Friday, March 31, 2006

青いチョーク

段々、朝起きるのが遅くなってきた。 新学期が近付いているのに困ったものだ。 一汁一菜の昼食を取り、キャンパスへ。 雑用をいくつか、 図書館で仕事を少し(射撃しつつ前進)、 生協で注文していた本を引き取り。 夕食には豚丼を作った。 夜は読書と序盤研究など。

「ユリシーズ」が遅々として進まないので、 平行読書作戦に変えた。 「青チョークの男」(F.ヴァルガス著/田中千春訳/創元推理文庫)、 往復の通勤時間を使って一日で読了。 面白かった。 この作家は只者ではないな。 世の中には才能豊かな人が沢山といるものだ。 他の作品も読みたいがフランス語が読めないので、 翻訳を待たざるを得ないのが残念。 取り敢えず、既に翻訳が出ている「死者を起こせ」をいずれ読もう。 「青チョーク」を読み終えたので、 次の平行読書は、「ダイヤモンド・エイジ」(N.スティーヴンスン著/ 日暮雅通訳/ハヤカワ文庫)。

Thursday, March 30, 2006

射撃しつつ前進

毎日、 暇があれば数学の研究や勉強に勤しんでいる、と言う人が心底うらやましい。 どうしたらそういうことが可能なのか、 本当に教えて欲しい。 そうしたくないのではない。そうしたいと思っているのに出来ないのだ。 数学者の Web 日記を見ると、 通勤電車の中でフランス語でグロタンディエクの茶本だか赤本だかを読んだ、 とか、 少し時間があったので数学、なんてことを毎日書いてあったりする。 本当なのか。 私について言えば、調子の良い日、 あるいは少なくとも少しは数学の研究らしきものをした日、 ですら、「ジョエル・オン・ソフトウェア」からの引用である以下の如しだ。

「(1)仕事に取りかかる。 (2) e-mail をチェックしたり、Web を見たり、その他のことをする。 (3) 仕事に取りかかる前にランチを取った方がいいと判断する。 (4) ランチから戻る。 (5) e-mail をチェックしたり、Web を見たり、その他のことをする。 (6) いい加減始めた方がいいと心を決める。 (7) e-mail をチェックしたり、Web を見たり、その他のことをする。 (8) 本当に始めなきゃいけない、と再び決心する。 (9) くそエディタを立ち上げる。 (10) ノンストップでコードを書いていると、いつのまにか午後7:30になっている。」 以上で一日終了。 ジョエルによれば、これでも良い方だそうで、 ステップ (8) とステップ (9) の間にバグがあるらしく、 常にこの溝を越えられるわけではないと言う。 まったく同感だ。 私の人生においては、 このステップ (1) から (8) の無限ループだけで過ぎた一週間が、 数え切れないほどある。

どうすればいいのだろうか。 ジョエルによれば、「ただ始めること」だと言う。 言い代えれば、「射撃しつつ前進」だと言う。 人生のほとんど全ての局面において、 何かを成し遂げることの究極の秘密は、 「射撃しつつ前進」、これだろう。 漱石も若き芥川を励ますのに、 とにかく毎日押せ、牛のように超然と押せ、 と書いている。 しかし、それがなかなか凡人には出来ないことなのである。

Wednesday, March 29, 2006

ジーヴズにおまかせ

また冬に戻ったようで、天気は良いものの寒い一日。 京都の桜はどうなっているのだろう。 外にあまり出ないので分からない。 今朝もなかなか起きられなくて、 目を覚ました後も、 ウッドハウスの名執事ジーヴズものを再読して、 寝床で一人大笑いしたり。 人生に必要なものは上質の笑いだが、 それだけでは十分ではない。 とは言え、その他に何が必要なのだろうか。 自分よりも賢い召使? それならもう持っているが、他に何かが足りない気がする。 寝床に窓辺から差す光の中で、 人生についての熟考を重ねている内に、昼食の時間になってしまった。 冷蔵庫には相変わらずほとんど何もないが、 米さえ炊けば日本人はなんとかなるものだ。 一汁一菜の粗食。 午後も、もう少し人生について熟考したかったのだが、 人生は厳しい。働かざるもの食うべからず。 あるいは、一日成さざれば食わず。 A でないならば B でない、と言う命題と、 B でないならば A でない、と言う命題は、 同値ではなくて逆の関係にある。いや、裏の関係だっけ。 ジーヴズがいればすぐに分かるのだが。 夕食も一汁一菜の粗食。

