット。 12:30 からM1ゼミ。クラメルの定理への準備の続き。 続いて 14:10 から「暗号理論」の講義。 DH 系と Elgamal 系など。 その後、研究室で卒研生の一人から数学の質問を受ける約束。 問題はすぐに解決した。冴え冴え、ってわけでもなく、 ありがちな間違いだったので。 次は学科長が部屋をたずねてきて、 どうやら第一フェイズは終わっていなかったようだ。 そう言う話は学科長ではなくて学部長マターだと言うので、 執行部室に電話をしてアポイントを取ろうとするが、 打ち合わせ中だと言うのだが、 それを待っている間に次の会議の時間。 17:30 から図書委員会。 実際はもうちょっと、後ろ向きの名前のついた委員会だが、 意味不明な名前なので私は図書委員会と呼んでいる。 予算の分配方法やら、購読打ち切り雑誌の選定手順やら。 19:30 に終了。 部屋に戻ると、一般教養科目の関係で問い合わせが来ていたので、 メイルで答え、返す刀で執行部室の秘書からのアポイントメイルの返事を書く。 PC をシャットダウンするやいなやバスに乗り、 南草津駅近くのカレーライスのチェーン店で夕食を取り、 駅へ向かう。またしても上りも下りも JR は遅れていた。 プロジェクト「K」の推敲をしながら電車を待つ。 京都駅で嵯峨野線までダッシュして、何とか早い電車に乗り込み、 帰宅したのは 21:30 ジャスト。 明日の朝はM2ゼミです。

Monday, July 07, 2008

スパイス

8 時起床。すぐに出勤。 キャンパスについてリプトンのティーバッグの紅茶と、 生協の偽カロリーメイトみたいなクッキーの朝食。 私は昔、カロリーメイトだけで二週間暮らしたことがあるので、 ちょっとこういうものが懐しい。 午前中は卒研ゼミI。 一人目の発表は、10 個いっぺんにサイコロを振ったときに合計が 30 になる確率はどれくらいでしょう、というような問題。 二人目は色々な古典的な確率分布の紹介など。 昼食は学生食堂にて。グリーンカレーのセット。 食欲がないと、スパイスか麺類に頼ってしまう。 午後は卒研ゼミF1。 二項モデルの簡単な例で、ラドン=ニコディム微分を見るというような話。 続いて、卒研ゼミF2。 特性関数の収束と測度の収束の関係など。 その後は、あれこれ雑用をして、18 時過ぎに帰り支度。

やはり京都は滋賀よりもずっと蒸し暑いような気がする。 19 時半くらいにに帰宅。王将の餃子を焼いて、夕食。 夜は読書など。

さて湯船で「かもめのジョナサン」でも読もう。

Sunday, July 06, 2008

ピーチ・メルバ

8 時起床。昨夜に飲み過ぎたため、やや調子が良くない。 ゆっくり食事しながらでも、ボトルに半分くらいが限界なのだが、 調子に乗ってつい飲み過ぎてしまう。次こそは気をつけたい。 カーテンを開けるとまたしても、激しい日差し。 やっぱり自宅勤務にしよう。 先の木曜日にプロジェクトRの第一フェイズが完了したため、 特に土日にまで研究室でする仕事はなくなったことだし。

珈琲だけの朝食。 午前中は体調が悪く、読書などでゆっくり過してしまった。 昼食は盛り蕎麦と蕎麦湯。 蕎麦湯でようやく、少し元気になってきた。 午後は数学を考える。夕方、涼しくなったころに、 近所のコンビニエンス・ストアに所得税の予定納税額を支払いに行く。 ついでに、ヴァニラ味のアイスクリームを買って帰る。 本当はダークチェリー・ソースがあれば良かったのだが、 コンビニエンス・ストアで贅沢を言ってもしようがない。 外はお湯の中を歩いているようだし、 まだ血液の中にはアセトアルデヒドが残っているようだし、 気持ちもくさくさするので、 家に帰って、まだ日も高いがお風呂に入る。 湯船でハンドラーの「フィッツジェラルドをめざした男」を読んだ。 この頃のホーギーは負け犬っぷりが様になっていて、 何よりメリリーとうまく行っていないところが、 癒される。 年齢も丁度、私と同じ。

夕食は鶏肝のスパゲティ。ソースはもう一食分作りおきした。 一緒に赤を一杯だけ。 食後に、桃のコンポートとアイスクリームで簡易ピーチ・メルバ。 珈琲。

Saturday, July 05, 2008

牛蒡のソース

また良く寝てしまった。 カーテンを開けてみると、 日差しの強さを見るからに、今日もかなり暑そうだ。 午前中は PC まわりの雑用あれこれを片付ける。 昼食は昨日作っておいた酢飯に、 卵とたくあんの微塵切りを追加して散らし寿司。 白ワインを一杯だけ。 午後は趣味のプログラミングなど。 "deborah" はアドホックな機能追加のせいで、 制御構造がごちゃごちゃになっていたのを、 一括して整理した。 夕方になって身支度をして、 三条高倉のフレンチ・レストランへ。 外に出ると、もう暗くなろうとしているのに、猛烈に蒸し暑い。 烏丸から歩いたのだが、よっぽど途中で適当なバーに入って、 ギネスを一杯飲もうかと思ったくらい。 ニュージーランドの生産者を迎えての会食。 新牛蒡のソースがなかなか良かった。 牛蒡というのは、 年を取るごとに美味しいと思うようになる野菜だ。 23 時過ぎに帰宅。

