Saturday, March 31, 2007

マエストロ

9 時起床。 午前中は良く晴れていたが、午後からは曇り。気温も低い。 もうこのまま春から初夏の陽気かと思っていたら、 来週の半ばには厳しい寒の戻りがあるそうだ。 午前中はチェスの勉強などして、 昼食はカルボナーラ。食後に珈琲と、 披露宴でもらったケーキ。 午後は、美しい文章とはどんなものか思い出すためにチャンドラーを少し読んだり、 エンドゲームの勉強をしたり。

夕方、久しぶりにチェロを弾いた。ロングトーンとスケールの後、 バッハの無伴奏一番プレリュードの冒頭を模したエチュードを練習。 その後で本物のプレリュードを前半だけ。 つっかえつっかえしながら最後まで弾けるようになっていたのに、 また元の木阿弥になっていた。 最後はト長調のスケールで終了。 無伴奏組曲は物凄い難曲のように思われているようで、 練習していると言うと、クラシックファンには激しく驚かれる。 勿論、音楽表現としては、 演奏家が生涯をかけるに値する究極のチェロ曲とされているが、 弾くだけなら一番や二番あたりはそんなに難しくない。 実際、一番のプレリュードなどは楽譜を見ても相当シンプルで、 簡単なルールに従った数列のようでさえある。 しかし聞いてみると、とてもそうは思えないほど美しくて複雑で、 自分で弾くと「すごーく弾けてる気になる」。 特に最後のあたりの重音が入ってくるところなんか、 弦楽器らしくも格好良くって、マエストロ気分が堪能できる。 聞くよりも自分で弾く方がずっとずっと楽しめるタイプの作品だと思う。

今日は執事が家を出たり入ったりしている。 新居はここのすぐ近所らしくて、 自分で少しずつ荷物を移動させるようだ。 夕食は御飯を炊いてだしを引き、 大根と油揚げの味噌汁とプレーン・オムレツの一汁一菜。

Friday, March 30, 2007

マーケティング

朝方に激しい雷を伴う猛烈な雨。春の嵐だ。 びっくりして目を覚ましてしまったが、 旅で疲れているせいかすぐにまた眠ってしまい、 次に目を覚ましたのは 10 時。 既に嵐はおさまっていたものの、曇り空。 一仕事終わったことだし、今日は休日。

朝から市議会と府議会議員選挙の宣伝カーがうるさい。 騒音を立てながら町内を周るなんて犯罪的だ。 何故こんなことが法律で許されているのか理解できない。 まさかと思うが、 宣伝カーで自分の名前を連呼している被選挙者は、 人間は大きな声で何度も聞いた名前をつい投票所で書いてしまうものだ、 と考えているのだろうか。 とは言え、 商業広告や宣伝、マーケティングの技術と理論は、 今や危険なレヴェルにまで洗練されているので、 選挙宣伝が全く無意味で愚かな方法で留まってくれているのは、 社会にとってはむしろ良いことかも知れない。

昼食は近所のカレー屋さんにて。 午後は昼寝をしたり、読書をしたりでのんびり過す。 夕食は長葱と豚肉の炒麺。

Thursday, March 29, 2007

情熱と好奇心

学会は週末まで続くが、私は今日で帰京。 ホテルを遅く出て、東京駅で昼食を取って、新幹線で帰る。 夕方に京都着。 東京も温かかったが、京都も初夏のように暑い。 山陰線に乗ると、まだ冷房が入れられなくて申しわけありません、 とアナウンスしていた。 帰宅したら家の中がピカピカに掃除されていた。 お、ガスレンジまわりまで新品同様。うーん、醤油差しまでぴっかぴかだ。 徹底してるな。たつ鳥、後を濁さず、と言うやつか… 夕食は近所のバーで。 海老とのれそれと三葉のキッシュと、 牛脛肉のポトフ。 最後にチーズを少しとデザートワイン。

広島の S さんにいただいた動画データで、 羽生がフランスでのチェス大会に出たときのドキュメンタリ TV 番組を観る (毎日放送の「情熱大陸」)。 名将タイマノフとの対決が目玉。 タイマノフはシシリアン定跡のタイマノフ変化に名前も残る有名プレイヤー。 タイマノフはかなりの御高齢で流石にもう現役とは言えないが、 引き分けたのは凄い。さすが羽生先生。 ところで、タイマノフは超一流のピアニストでもある。 「20 世紀の偉大なるピアニストたち」 と言う CD に演奏が収録されているくらいだ。 アマチュアのピアニストでもある S さんが シシリアン・タイマノフ定跡を好むのはそのせいなのかも。

映像は正味20分ほどの短いものだったが、 なかなか面白かった。 どうしてチェスを指すのかと言うインタビュアの質問に、 新たに興味を持ったことに敏感に反応していきたいと思っているからだ、 と言うようなことを答えていて、 うーむ、なるほど…と妙に感心してしまった。 インタビュア側は、「将棋の世界を制覇した男の新たな挑戦としてのチェス」、 みたいな答を求めていたようだったが、 面白いことに出会ったらやってみたいじゃないか、 と言う単純な好奇心が本当のところだよな、と思う。 さすが天才、羽生先生だ。 いつまでもそうありたいものだ。 私などの場合は、そのせいであれこれ無駄に手を出して、 何一つまともには出来ないただの物好き、と言うことになってしまうのだが、 もちろんそれでいいのだ。 誰かに褒めてもらうために生きているわけではなくて、 自分が知りたいことをもっと知るために生きているわけだから。

Wednesday, March 28, 2007

学会二日目/埼玉大マッチ/懇親会

今日の午前の分科会は既に専門外のセクションに入っているので、 疲れを取るためにゆっくり起きて、 昼食の時間くらいに埼玉大学に着。 生協食堂で昼食をとって、 ぶらぶら歩いていると、オープンカフェの席から S 君に声をかけられる。 K 大数理研の I さんも一緒。I さんと S 君とは学部の同期なのだ。 しばらく一緒に雑談。 S 君からマイクロソ○ト社で仕入れたと言う面白そうな問題を聞く。 あまり知られていないが、マ○クロソフト社には沢山の数学者がいて、 純粋に数学の研究をしている。 これは MS 社の高い理想を表すものなのか、 某 A 社の副社長がかつて私にもらしていたように、 「賢いやつは、他に取られないように、囲っておくだけで意味がある」 と言う判断なのかは分からない。 現在、シアトルにいる S 君は MS 社にときどき顔を出しているそうだ。 S 君と一緒に統計数学分科会の部屋に行き、 解析学賞受賞者の特別講演を聴く。さっぱり分からない。 続けて、それに輪をかけてさっぱり分からないに決まっているが、 数学会春季賞受賞者による総合講演を聴く。 けっこう興味を持っている内容なのだが、やはり良く分からず。

懇親会までの一時間ほどを広島の S さんとチェスをしてつぶす。 ここならいいかな、と場所を確保してみたら、 アマチュア将棋界の超強豪として知られる N 女子大の S 田君がたまたま居合わせて、 その不穏な視線に見守られながらへぼチェスを指すことになってしまった。 15分プラス一手毎に 30 秒のフィッシャー式。 第一ラウンド。黒番。シシリアン・ドラゴン。勝ち。 白のちょっとしたポカで、 ドラゴン・ビショップとチャイニーズ・ルークのラインが見事に開いてしまったため。 お互いの喉元に刃をつきつけあうようなシャープな定跡なので、 ちょっと間違うと簡単に決着がつくのは仕方がない。 まだ 30 分ほどあったので、第二ラウンド。 白番、シシリアン・タイマノフ。負け。 序盤でおかしなことになってしまって駒組みし直していたら、 簡単にタクティクスにはまり、隅のルークをすかっと抜かれる。 ここでもう戦意喪失気味だったが、何とかやや不利くらいの終盤まで持ち込んだ。 しかしその後は、懇親会の開始時間が過ぎた頃から、 どうしても時間が気になって漫然と指してしまい、 S さんに申しわけなかった。 負けるにしても、ちゃんと負けないといけない。 次回はタイマノフをしっかり勉強して、きっちり指します。 埼玉大マッチは一勝一敗。