Tuesday, March 28, 2006

神の視点

雨。 何とか 9 時頃から動き出したが、 あいかわらずやたらに眠い。 やや朦朧とした意識のまま、「ユリシーズ」を読む。 何とか集英社文庫の第一巻を読み終えた。 次は第二巻、第九章「スキュレとカリュブディス」から。 面白くなってきた、と言うのはちょっと言い過ぎかも知れないが、 毎日、さあ今日は主人公たちは何をしてるかな、 と他人の生活と心の中を覗き見している感じで、読み易くなってきた。 何だか、神様が自分のお気に入りの人間を、 こっそり観察しているようなものだろうか。

ガソリン(珈琲)が入ってエンジンがかかってきたので、 イギリス定跡の四ナイトの変化の 4. g3 Bb4 ラインで、 1987 年にカルポフがカスパロフとの世界タイトル戦で用いて有名になった 9. ... e3!? のポーン捨てについて検討したり…、 している場合じゃない。 昼食は御飯を炊いて粗食。 午後は仕事。 午後の途中から、嵐のような激しい雷雨。 外は昼間なのに真っ暗。 夕食の買い出しに行くことも出来なかったので、 冷蔵庫にあるもので白髪葱のパスタ。

IECC のガイドラインの翻訳は、 手の空いたときに少しずつやっているので (TV を観ながらとか)、 まだ半分くらいしか出来ていない。 でも新学期までには何とかなりそう。

Monday, March 27, 2006

アスパラガス

さて、そろそろ新学期に向けて仕事をせねば。 と思いつつ、まだスローペース。

昼食は、作りおきのトマトソースを使って、 鶏肉のトマトソース煮を作り、ペンネとあわせる。 丁度、近所のバーから ML で、 白アスパラガスが入荷した、売り切れ御免、との一報が入ったので、 早速、夕食に出かける。 フランス産の空輸だそうで、 なかなか良く太っているし、甘みもある。 そう言えば、プルーストの「失なわれた時を求めて」に、 腕くらいの太さのアスパラガス、と言う表現があった。 勿論、激しく誇張した表現ではあるが、 そこを読んだときに初めて、 ああ、アスパラガスとは太いものだったのだ、と知ったのだった。 私はそれまで、 アスパラガスは緑色の土筆みたいなものだと思っていた。 日本で見るアスパラガスは確かに細いものばかりですよね?

Sunday, March 26, 2006

二手

いやあ、本当に良く眠れる。 しかし、夜の睡眠が浅いような気がする。 これが一日中眠いような、 いくらでも眠れるような、その主原因じゃないだろうか。 昼食は一汁一菜の粗食、 夕食は鶏鍋。もう春だから、鍋はこれが最後かなあ。 食事の後に、妙に甘いものが食べたくなる。 疲れている証拠だろうか。

今日も休日をのんびりと満喫。 最近、ポルガー姉妹の父親 L. Polgar の "Chess" を買ったので、 暇なときには問題を解いている。 簡単な二手のチェックメイト問題(プロブレムではなく、実戦的なもの) を中心に五千題以上も集めた、電話帳みたいな練習問題集。 しばらく手に入り難かったようだが、 最近ペーパーバック版が新しく出たため、今のところ簡単に買える。 そんなに暇なのかと言われそうだが、 既に 380 題くらい解いた。 その感想としては、意外に二手詰めが見えないものだな、と。 プロブレム作品の二手が難しいのは当たり前だが、 こんな普通の二手詰めが何故かすぐに解けない。 反射的に手が動くくらいでないと、実戦では駄目なんだろうねえ。

Saturday, March 25, 2006

春のユリシーズ

春は良く眠れるなあ。昼寝でもいくらでも寝られそう。 今日と明日は完全にオフに決めた。 散歩をしたり、昼寝したり、読書をしたり、 チェスの勉強をしたりしていた。 明日はチェロの練習を多めにしよう。 昼食はオムライスを作り、夕食はトマトソースのパスタを作る。 昼も夜も、子供が好きそうな食べ物だ。

春休みの課題図書として、ジョイスの「ユリシーズ」 を就眠儀式として読んでいるのだが、なかなか進まない。 睡眠導入剤にもってこいの効き目。 「青チョークの男」とか、「ダイヤモンド・エイジ」とか、 「繻子の靴」とか、 読みたい面白そうな本が沢山あるのだけれど、 そちらに取りかかると、 どんどん「ユリシーズ」が後回しになりそうなので自粛している。