Friday, July 04, 2008

ヌード

9 時起床。寝坊。どうも昨夜飲み過ぎたようだ。 たまたま居合わせたお客にシャンパンを奢る、 と言う人生初の試みをしたせいかも知れない。 のろのろと起き出して寝室を出ると、 ドアの前の廊下で妻があられもない姿でひっくり返って寝ていた。 暑くなってきたからだろうが、これが人間だったら面白いな、と思った。 全裸で、と言うのはちょっと刺激的過ぎるので、 裸に毛皮だけで、などと言うことにすれば、 これはちょっと退廃的でいい感じ(そう?)。 妻を足蹴にしながら、じゃなかった、 猫を足でドリブルしながら、階段を降りつつ、 ヘルムート・ニュートン写真集のシャーロット・ランプリングのヌードなど思い浮かべて、涼をとる。 階下で珈琲だけの朝食。洗濯機に洗濯を任せながら、 ファイナンス仕事。掃除機がけをして、洗濯ものを干す。 蒸し暑い京都の夏だ。

昼食にはカルボナーラを作った。 食後の珈琲のあと、散歩がてら郵便局へ用事を片付けに行く。 帰ってきて、午後はプロジェクト「K」の推敲をファイルに反映する作業。 Ver.0.4 完成。夕食にはまた散らし寿司を作った。 大葉、生姜、煎り胡麻の酢飯を作り、 びんちょうまぐろのさくを刺身に切って並べただけ。 さすがに芸がないかな、と思って、 だしを引いて卵の澄まし汁も作った。 白ワインを一杯。食休みをしながら、桃のコンポートを仕込む。

明日の夜は会食の予定がありますので、 更新はかなり遅くなります。

Thursday, July 03, 2008

せめてはシャンパン

8 時起床、すぐに出勤。今日も JR が遅れていたものの、 なんとかゼミに間にあった。 10 時から卒研ゼミS。ハーン=バナッハの定理への準備として、 方向微分と劣線形性など。昼食はサンドウィッチ。 人口爆発による食堂の大混雑を解消するための対策として、 生協のお弁当バンに続く第二弾、 「サブウェイ」がキャンパス内に開店。今日、初めて試してみた。 「サブウェイ」のサンドウィッチなんて十年ぶり以上。 こんなに小さかったっけなあ… 学生の昼食としてはやや割高になりそうかな。

部屋でサンドウィッチを食べながら講義のおさらいをして、 12:30 から「シミュレーション技法」の講義。 学生アンケートをとった後、 グラフの幾何構造による混合時間の下からの評価など。 1 コマ分の休憩のあと、15:50 から「情報理論」の講義。 学生アンケートをとった後、相互情報量、通信経路の容量など。 18 時くらいに帰る。夕食は盛り蕎麦。

今日は記念すべきことがあったので、 さて、近所のバーに一杯だけシャンパンを飲みに行こう。

Wednesday, July 02, 2008

せめてはギネス

8 時起床。すぐに出勤。午前はM2ゼミ。 ラフパスによる積分の定義の準備。 昼食は学生食堂にて。午後は某委員の雑用をして、 余った時間でプロジェクト「K」の推敲をして、 16 時から大学院の内部進学の面接。 18 時過ぎに終了。続いて、学科会議。 終了したのは 20 時半くらい。 駅近くのカレーライスのチェーン店で夕食をとって帰る。 昼間に大阪であったらしい人身事故で、 大阪、京都、滋賀の JR 線がずたずたになっていて、 こんな夜になってもダイヤが修復されていない。 なんとか京都についた。 嵯峨野線のホームに行くと、 通常の普通電車の他に 120 分遅れの快速も丁度やってきて、 いつもより贅沢な選択肢があった。

そして帰宅は 22 時過ぎ。 やれやれ… せめてギネスビールとか飲んでもいいですか。

Tuesday, July 01, 2008

もう 7 月

気付けばもう 7 月。今年はなおさら早いなあ。

8 時起床。身支度をして出勤。 京都駅のベンチで考えごとをしていたら電車を一本見送ってしまった。 朝は湖西線のホームから滋賀線が出ることがあるので、 反対側でぼうっとしていると、 うっかり逃してしまうことがある。 火曜の朝は特にアポイントがないので、 少々遅れても問題はないのだが。

キャンパスに到着して、珈琲とお菓子の朝食のあと、 某委員の仕事など。 昼食は学生食堂にてジャージャー麺。 12:30 からM1ゼミ。クラメルの定理の準備として、 ルジャンドル変換についてなど。 続いて、14:10 から「暗号理論」。 学生アンケートをとれとの御上からのお達しで、 今週はアンケート週間。 10 分ほど時間をとってアンケート。 公開鍵暗号系の仕組みと、RSA系の原理。 講義のついでにすぐ前の「学びステーション」に、 回収したアンケート用紙を提出。 あとは部屋で某委員の仕事。これは一段落ついた。 18 時頃、キャンパスを後にする。 車中ではプロジェクト「K」の推敲作業。

夕食はオクラのスパゲティ。白ワインを一杯だけ。

明日は夕方から大学院の内部進学面接のあと、 通常の会議の予定なので、 かなり遅くなりそう…