あわてて会場に移動し、懇親会に出席。 特別講演者はこの懇親会に招待されることになっている。 あまり懇親会の類は得意でないのでサボろうかとも思ったが、 出版賞の受賞者の方々に興味があったのと、 まあこんなことは二度とないだろうから記念の意味で出席。 実際は H 大の F さんくらいしか話し相手がいなかったが、 Kobayashi-Nomizu の小林先生の実物を見られたし、 私が最も影響を受けた本の一つである「数学的センス」の著者、 野崎先生の姿もお見かけできたので、充実していたのかも。 その後は F さんと一緒に北浦和で飲み直して、 10 時頃お開きにする。F さんは明日の朝パリに発つそうで、 遅くまで付き合ってもらって申し分けなかった。

Tuesday, March 27, 2007

オーラ

早起きしてホテルで朝食を取り、 大宮から南与野へ。駅を降りても、どこにもバス停が見当たらない。 しかし、心配ない。こういう時にはうまい手がある。 次の電車から人が降りてくるのを待ち、 数学者らしいオーラを放っている人の後をつける。見事、解決。 駅からずっと先に 5 分ほど歩いた所にバス停があるのだった。 バス停の名前が「南与野駅前」ですらない。 埼玉大学について、実函数論の分科会に出る。 朝から同じ人が 15 分の講演を 4 回続けた。 アクティブな人がいるものだ。 私が聴きたかった講演は、思っていたのと全く違う内容で、 それもそのはず、講演後に聴衆から、 「それならタイトルは、『ハウスドルフ=ヤングの定理』の精密化、 にすべきだ。単に『ヤングの定理』では通常別の定理を指すから、 聴衆は誤解する」と指摘されていた。その通り誤解したのである。 その講演のあと、統計数学分科会に移動。 歴史的な理由でなのか統計数学分科会と呼ばれているが、 実際は日程の前半で確率論、後半で統計学の分科会が行われることになっている。 シアトルにいるはずの K 大の S 君を会場で発見。 諸事情で二週間ほど日本に戻って来ているらしい。

学内の食堂で昼食を終えて、午後はそれぞれ一時間の特別講演の部。 最初は特別企画講演。H 大の F 先生の離散確率解析の話。 確率論以外の聴衆も仮定した易しい話だったが、さすがに話が上手で面白い内容だった。 既に学生の頃から F 先生がいかに良く出来たか、と言うのはこの業界の語り草になっていて、 「一年に三日しか数学をしない(が、誰よりも数学が出来る)」 と言う伝説まであったくらいだが、 やはり今でも凄い切れ味だ。こんな研究が出来れば楽しかろう。 続いて、私の特別講演。前の講演の聴衆が残っているせいか、満員御礼。 他の分科会に比べて、やっぱり確率論はそもそも人数が多いなあ、と思う。 私の講演はいつもの通り、もう一つぱっとしなかったが、こんなものだろうか。 毎回もっと落ち着いて話そうと思うのだが、 講演を始めると興奮してしゃべり過ぎてしまう。 とにかく一仕事終わって、ほっとした。 (チェス仲間の 広島の S さんが分野違いにも関らず聴いて下さっていたようだ。 ありがたし。お話しできなくて残念。) 次は K' 大の N 君の特別講演。 この N 君と私は、某基礎科学科の同期で、同じ部屋で机を並べて勉強した仲である。 二人続けて特別講演ができて、ちょっと感慨。 今日の講演は終了して、夜は I 先生、K 大の O 先生、S 君、K'' 大の S さんらと、 大宮駅近辺の居酒屋で飲んで帰る。 21 時頃お開きの後さらに、S さん、S 君、私、の兄弟弟子三人組で、 スターバックスで珈琲を飲みながら雑談をして帰る。 二人とも大活躍で、私も頑張らねばなあと思う…反省しつつホテルに帰る。

あ、そうそう。今年のアーベル賞はヴァラダンが受賞したそうだ。 また確率論の人。確率論の時代だろうか?

Monday, March 26, 2007

大宮(京都)から大宮(さいたま)へ移動

今日も良い天気。京都にも春が来たようだ。 昼食に長葱と豚肉の炒麺を食べてから家を出る。 新幹線で東京へ、さらに東北線で埼玉の大宮に移動。 埼玉大学はかなり不便な場所にあって、 大宮からまず北浦和か南与野駅に行って、 バスに乗り換えないといけない。 早起きできるかなあ。

移動しただけなので特記事項なし… また講演の準備が不十分なまま前日だ。 ちょっと聴きたい講演があるので、 明日の午前は専門の分科会の方はサボって、 実函数論の方に出ようと思っている。 午後は自分の講演なので流石にサボれない。

Sunday, March 25, 2007

松ヶ崎の教会にて

9 時起床。くっきりとしたチェス盤と駒が見えていて、 私はビショップとナイトで相手のキングを詰めに入っていた。 ナイトが 2 段目と 4 段目の間をピルエットしながら、 キングを隅に追って行く。ああこれなら目隠しチェスも楽勝だな、 と思ったところで、目が覚めた。 夢でチェスが指せるのなら、何故、目が覚めているときに、 目隠しチェスができないのか不思議だ。 珈琲とバゲット二切れとクリームチーズの朝食をとっていると、 執事が階下に降りてきた。今日が式なのにゆっくりだねえ、と言うと、 午後からですからね、今から婚姻届を出してきます、 とのことだった。昼食は長葱と卵の炒飯。

NHK 教育で本因坊秀策伝の再放送を観ていたら、 つい遅くなった。あわてて支度して、地下鉄で松ヶ崎の教会に向かう。 15 時から式。ぎりぎりセーフで教会に飛び込む。 赤面するほど牧師がノリノリだった。 賛美歌を歌わされることもなく、あっさり式は終了。 次は中庭で写真撮影とかご歓談とか。 来ないのかと思いましたよ、などと新郎に言われたりして、 一応は新郎新婦と三人で写真撮影。ちょうど、雲が晴れて良い天気。 16 時半からすぐ横のレストランでパーティ。 このレストランは前に某食事会で来たことがある。 立派なバカラのシャンデリアがあって、二面ガラス張りの随分と綺麗な店だ。 新郎新婦ともに某T○SEの社員なので (一方はプログラマ、もう一方はデザイナ)、 親戚以外の客はほぼ会社関係者で、私にはほとんど知り合いがいない。 とは言え、 私はこの会社を理論上は、一万分の一、所有しているので、 第二開発部社員の会話にアンテナを張っておくかな、とくらいに思っていたのだが、 執事が時々、あることないこと話の種にしているらしいし、 私のことがけっこう知られていて、退屈しなかった。 向かいに座った若いプログラマが 「H さんのことは時々、日報に出てますから」 と言っていた。日報? 執事の気遣いらしく、隣に座ったのもなかなか楽しい人だった。 クロースアップ・マジックのマニアで、 最近、日本人によってコインの新しいホールド技法が発明され、 今練習しているところだ、とかマニアックな話をしていた。 市場に興味があると言うので、 私の方は代わりに、最新の収束裁定取引のアイデアについて説明してあげた。 披露宴自体の方は、スピーチも一つしかなかったし、 余計な余興もほとんどなく(余興は定義上、常に余計なのだが)、 簡素で大変に結構なものだった。 多分、新郎新婦が式場のシステムにかなり抵抗したのだろう。

パーティが始まったのも早かったので、終わりも早い。 まだ宵の口に終了。 ここからすぐ近所のお鮨屋さんにでも行ってみようかと思っていたのだが、 料理の量が多くてお腹も一杯だったので、おとなしく家に帰る。 家に帰ると、猫が迎えてくれる。 これからはお前だけが話相手なのだね、クロソフスカヤよ。