Friday, March 24, 2006

ブション

今期で W 先生が R 大を辞められるということで、 今日はそのお礼の会食。 フランス通の Y 先生の紹介で京都市役所近くのフレンチレストランで。 私は聞いたことのない店だったが、 かの「ベルクール」の姉妹店らしい。 流石に料理も本格で美味しかった。 W 先生は 7 年いてくれたことになるらしい。 あっと言う間だったような気がする。 この文字通り、またとない機会に、 もっと W 先生から学ぶべきだったのになあ… 今までありがとうございました。

三時間ほどでお開きになったあと、 最近ご無沙汰だったな、と思って、一人で祇園のクープ・ド・WG に行く。 金曜の夜なので混んでいるかも知れないな、と思って覗いてみたら、 客は誰もおらず。 飲んだ後なので炭水化物が食べたくなって、 リゾットを頼もうと思ったら、メニューから消えていた。 じゃあ、なにか作ってみましょう、と F シェフが言ってくれ、 即興で、その場にあった豆ごはん、菜の花のピューレ、 ブイヨンで、リゾットを作ってくれた。 春らしくて、なかなか美味しかった。 メニューに入れてみたらどうだろう。 シャンパンを一杯だけ飲んで帰る。 帰宅は23時半。

Thursday, March 23, 2006

人生

今日も謝恩会。 今日は確率論関係の M2 の院生主体で、 南草津のレストランでランチをご馳走してもらった。 またしても、ご馳走さまでした… いやー、おめでとう。そして、ありがとう。

今日の読書。「もうひとつの愛を哲学する ― ステイタスの不安」 (アラン・デ・ボトン著/安引宏訳/集英社)。 原書で読んだのだが、人にあげてしまったので、 翻訳が出たところで買い直した。

「…わたしたちは怖れと哀しみを抱きながら、フロベールの小説を閉じる ― 生きる術を学び始める前に、生きなければならない人生というものについて。 わたしたち自身と他者たちについて、ごくわずかしか理解できない人生というものについて。 わたしたちの行動の結果がどんなに大きな破局を招くかもしれない人生というものについて。 わたしたちの共同体なるものが、わたしたちの過ちに対して、 どんなに残酷にも容赦なくもなれる人生というものについて…」
(同書、第七章「芸術からの批評」より)

Wednesday, March 22, 2006

拍手!

生協弁当の昼食。 午後は学科の卒業証書授与式に出て拍手。 続いて、大学院の修士号授与式に出て拍手。 夜は、京都駅近くのホテルで謝恩会に出席。 特に感謝されるようなこともしていないので恐縮なのだが、 その代わりにせめて拍手と、謝恩会に出席して、おめでとう、ありがとう。 そんなわけで、ずうずうしくもありがたくご馳走になってきた。

Tuesday, March 21, 2006

ポッドキャスト

曇り。今日も寒い。 休日とは言え、一日何だかぼんやりと過してしまった。 昼食は御飯を炊いて豚汁、納豆など。 夕食はペンネで適当パスタとオムレツ。

家事をしているときなど、 mp3 プレイヤで英語を聞いている。 RSS でチェックしてダウンロードして聞いているのは、 ネイティブでない色々な英語が聴けるので BBC の From Our Own Correspondent と、 難しいけどテーマが面白いし、 長いので細部が分からなくても何となく楽しめる In Our Time, サイエンスニュースの Nature Podcast と言ったところ。 もう一つおまけにチェスファンには、 コステニュクの Chess is Cool もなかなか面白い。

Monday, March 20, 2006

まだ気温は低いが、今日は上天気。 日光が差していれば、もう春だという気分になる。 明日の休日の後は、連日の卒業式に謝恩会だなあ、 と思いつつ、研究費の後始末などを考えたりの一日。 夕食には、餃子を作る。

今日の読書。「味」(秋山徳蔵著/中公文庫BIBLIO)。 「天皇の料理番」、秋山徳蔵の一代記。 昔の良質の日本人を感じさせる、しみじみとしたエッセイ。 確か昔、堺正章主演でドラマになってたよな… 立身出世感動もの、といった感じではあったが、 結構泣かせるいいドラマだった記憶がある。