明日は数学会の年会のため、埼玉に移動します。 更新できるかどうかは不明です。 京都に戻るのは次の木曜日。

Saturday, March 24, 2007

御祝儀

9 時起床。今日の京都は終日、温かい雨。春雨だろう。 キッチンで珈琲とバゲット二切れとクリームチーズの朝食を取りながら Fritz とチェスをしていると、 執事が降りてきて来月以降の光熱費の支払い方法を教えてくれる。 いよいよ明日が結婚式なので色々とあるのだろう、どこかに出かけて行った。 昼食にはオムライスを作る。 午後は講演の準備。OHP シートを作ろうと思っていたら、 会場は書画カメラだと言うので、紙に作り直す。 書画カメラって高価な割にクリアに映らないし、不便で、 数学の講演にとって良い所が一つもないように思う。 多分、コンピュータ入力の投影が主な機能で、 書画カメラ部がオマケでついているからだと思う。 他の分野からすれば、 今時、コンピュータでプレゼンテーションしないなんて、 時代遅れもはなはだしいのだろうが。 夕食は御飯を炊いてだしを引き、 回鍋肉と大根と長葱の味噌汁。

これもつい先日のこと、 執事の両親から御祝儀が届いたと言う話をしていた。
Hara:「御祝儀って当日に受付で渡すんじゃないの?」
Butler:「普通はそうなんですけど、肉親とか親しい人は先に渡すんですね。 本来は、式場で御祝儀を渡すのは滅多に会えない人だけなんですよ」
H:「へええ、そうなんだ。初めて知ったよ。 じゃ、僕なんかも毎日顔を会わせてるんだからさ、 先に渡しておくのが本式なわけ?」
B:「そういうことになりますね。 でも、式場の受付で自分だけ御祝儀袋出さないってのも、 いやな感じじゃないですか。だから普通でいいですよ」
H:「いや、僕はそういうの全然気にならないから。 先に渡せるならずっとその方がいいよ」
B:「ちょっとは気にして下さい…」
H:「じゃ先渡しする。相場はいくらくらい?」
と言うような会話をして、金額の相場を新郎本人から直接に聞き、 御祝儀を用意する。
H:「はい、これ。御祝儀」
B:「ありがとうございます。あの…他とまぎれないように、 封筒に裏書きしてください」
H:「あ、そうかそうか、ダーコー。ちょっと待ってね、はいはい、と」。
B:「そうじゃなくて!名前書かなくても、 京都銀行の封筒は博士だけですから! 金額ですよ、金額!!」
H:「あ、そういうこと?」

執事は、俺がいなくなってもこの人は大丈夫だろうか…、 と言いたげな顔つきをして、退場した。

Friday, March 23, 2007

振り込み上限額

また一旦朝方に目が覚めて、二度寝して、 ペリカン便に起こされたら、もう 10 時だった。 今日は良い天気。気温も 20 度近くまで上がるらしい。ようやく春か。 来週始めの桜開花予想も現実的になってきた。 今日は執事が副業を休んで、家を出たり入ったりしている。 結婚式と引越し関連の用事をまとめて済ませるため、休みをとったそうだ。 午後は講演の準備に励む。 夕食は御飯を炊いてだしを引き、 大根と油揚げの味噌汁と、久しぶりにだし巻き卵を作った。

つい先日のこと執事に、結婚式の費用を振り込みたいのだが、 ATM かインターネットバンキングではいくらまで送金できるのか、と訊かれた。 銀行窓口が開いている平日の時間帯には当然仕事をしているわけだから、 自動送金したいと。 しかし最近、マネーロンダリング防止のため、 一回当たりや一日当たりの上限額がかなり低い値に設定されたような気がする。 結婚式の費用は数百万円だそうなので、正確な上限が気になる所だろう。

Hara:「うーん、どうだったかなあ…」
Butler:「確か自分で設定できるんですけど、記憶にないってことは、 デフォルト値になってると思うんですよ。二百万円とかでしょうか」
H:「でも不便だよね、一千万円くらいは振り込めないとさ」
B:「そんなことないですよ。 また無意識にぽろっとでましたね、格差発言がぽろっと」
H:「そういう意味じゃなくてさ…例えばほら、 T○SEの同僚に車が趣味の人が沢山いるって言ってたじゃん。 その手の車って一千万くらいはするんじゃないの、良く知らないけど。 そういうとき、どうするのさ」
B:「もちろん、ローン組むんですよ」
H:「えっ、何のために?
B:「(爆笑)何のため、って…真顔で何のためって…ひーひーっひ。 この話、フィアンセにしていいですか? (まだ爆笑しつつ退場)」

何か誤解されたようだ。家でも買うならまだしも、 贅沢や趣味のためにローンを組む、と言う発想が抜け落ちていただけなのだが。 私は父の代が苦労しているので、滅多なことで借金などするものではないし、 突然の不幸や不運への備えはいくらあっても十分でない、 と言う意識があるからかも知れない。

ちなみに、フィアンセも大爆笑したそうです(笑)。

Thursday, March 22, 2007

一粒のらっきょう

就眠儀式として、 パンドルフィーニの簡単なエンドゲームの問題集から一題だけ選んで、 頭の中で解くようにしているのだが、 そのせいで寝るのも遅くなるし、眠りも浅い気がする。 何故だか朝方一回、目が覚めてしまう。 そして次に目覚めたら、10 時。いかん。 今日はかなりあたたかい。ようやく春の兆しか。 朝食は珈琲とバゲットを二切れ、クリームチーズ。 昼食は近所の町屋インドカレー屋さん。 魚のカレーと豆のカレー。最近、辣韮が一つだけつくようになった。 他はインド式なのに、 皿の真ん中に一個だけ辣韮が転がっているのも変な風景なのだが、 好きだからよしとしておこう。 ワイン屋さんでチーズを買って、郵便局で一つ用事を済ませて帰る。 午後はようやく講演の準備をする。 今日は OHP シートのアウトラインをノートに作った。 夕方には雨が降った。春雨、かも知れない。 夕食は砂肝と大蒜の芽でスパゲティにしてみた。

最近のニュースは大抵、飛行機とタミフル。 どちらもまともなリスク評価の情報は一切なく、 紋切り型のコメントが繰り返されている。 ちょっと話は逸れるが、 某報道ス○ーションの司会のコメントの紋切り型凡庸さは芸の粋まで逹していて、 恐怖感すら覚える。毎日観ていると慣れるのだろうか。 ええと、それはともかくとして、何だっけ。そうタミフル。 タミフルを投与された患者の異常行動はニュースになるが、 投与されないインフルエンザ患者が異常行動しても、 死亡しても、ニュースにならない。もちろん後者の方が多く、 特効薬タミフルを使用禁止にすることには、かなりのリスクが伴う。 しかし、おそらく本当のリスクはどれくらいか、と言うことよりも、 人々をどう安心させるか、と言う感情面の判断が重要なのだろう。 例えば、十代へのタミフル投与を制限すると発表したことは、 なかなか良い判断かも知れない。 十代の青少年は単に丈夫なので、 タミフルを投与しないことによるリスクが低い。 つまり出来るだけ何もしない方向で、 何か対応をしている、と言う安心が与えられる。 専門用語で言えば「セキュリティ芝居」だが、 お芝居の有効性は侮れない。

Wednesday, March 21, 2007

R の 3 乗

9 時起床。今日はいい天気。 二日前の疲れが今頃出てきたのか、 舌が腫れているような感覚。 珈琲とバゲット二切れの朝食のあと出勤。 午前は学科別の卒業証書授与式に出る。 一人一人、卒業証書を渡しては、拍手。 けっこう時間がかかるので、 その間、頭の中でビショップの基本エンドゲームを練習していた。 生協食堂で昼食。 次の大学院の修了証書授与式は夕方からなので、 随分と待ち時間がある。 生協書籍部に行くと、情報学部の N 先生がいて少し立ち話。

どう忙しい?ま、この大学の人は皆忙しいけど。
忙しいですが、僕が下からのエスティメイトでしょう。
どこかいい転職先ないかねえ。 大学は移り難いし、企業はどうかなあ。
A 社に戻ったらいいんじゃないですか、 この前、K さんの結婚式で社長と副社長に会ったら、 いつでも戻ってこいって言ってましたよ。
そりゃ一番簡単だけどさ、Google とかどうかなあ?
採ってくれればいいですけどねぇ。
H 君はどこかあてがある?
古本屋でも始めようかなあ。
京極堂かよ。
このキャンパスは弁当屋が必要だと思うんですよねー。
マーケティングすんな。

なんて、会話をして、書籍部の前で別れる。 研究室で、シュナイアーの「セキュリティはなぜやぶられたのか」 (B.シュナイアー著/井口耕二訳/日経BP) を読んで暇をつぶす。 名著だ。セキュリティ問題の一般論についての本が必要だとは思っていたが、 これがそうだ。この分野の古典になるだろう。 夕方から学科別の修了証書授与式。わずか数名なので、あっと言う間に終わる。 バスで駅まで移動して、駅の近くのレストランでの謝恩会に出席。 R の 3 乗と書いて何と読むのか知らないレストラン。 まさか、「三次元ユークリッド空間」ではないだろうが、 数学科の学生に愛用されているようだ。 花束をもらったりして、10 時過ぎに帰宅。

Tuesday, March 20, 2007

フィリップ・マーロウの趣味

10 時起床。段々と寝る時間が遅くなってきて、 連れて朝も起きられなくなってきた。 東京では桜が咲いたそうだ。全国一早い。 京都は冬が逆襲しているところで、 まだ桜の花が見られるような気が全くしない。 予報によれば、来週らしいのだが。 朝食は珈琲のみ。 昼食は御飯を炊いて、だしを引き、 豆腐と長葱の味噌汁、納豆と生卵などで済ませる。 やっぱり一番好きな味噌汁は、豆腐と長葱だけのシンプルな組み合わせかな。 午後はまた肝心の講演の準備ではなくて、その周辺の些事をあれこれ。 どうも私は何につけ、すぐに核心に取りかかれず、 まず外堀を埋め、次に内堀を埋めて…と、遠回りしてしまう傾向にある。 いつまでたっても本丸に辿りつかない。 夕食は冷や御飯を使って、また炒飯。 冷や御飯があるとつい、これで済ませてしまう。 最近、料理がちょっと手抜き気味。

探偵フィリップ・マーロウの趣味はチェス。 ただし、対局相手がいないらしく、 常に深夜、一人でウィスキーを飲みながら名人の棋譜を並べたり、 序盤定跡の研究をしたりしている。 例えば、 「ロング・グッドバイ」(チャンドラー/村上春樹訳/早川書房)ではこんなシーン。 「ひっそりとした夜で、うちの中は普段以上に空虚に感じられた。 私はチェスの駒を盤に並べ、スタイニッツを相手にフレンチ・ディフェンスの 陣を張った。彼は四十四手で私を打ち負かした。 しかしこちらだって二度ばかり、相手の手に汗をにぎらせてやった」。 この対局が何だったか chessgames.com で調べてみたところ、 シュタイニッツが白番、フレンチ・ディフェンス、44 手で終了、 の三つの条件を満たすのは、 W. Steinitz vs. Leon Labatt (1883, New Orleans)(棋譜再現) だけだった。 Labatt は聞いたことのないプレイヤーで、かなり意外。 なんとなく、対ブラックバーンあたりだろうと思っていた。 対局自体は 20 手ほどで既に終盤に入る、かなり渋いゲーム。 マーロウはこの棋譜で、 同色ビショップのエンドゲームの勉強をしていたのかも知れない。 テリー・レノックスがチェスを知っていれば、 興味深い対局になったろうに。

明日の夜は、昼間の卒業式に続いて謝恩会なので、 更新はやや遅くなると思われます。

Monday, March 19, 2007

離れるのは少し死ぬこと

よく寝た。珈琲だけの朝食を取りながら、ChessBase で棋譜の整理。 当たり前だが、 勝つときは駒があるべきところにあるために勝ち、 負けるときは駒がおかしなところにあるので負けるように思う。 サッカーとかアイスホッケーの世界では、 「良い選手はボール(パック)を追いかけるのではなくて、 ボールが飛んでくる所にいる」などと言うのに似ているが、 それよりはもうちょっと静的な概念かも知れない。 やはり正しい駒の配置は既にそのたたずまいに調和がある。 問題は対局中には何故か、選択肢が自由にあるときでさえ、 おかしな所に駒を置いてしまうことなのだが。

昼食は家の一番近所のベンガルカレー屋さん。 午後は来週の学会出張の準備。ただし講演準備以外のパート。 ホテルや JR の予約とか、そういうトリヴィアルなもの。 夕方、買い物に出かけて、 そのついでに本屋で少し悩んだあとに、 やはり「ロング・グッドバイ」(レイモンド・チャンドラー/村上春樹訳/早川書房) を買ってしまう。 (このチップ・キッドによる装丁は気に入らないが。) 清水訳は名訳ではあるが原文をはしょった箇所がかなりあることは有名だし、 訳者の技量と入れ込みようからしても、 この村上訳の方がこれからの決定版になるだろう。 さらに、あとがきとして 40 ページ以上書かれている 訳者による「ロング・グッドバイ」論が大変面白い。 失礼な言い方になってしまうが、 村上春樹が珍しく自分の頭の良さを隠していない。 ところで、この「長いお別れ」は私が時に読み返す小説の一つである。 この小説に登場する酔っぱらい、テリー・レノックスは架空の人物の中で、 最も興味深い人間だとさえ思う。 私が「時に読み返す小説」は十冊くらいある。残りは秘密。

Sunday, March 18, 2007

魔都日本橋 / (1.0) + 0 + 1 + 0 = 2.0

ホテルで起床。 少し時間が早かったので会場に行く前に、 日本橋の街をあちこち散歩。 この街の昔のイメージはジャンク屋やパーツ屋の集合しているところ、 つまり大阪の秋葉原、だったのだが、今では本物の秋葉原と同じく、 大きな闇の力に呑み込まれて、おたくカルチャーの街になってしまったようだ。 少し歩くと、そろそろ開店をする喫茶店らしき店から、 挨拶を練習する合唱が聞こえてきた。 「御主人様、お帰りなさいませー」 「御主人様、お帰りなさいませー!」 「萌えー!」「萌えーっ!」… 日本はどこに行ってしまうのでしょうか、母上様。

定時 30 分前に会場着。 第 3 ラウンド、白番。昨日の第 1 ラウンドに続いてまた「棋士」(ナショナルマスター) とあたった。しかも、序盤はシシリアン・ナイドルフだ。 クイーン側にキャスリングしたところへのポーンストームを受け間違い、 ナイトを二つとも一段目の隅に押し込まれ完敗。 でも局後検討で色々と教えてもらえて勉強になった。 長々と検討をしていたら昼食を食べ損ない、 朝からチョコレートだけをエネルギー源に第 4 ラウンド。 また白番。スコッチ・ゲーム。 中盤まで少しもたついたが、 エンドゲームに入ったところでルークをポーンでトラップして勝ち。 早く終わったので、この隙に近所でサンドウィッチを買って遅い昼食。 最終第 5 ラウンド、またかなり格上の相手。黒番。 最後は思い切って派手に戦おうと思い、シシリアン・ドラゴン。 しかし、いつの間にやら二手くらい遅れを取っていて、 攻め合いにもならず防戦一方で敗け。 結果、昨日とあわせて 2.0 ポイント。目標の勝ち越しにならず。 第 1 R, 第 3 R は格が違うにしても、 第 5 R はせめてドローにしたかったなあ。 ちなみに大会のトップはサイモンさんで、単独の 4.0 ポイントでした。

全体の感想としては、 やはりチェスに注ぎ込んでいるエネルギーが違うなあ、 と思った。 まだまだ修行が足りません。 悄然として帰宅し、シェリーを飲みながら反省会。

Saturday, March 17, 2007

初日 0 + 1 = 1.0 / 特別ゲスト

自宅近所のカレー屋さんで早めの昼食を済ませてから、 大阪へ移動。 午後から、チェスクラブ「アンパサン」で全国大会の地区予選。今日は午後の二局。 大体、10 ほどボードが立っていたようなので、 せいぜい 20 人程度の参加だろうか。 一局目だけ、あるいは二局目だけ、参加の方もいたようだ。 持ち時間は最初の 35 手に 50 分、その後に 10 分追加で合計 60 分。 第一局、ずっと上のレイティングの方を相手に黒番。 ダッチ・ストーンウォール、に組ませてもらえず急戦に持ち込まれる。 ポーン一つを失い防戦一方。何とか堪え続けたが、 35 手まで後 10 手以上も残っているのに、持ち時間が 5 分を切り、 ノータイムで指している内に完敗のルークエンディングに変換される。 局後の検討によれば最強のディフェンスで持ち堪えられたようだったが、 やはり防御は攻撃より難しい。 第二局、中学生を相手にまた黒番。 ダッチ・ストーンウォール。 中盤でメイトを脅す手で続けざまに 3 ポーン取った。 しかし、大駒が残っているので、なかなか勝ちを決められない。 これもお互い時間を追われて、 最後は相手がうっかりクイーンの交換を許してしまったところで投了してくれた。 今日の結果、一勝一敗 0 + 1 = 1.0 ポイント。 このあたり、ストーンウォールを指し続けてみているのだが、 相性はいまひとつかなあ…

ニュースとしては、第二局の途中から、 小説家の小川洋子さんが観戦に現れた。 プロブレム作家でナボコフ翻訳者の若島先生もご一緒で、 狭い会場が急に華やかになっていた。 小川さんの次回の小説のための取材だそうだ。 対局の後、チェスおたくたちに囲まれて好き勝手なことを言われていたが、 それでげんなりされなかったかちょっと心配(笑)。 いきなり何とかヴァリエーション定跡の話とか、 エンドゲームがいかに奥深いかとか熱く語られてもね。 それはさておき、 私には、若島先生に新作のプロブレムを解説つきで教えてもらう、 ゴージャスなおまけがついた。 おそらく以下の説明はこの日本で 20 人くらいしか分からないと思うが、 グラスホッパーの入ったアンチキルケの二手オーソドクスで、 フェアリー駒の取りによるキルケ再生場所の衝突を扱った巧妙な問題でした。 この blog を読んでいる人の中では、 「なるほどそうか」と思った人は多分、三人くらいですか?

Friday, March 16, 2007

プロブレムの目標二つ

今日も寒い。明日も真冬なみの寒さらしい。 珈琲とバゲット二切れの朝食をとって、すぐに出勤。 午前はまた入試判定の学科会議。 一体全部で幾つ入試をしているのか、私も良く知らない。 生協食堂であわてて昼食を取って、すぐに次は教授会。 非常にシビアな人事の議題が中心。あの件。 夕方に終わって、研究室で少し雑務をしてから帰宅。 "Problem Paradise" の最新号が届いていた。 今回解答が出ている号のときは忙しかったのか、 ヘルプメイトのセクションだけしか解いていない。 結局、二つの目標を両方とも達成できていなかった。 その目標とは、(1) ヘルプメイトを完答する、 (2) 広島の某 S さんに解答成績で勝つ、の二つ。 時間があれば (1) の方はなんとかなるのだが、 最近 (2) がかなり怪しい。 そもそも S さんは詰将棋作家だけに、差が開くばかりか。 夕食は豚肉と長葱の炒麺。

明日、明後日はチェスの全日本大会地区予選のため大阪。 明日 17 日の夜は会場の近くに泊まる予定ですが、 多分、更新できると思います。

昨日の解答:もちろん、1. ... f5! 第一手で e4 と端の a2 ポーンをアタック。 a2 を守っても白は後がかなり辛そう。

Thursday, March 15, 2007

桜餅

9 時起床。曇り。今日も寒い。 このあたりずっと氷点から 10 度前後のレンジの気温。 春はまだ遠し。朝食は珈琲とバゲットを数切れ。 昼食は豚汁とチキンライス。おかしな組合せだな。 午後は週末の大会に向けてチェスの勉強などしてみるものの、 さすがに手遅れか。 夕方、近所のワイン屋さんに頒布会の商品を受け取りに行く。 夕食は近所のバーにて。 鯛と竹の子と一寸豆のキッシュ、鹿肉のソテー、 桜の葉を巻いたシェーブルチーズ。 キッシュはどの素材もほくほくした感じで春らしくて美味しかったし、 鹿は意外と脂があってポルト酒のソースと良くあっていた。 桜のチーズも春らしい。 桜の葉は思ったより強い香りなので、桜餅を食べているような印象。 ワインよりほうじ茶とかがあいそう。

New in Chess とイヤーブックの最新号が届く。 最新定跡の棋譜解説集であるイヤーブックの方は眺める程度なのだが、 シリアスなプレイヤーは全部フォローするのだろうか。 こんなに序盤定跡が徹底的に分析されていると、 フィッシャー・ランダム(チェス 960)の大会が、 少しとは言え、増えてくるのも分かる気がする。 フィッシャーが考案したと言うこの新型チェスは、 駒の初期配置をランダムにして序盤定跡を無効化しようと言うもので、 「960」の別名は可能な配置が 960 通りあることから来ている。 これで序盤定跡が無効化されるか、と言うと、 イヤーブックが週刊化するだけだったりして。 今のところ、プレイヤーが 960 に慣れていないこともあって、 なかなか楽しい対局になるようだ。 例えば、以下の盤面をご覧あれ。 白の初手 1. e4 が指されたところ。 羽生先生もファンだと言うモロ様(Alexander Morozevich)の次の一手は? (注:この初期配置は二つのルークの間にキングがないため、 "960" の正式ルールでは許されないと思われるが、 実際にフランクフルトでの "960" 大会で対局されたらしい。 出典は New in Chess Yearbook #80 (2006), Sosonko corner より。)

Wednesday, March 14, 2007

湯上がりの一杯

今朝も寝坊。いかんなあ…調整しよう。珈琲だけの朝食。 昼食は冷や御飯を使って、卵と長葱の炒飯。 炒飯を作るときには、油の後、卵を一番先に入れるのだが、 実はそれを知ったのはそんなに前のことではない。 そうすると確かに、鍋に焦げついたりせず上手に出来る。 やはり何事も正しい方法を学ぶことが大事ですね。 午後は自宅でお勉強。 この時期は大学の仕事が少なく、自分のしたいことができて嬉しい。 夕食は御飯を炊いて、麻婆豆腐と葱のスープを作った。 夜はシェリー酒を飲みつつ、読書など。 シェリーはもっときついお酒かと思っていたけれど、 これはまろやかで美味しいです。

政治資金の不正使用問題で今度は、一本五千円の水を飲んでいるからだ、 と主張しているのを知って、 なるほどそれなら一年で五百万円くらい簡単に使えるなあ、 とむしろ感心した。 それで、こういう話を思い出した。 トレーダーやファンドマネジャーの中には年収が数十億円なんて人がいて、 一体そんな人たちは何にお金を使っているのかねえ、 なんて私のようなつつましやかな生活をしている者は思うわけだが、 そのあたりの事情を、業界人が私にレクチャーしてくれた話である。 「先生だってお風呂上がりにビールの一本くらい飲むでしょう? (私は飲みませんが。) まあ飲まなくても、それくらいは普通だってことはいいでしょう。 お金があると、そのビールがシャンパーニュになるわけです。 もっとお金があると、それがヴィンテージのシャンパーニュになる。 そうすると、お風呂上がりの一杯の五百円が、 簡単に五千円、五万円になりますね。 風呂上がりの一杯だけで既に一ヶ月で 150 万円使える。 一年にすれば 1800 万円だ。風呂上がりの一杯だけで。 ま、そんなわけですよ」。 つまり、何か特別なことをすると言うより、 何もかも全てのコストが容易に十倍、百倍になるのだ、と。 もちろん、 風呂上がりの一杯をビールからヴィンテージのシャンパーニュにしても、 百倍美味しいわけでも、百倍幸せになるわけでもないが、 確かに百倍のコストはかかるのである。

Tuesday, March 13, 2007

ギムレットには

また夜更かししてしまって、今朝は寝坊。 10 時過ぎに起床。珈琲のみの朝食。 昼食にレバーのソースのスパゲティを作る。 午後は郵便局に雑用に行き、 ついでにあれこれ買い物の用を済ませる。 夕食は御飯を炊いて豚汁を作る。 もう一品作るのが面倒で、生卵と納豆。 炊きたての御飯で卵御飯って美味しい。

名作「長いお別れ」の村上春樹訳、 「ロング・グッドバイ」 (レイモンド・チャンドラー著/村上春樹訳/早川書房) がついに出版されて、本屋に山積みになっていた。 読みたいけれどハードカヴァは場所を取るからなあ… 新書サイズくらいで出ないものだろうか。 それにこの真っ赤と真っ青と真っ黄色の装丁がどうもいけ好かない。 ところで、超有名作とは言え、 ミステリとかハードボイルドのジャンルとされる作品だけに、 実は意外と一般には読まれていないのかも知れない。 村上春樹訳で初めて「長いお別れ」を知る、 と言う新しい読者も沢山いるのだろうか。 何だかちょっと奇妙な感じがする。 映画を知っている人もかなりの歳だろうし、 「ギムレットには早過ぎる」なんてバーで言っても、 誰にも分かってもらえない時代なのかしらん。

Monday, March 12, 2007

リアリティ

8 時半起床。珈琲のみの朝食をとって、キャンパスへ。 午前中はまた入試判定会議。 今回は受験生の少ない試験だったので、 合格ラインを上げ下げする議論の余地がなく、短時間で終了。 ついでにいくつか議題があって、正午くらいに学科会議全体も終了。 続いて、一つミーティング。 生協食堂で昼食をとって、雑務を少しこなしてから帰る。 帰宅すると、 事務からまた一つお仕事がメイルで来ていたのでその対応。 夕食は長葱と豚肉の炒麺。赤ワインを一杯と食後に珈琲。

北村薫の「盤上の敵」、読了。 確かに極めて読後感の悪い、しばらく落ち込みそうな内容だった。 特に女性は読まない方がいいんじゃないかと思う。 このプロットにリアリティを持たせるために、 ある程度は登場人物の背景を書き込む必要があったことは確かだろうが、 ちょっとやり過ぎなんじゃないだろうか。 作家としては登場人物が勝手に動き出して、 とんでもないところまで書いてしまうことがあるのかも知れない。 日常の中のちょっとした謎を扱う、 ほのぼのした作風で有名な著者だけに、 出版されたときは衝撃的だったのだろう。

Sunday, March 11, 2007

担々麺

9 時起床。昼食は担々麺セット。 担々麺は汁がないのが本当だが、日本式もそれはそれで美味しい。 確か陳健一のお父さんが導入したんだっけか。 午後は昼風呂に入って、湯船で「盤上の敵」(北村薫/講談社文庫) の続きを読み始める。 文庫版解説を先に読んでみたら解説者が、 この小説の読後、 「あまりの辛さ重さに一週間くらい落ち込んだ」 とまで書いていて、むしろそこまで言うなら、と読むことにしてみた。 現在三分の二ほど読み終えたが、既にかなり憂鬱な予感。 でも同解説者によれば、それだけ落ち込んだが、 本格ミステリの「生涯忘れ得ぬ傑作」とも絶賛していることだし、 行きがかり上、今夜あたり読み終えることになるだろう。 そのせいと言うわけでもないが、あまり食欲がなくて、 夕食は生ハムとチーズ、レバーペーストとパンでワインを少し。

Saturday, March 10, 2007

盤上の敵

8 時起床。結構早起き。 今日はいい天気。午前中は洗濯をしながら、 読書など。 昼食は長葱と卵の炒飯。 午後も読書をしかけたが、途中で読み差す。 「盤上の敵」(北村薫/講談社文庫)と言う本。 この小説は各章の題名がチェスの比喩で書かれていて、 またエラリィ・クイーンの「盤面の敵」(早川勝訳/ハヤカワミステリ文庫) を想像させるタイトルでもあるので、 きっと面白いに違いないと、時間のある時のためにとっておいた。 しかし、読み始めてみると、 いきなり著者からの断り書きがあり、 この小説は心が弱っているときに読んではいけないと言う。 最初はハードカヴァで出版されて相当の評判を上げた作品だが、 この話は辛すぎる、傷付いた、と言う手紙が著者の元に届けられたりしたことから、 ノベルス版を出版するときに、この断り書きが追加されたらしい。 文庫版でもそれが踏襲されている。 実際、読み始めてみると、 第一章だけでも何だか、いやーな予感がする。 折角のほのぼのした休日にそんな気持になるのも嫌だな、 と思って、そこで読み差してしまった。 でも衝撃の傑作でもあるらしいし、 この休日で読むべきか読まざるべきか…

Friday, March 09, 2007

ディフェンス

昨夜、遅くまで寝台で初歩のルーク・エンドゲームを考えていたせいで、 随分と寝坊してしまった。駒数の少ないエンドゲームなら、 時間をかければ頭の中だけで考えられるようになってきた。 とは言え、この駒は e5 にいてこっちは c4 だから桂馬飛びの関係にあって…、 などと座標を頼りに考えていて、 けしてはっきりとチェス盤と駒の映像が頭に浮かんでいるわけではない。 いつかブラインドフォールド(目隠しチェス)が出来るようになる、 と言う夢を持っているのだが、いつになることやら。 紅茶だけの朝食のあと、 事務から成績評価への疑義申し立ての連絡があって、 午前中はその対応。

成績評価は慎重に行なってはいるが、当然間違いが入り込む可能性がある。 何百人も学生がいるマスプロ講義ではなおさらである。 また、単なる間違いではなくて、 本当に評価能力への疑義と言うこともありうる。 教員はこの私に「C(可)」の成績をつけたが、 それは私の天才を理解できない教員の凡庸さの証しであり、 本来なら A+ をつけるべきだ、とか。実際、そういうこともあるだろう。 天才は忘れた頃にやってくるものだ。 そういうわけで、成績発表が終わったあとで、 学生から異議申し立てのチャンスがある。 私なんかはまだ古い大学のイメージが残っているから、 本音では、成績なんてどうでもいいじゃないか、と思っているのだが、 国際標準化と言う名のアメリカナイズが進む今の大学ではそうも行かない。 シラバスは教員と学生との間の契約書なのであって、 その契約に基いて、商品である講義を厳密に契約通りに提供し、 厳正に得点評価をせねばならず、 学生はその得点を持って社会に出ていくのである、うんぬん。 と言うわけで(?)、午前中は保存しておいたレポートの山を引っくり返して、 該当の学生のものを探し、確かに正しく採点したかをチェックして、 この評価で間違っていない、と言う、 こちらからのディフェンスの文章を作成して、事務に送り返す。

昼食は近所の町屋インドカレー屋。チャイを飲みつつ、少し読書。 帰りに店の主人が、マレーシアのお土産だと言って、 「清糖餅」と言うお菓子を一つくれた。 銀行で所用を片付け、珈琲豆を買って帰宅。 午後は勉強。何の勉強かは秘密。 夕食は御飯を炊いて、根菜の味噌汁と納豆で一汁一菜。

Thursday, March 08, 2007

若き君への手紙

8 時起床。朝食は珈琲のみ。 昼食は御飯を炊いて、麻婆豆腐を作って麻婆丼。 午後からキャンパスへ。あれこれ雑務。 生協書籍部で、「若き数学者への手紙」(I.スチュアート/冨永星訳/ 日経BP社)を買って、車中で読みながら帰る。 読了。イギリスの大学に勤める数学者である主人公が、 アメリカに住む姪のメグからの相談に答える手紙の形で、 数学と数学者の世界について語る、と言う仕掛け。 この "Letters to a Young ..." はシリーズらしくて (勿論リルケの「若き詩人への手紙」のもじりである)、 俳優編、シェフ編、弁護士編、などもあるそうだ。 「若き数学者への手紙」では、 最初メグは進路に迷う高校生で、大学に入り、 数学科に進み、大学院に進学し、ポスドクになり、 助教授になり、最後にはテニュアを得る。 大変に面白く読めた。数学に興味を持つ一般の人々にも、 数学の世界に入ろうとする学生たちにも勧められる本だと思う。 ただ、これは長所でも短所でもあると思うのだが、 ちょっと「軽い」かな、と思った。 この設定で書くなら、 数学者と言う道を選び、そこで生きていくことの、 大変シリアスで重い話をいくらでも書けるはずで、 もうちょっと掘り下げても良かったのではないか、と残念だ。 (と、私が言っても説得力はないだろうが…) でもこれは著者のキャラクタもあるんじゃないかな、と思う。

イアン・スチュアートはイギリスの Warwick 大学数学科の先生で、 私が半年、Warwick 大数学研究所に滞在していたときに、たまに姿を見かけた。 大変忙しくて滅多につかまらない、と言われていたが、 「動物の行動と数学」 と言った感じのシンポジウムを組織していたときに見かけたのと、 一番後ろの席で何かの校正をしているらしき姿を定例セミナで見たことがある。 一度、セミナの後のワインつき軽食会でも見かけたかも。 最初はリー環論から出発したらしいが、 主にありとあらゆる境界領域的な研究をしている。 また啓蒙活動にも熱心で、沢山の一般向けの本を書く一方、 マスメディアへの露出も多い。 それどころか、「ディスク・ワールド」と言う(イギリスでは) 有名なファンタジィ小説シリーズの著者と 共著でディスク・ワールドものを書いていたりもする。 何となくこれで雰囲気は伝わったと思うが、けして普通の数学者ではない。 誤解を怖れずに言えば、 溢れる元気と才能の溢れるがままに、 田舎の大学を拠点に好き勝手やってる才人と言いますか、 私などは、ある意味、これこそ本当の数学者、 科学者と言う気もしないではないが、そう思うのは少数派だろう。

Wednesday, March 07, 2007

カゴメ

昨夜がかなり遅かったので、今日も朝はゆっくり。 昨日、今日とぐんと寒い。春一番、二番も吹いたが、やはりまだ冬か。 初夏かと思うくらい暑い日もあったのになあ。 朝食は珈琲のみ。 午前中は学内誌の原稿の校正作業をして、メイルで返事。 昼食は御飯を炊いて、豚汁と常備菜の一汁一菜。 午後は少しメイルベースで仕事。 少しチェスの勉強と、読書。 少しだけ読み残していた、 「ムーン・パレス」(P.オースター/柴田元幸訳/新潮文庫)を読了。 夕食は冷や御飯を使ってバターライスを作り、 オムライスにする。 これはこれでいいが、 やっぱりオムライスの中身はケチャップ味のチキンライスがいいなあ。 上にかかっているのも、私はケチャップ派。 さらに言えば、カゴメ派。

現在、フランスで "Cappelle la Grande" と言う、 大きなチェスの大会が行なわれていて、 日本からも何人かのプレイヤーが参加している。 特に私が応援しているのは井上君。 と言うのも、一度トーナメントで対局して(ラッキーにも)引き分けたことがあるので、 そんな人が外国で世界の強敵と戦っているのを観ると、 関係ないこっちまで何だか盛り上がってくるわけだ。 今のところ結構勝ってくれていて嬉しい。 日本のチェス界はとても層が薄いのだが、 その利点(?)にこういう楽しさがあるね。

Tuesday, March 06, 2007

Les Diaboliques

早朝に何故か目覚めてしまい、 二度寝したら 10 時まで寝てしまった。 春休みとは言え、いかんなあ。 珈琲だけの朝食、少しエンドゲームの勉強。 昼食は豚肉と長葱で炒飯。 午後は TV でボワロー&ナルスジャックの「悪魔のような女」 のドラマ化の再放送を放映していたので、つい観てしまう。 菅野美穂/浅野ゆう子/仲村トオル主演。 原作が既にスリラーの古典と呼ばれる傑作だけあって、 確か何回か映画化されている。 半世紀も前の A.J.クルーゾー監督、 シモーヌ・シニョレ/ベラ・クルーゾー/ポール・モーリス主演の映画化が名高い。 このストーリーはどんでん返しで有名なのだが、 それを知っていると余計に心理劇として楽しめ、 そこが普通のサスペンスとは一線を画するところである。 また原作を知っていると、 どこまでホラー風味に見せるか、演出するか、と言う鑑賞も出来る。 意外とフランス産のミステリは日本でうけないようで、 古典的名作を除けばあまり翻訳もされないし、 されてもすぐに絶版になる。 時々フランス好きの方に、シメノンのメグレ警視ファンはいるかな。 何となく私の印象では、 フレンチ・ミステリは (1) 登場人物がとても少ない、 (2) 心理描写が濃密または乾き過ぎ、 (3) その割にプロットがトリッキィ。

午後遅くにキャンパスへ出勤。夜の教授会に出るため。 生協食堂で夕食を済ませてから、19 時から教授会。 しかし教授会が成立するための定足数、 教授会構成メンバの二分の一に満たず、 談話会のような格好になってしまった。 しかし会議は予想通り、ヘヴィかつ大荒れ。どうなることやら。 21 時頃、ようやく、と言うか、無理矢理、と言うか終了。 帰宅は 22 時半くらい。 岸恵子主演のクリスティ「予告殺人」、観たかったのになあ。

Monday, March 05, 2007

労働者のチェステーブル

昨日の疲れでなかなか起きられない。 予選のときは、大阪とは言え現地に泊まった方が良さそうだなあ… 午前中は昨日の棋譜を整理して、一人反省会。 昼食は納豆スパゲティ。 午後もだらだらと郵便物の整理など、雑用の一日。 月末の講演の準備(まだ全くやってない)に、 春からの講義の準備(まだ全くやってない)に、 二週間後のチェストーナメントの準備に、 執事が三月末に出て行くらしいからその準備に (ご報告:挙式には間に合わなかったものの、 四月からの新居が決まったそうです)、 と色々やることがあるはずなのだが、 どうも気分が乗らない。五月病かな… そう言えば、猫も食欲より睡眠、という感じで、 普段なら「御飯をください」とうるさい時間でも寝ている。 夕食は御飯を炊いて、常備菜と豚汁で一汁一菜。

昨日クラブで沢山見てまた思い出したのだが、チェステーブルが欲しいなあ、と。 チェス盤の部分が組み木になってたり、 石を嵌め込んであるような高級品でなくても、 スターバックスにあるような印刷模様のものでもいい。 そしてインターネットで検索してみると、 色々と素敵なテーブルがあるようだ。 例えば、これなんか凄い、 「労働者クラブのチェステーブル」(機能の説明も必読)。 ロシア・アバンギャルドだ、かっちょいー。 すごく欲しい。でも税込 147 万円のお値段は労働者向きではない。 誰か資本家の人、労働者の私にプレゼントして下さい。 手作りの作品だがこれもすごい、 並列64個マルチプロセッサ組み込みチェステーブル (実際は、68 個使っているらしいが)。 冗談はさておき、私がこれなら買ってもいいな、 と思ったのは、アンティーク品の これとか、 撮影用の小道具レンタル品らしい これなんかいいと思う。

Sunday, March 04, 2007

クラブ・デヴュー

朝 8 時起きして、すぐに外出。 大阪のチェスクラブ「アンパサン」に向かう。 JR を乗りついで、さらに地下鉄に乗り換えて、 難波に着いた。 そこでさらに道に迷い、歩き疲れて現地に到着。 「アンパサン」に来るのは初めてで、 さらに言えば、そもそもチェスクラブに来るのも初めて。 再来週の土日に全国大会の大阪予選がここであるので、 会場の下見を兼ねて例会に参加してみた。 ずっと前からいつか行こうとは思っていたものの、 交通が不便そうなのが億劫で、今になってしまった。 でも後で聞いてみたら、実は阪急を使えばもっと便利に来られるのだった。 それを知っていれば、もっと前から参加したのに。

午前一局、午後二局。 タイムコントロールは最初の 35 手に 50 分、その後に追加 10 分だが、 同程度のフィッシャー式も選べるようだ。 第一ラウンド、丁度同じくらいのレイティングの相手。 黒番。ダッチ・ストーンウォール。ポカの応酬をして勝ち。 勝者とは敗者より先にミスをした者のことである。 食後に第二ラウンド、また丁度同じくらいのレイティングの方と。 日本語がとてもお上手だったが外国の方だと思う。 白番。スカンジナビアン定跡(1.e4 d5)。 来たなと思って取ったら、さらに謎ギャンビット(2. exd5 e6!?)。 うーむ、クラブ・プレーヤーの洗礼だろうか。これも取る(3. dxe6)。 その後も兎に角、猛烈に攻めてくる。 しかし h2 への激しいルーク・サクリファイスが嘘手で、 そのルークとキングの両取りをかけた手でクイーンをスキュー、 と言う激しい手で返り討ちにできた。勝ち。 第三ラウンド。疲れ切ったところに、本日の最強の相手。 350 ほどレイティングが上の方。 白番。フレンチ。コルチノイ・ギャンビットで、 序盤から 1 ポーン捨てて攻めてみる。 上手と指す時には、攻撃的に指した方が、まだ勝目がある。 多分、攻撃より防御の方がずっと難しいからだろう。 結局、攻めながらのエンドゲームに持ち込めたものの、 やはりそこからが駄目だった。 時間が一分を切ってまともに考えられなくなっていたこともあるが、 それはお互い様なので力の差としかいいようがない。 どう考えてもドローには出来たはずのルーク・エンディングで、 二手先も読めていない悪手を連発して負け。 もっとエンドゲームを勉強しないと駄目だ。 理屈で分かっていても、時間がなくなると正しい所に手が行かない。 第三ラウンドは 2 時間半くらいかかり、もうふらふら。 脳が酸欠状態になって帰る。 帰りは教えてもらった地下鉄プラス阪急方式で早く帰れた。

Saturday, March 03, 2007

病入膏肓

9 時起床。久しぶりに良く眠れたかも。 猫にキャットフードをやって、珈琲だけの朝食。 "New in Chess" の Yearbook から少し棋譜を並べたり。 実は最近こっそりと(?)、New in Chess とその Yearbook の購読を始めたのだ。 New in Chess 自体は楽しくて良い。 インターネット配信の雑誌もあるが、歳のせいか私はやっぱり紙媒体がいい。 しかし、どう考えても私のレヴェルでは、 最新序盤定跡の年鑑である Yearbook の方はいらないな、と思った。 まあ気持ちだけでも一人前のチェス・プレイヤー気分を味わえる、 と言う効果はある。 ついに病膏肓に入ったか。

昼食はアーリオ・オーリオ。食前酒にシードル。 午後は読書、昼寝、読書。 ロラックの「死のチェックメイト」などを読む。 やはり、ミステリは英国調が落ち着く。 夕食のため、久しぶりに御飯を炊いて、だしをひいた。 大根と油揚げの味噌汁と、出来合いの餃子で一汁一菜。 やっぱり自分で炊いた御飯は美味しいなあ。

Friday, March 02, 2007

Que sais-Je?

また朝方に一度目を覚ましてしまったが、 二度寝。寝室の前の廊下で激しく鳴く猫の声で、十時起床。 今日はいい天気。完全休日。珈琲だけの朝食。 洗濯機で洗濯。 ちょっと棋譜並べなどをして、昼食は近所の担々麺専門店。 担々麺を食べて、昼間からビールを飲んでやる。ああ飲むとも。 家に帰って、次は昼風呂に入る。ああ昼に飲んだら、昼に風呂だって入るさ。 うちは大した借家ではないが、風呂だけは広くて綺麗なのがいい。 日の差す湯船で長々と一時間ほど「死のチェックメイト」(E.C.R.ロラック/ 中島なすか訳/長崎出版)を読んだ。 風呂上がりにしばらく猫とあやとりをして遊んでから、外出。 烏丸の巨大書店で本棚の間を散歩。 ちょっと話題になっていた、「チェスへの招待」 (J.モフラ著/成相恭二・小倉尚子訳/文庫クセジュ)を買う。 スターバックスでしばらく、 「北原白秋歌集」(高野公彦編/岩波文庫)を読む。 夕方、大宮に帰って、近所のワイン屋さんで林檎酒などを買って帰宅。

夕食は近所のバーにて。 新婚生活満喫中のソムリエがパリに新婚旅行に行くと言う話をしていて、 大聖堂などに興味があると言っていたので、 お薦めスポットとしてサン・シャペルと言う教会を挙げておく。 シテ島にある裁判所の敷地の中の小さな教会で、 そこのステンドグラスが大陸一、素晴しいらしい。 私が行ったことがあるわけではないので詳しくは知らないが、 ソムリエの奥様はパリ通だから良くご存知だろう。 赤ワイン二杯で、 キッシュ(海老と法蓮草、上にじゃこがかかっていた)と鴨のローストを食べた後、 シェフが熱心に薦める熟成モンドールで古いボルドーワインを少し味見して、 9 時前に帰宅。

文庫クセジュは、 フランスの「コレクシオン・ク・セ・ジュ?」と言う、 日本で言えば新書に対応するシリーズを、白水社が翻訳出版しているもの。 やはりどれを読んでも、日本の新書とは一味違うな、と思う。 平凡な言い方になってしまうが、やはりエスプリが効いている。 チェス関係では、 フランソワ・ル・リヨネの「チェスの本」と言う名著がこの文庫に入っていて、 私も子供の頃に手にとって、そのカッコ良さに衝撃を受けたものだった。 そして今回、新たにもう一つのチェス入門書が加わったと知って、 一体どんなものだろうと期待していたのが、この「チェスへの招待」。 やはり独特。けっしてチェスのルールの解説本ではない。 歴史、文化、芸術とチェスの関係を縦横に語りながら、 チェスの魅力を紹介し、しかも、チェス入門にもなっている。 例えば、駒の動かし方などのルール説明は、 1970 年のラーセン対スパスキーの一局を鑑賞しながら行われる。 このゲームを選んだ趣味もいい。 わずか 17 手で勝負が決まったミニゲームで、 このスパスキーの煌めきには、洒落た戯曲短編のような味わいがある。 (興味のある方は、 こちら で棋譜再現できます。chessgames.com より。) 本全体の印象では、 ル・リヨネの「チェスの本」がややマニアック過ぎる感があるのに対し、 モフラの「チェスへの招待」は、 文化としてのチェスの側面が強調されている分、 より多くの読者を得られるだろうと思う。

Thursday, March 01, 2007

ドレッドノート号

せめてゆっくり寝坊してシンポジウムの疲れを取るはずだったが、 習慣で早朝に目覚めてしまう。 無理に二度寝して、起床は 9 時過ぎ。 珈琲だけの朝食。 午後からキャンパスへ。 夕方から臨時の教授会。嫌な予感はしていたのだが、 どちらも超ドレッドノート艦級、略して超弩級の議題が二つ。 二つ目の議題は、来週火曜日にまた続きをすることになった。 昼は会議が既にぎっしりなので、夜の 7 時から始めるらしい。 今日については取り敢えず、 生協食堂が開いている時間には終わった。 そんなわけで夕食はわびしく生協食堂。 帰宅は 9 時少し前。

もう明日は絶対に休む。好きなことだけして暮らそう。

今日、買った本。「死のチェックメイト」(E.C.R.ロラック/中島なすか訳/ 長崎出版)。チェスの出てくるミステリ小説と言うことで。