Sunday, March 19, 2006

目隠し

年度末のあれこれですっかり後回しになっていた、 Problem Paradise の解答をあわただしく作成。 実際、今回の ProPara が届いてから、 ずっと通勤の車内や、暇があるときには考えていたものの、 二手のヘルプメイトすら全く解けず、 痴呆の進行がここまで来たかと思っていた。 しかし、あれこれの用事が済んで、 全然分からなかった問題を眺めなおすと、 不思議なくらいすらすらと解けて驚いた。 こういうロジカルな思考力も、感情の強い影響を受けるらしい。

とは言え、もう明日が締切なものだから、 簡単なものだけにしか手をつけられなかったのだが、 一つ嬉しかったのは、 7 手(将棋の数え方で14手)のフェアリー条件付きレトロが、 頭の中だけで解けたこと。 こんなことが出来るとは思っていなかったので、 寝床の中で解けたのに自分でも驚いた。 とすると、ひょっとして、ブラインドフォールド (チェス盤を見ないでチェスを指すこと)も出来るんじゃないか? と思って、寝床で始めてみたら、 7、8手前後までは頭の中だけで駒を動かせることに気付いた。 盤面全体がしっかり映像化されずいくつかのブロックに分かれていることが原因で、 それらを繋ぎ合わせるために指し手を反芻したり、 ピースの関係を座標で確認したりしなければならないので、 10手以上になると今のところ難しい。 しかし、全く神業とさえ思っていたブラインドフォールドが、 まるで不可能ということもない、と思えてきた。 人間はいろんなことが出来るようになるものだなあ…

Saturday, March 18, 2006

フロイト

これを書いている Blogger の調子が悪い。 今週の頭から同じ問題を抱えているようで、 昨日金曜日の午後あたりからずっと、"403 Forbidden" エラーを出していた。 アクセスしてくれた方には、申し分けありませんでした。 サーバを常時安定運用し続けるというのは難しいことなのだねえ。

私がチェックしている blog でだけかも知れないが、 話題沸騰の コステニュク のブリッツ対戦画像 (こちら(Google Video より))。 痺れる。かっこ良すぎ。 女性のチェスプレイヤーに無闇に魅かれる私の心には、 何かしらフロイト的な歪んだところがあるのだろうか… それはともかく、 三度目くらいの再生になってようやく、 「ニフンくらい残っていて…」 「デモちゅーい深ク指サネバ…タトえば、ここでハ…」 「ぽーン一つ勝っているので…」 などと耳に入ってきて、 しゃべっているのが英語だと気付いた。 でも、この手のなまりにもちょっと痺れる (これにもフロイト的な何かが…)。

Thursday, March 16, 2006

娯楽としての脳科学

終日、雨。

今日の読書。 「MIND HACKS 実験で知る脳と心のシステム」 (T. Stafford-M. Webb 著/夏目大訳/オライリー・ジャパン)。 原書が出たときに面白そうだなあ、と思っていたのだが、 最近翻訳が出ているのを発見して購入。 コンピュータソフトウェア関連の本で有名な出版社で、 これもそのシリーズの一冊なのに、 脳科学の本であるところが味噌。 脳のハックなのである。 簡単に誰でも出来るたくさんの実験を通して、 脳や心の働きを学べるようになっている。 中にはパーティトリックみたいなものもあって、 それがまた面白い。 娯楽数学ならぬ、娯楽脳科学的というところか。 でも中身は本格で、 最先端の文献や勉強の仕方などへもきちんと道筋がつけられている。

Wednesday, March 15, 2006

春来ませり

今日も気温は低いものの、天気は良い。春である。 何となくのんびりしてしまうが、 4月頭からの新しい講義の準備もしなければいけなかった。 論文も投稿しないといけないし、 春休み中に研究らしいこともしたいし、 実際は色々と大変そうだ。

あとは IECC のガイドラインの翻訳もしたいし、 ちょっと集中して読みたい本もある。 チェスの序盤定跡も勉強したいし、 チェロの練習も集中的にしたいし、 少し暇ができると、あれもこれもと思ってしまうなあ。

あ、今回は Problem Paradise 全然解いてなかった。 締切はもう二十日か…

Tuesday, March 14, 2006

会議は楽し

午後一時から三時まで、会議。 四時から七時過ぎまで、別の会議。

組織の一員でいるって大変なことだなあ、 と思う今日この頃。 本当にこんなもの必要なのかなあ、って思う。 もし人間が本当に強くて賢ければ、 組織を作る必要はないのかな。 弱いから群れるんだろうか、 弱いからそれぞれの意思をまとめる必要があるのだろうか、 弱いから他人の気持ちが知りたいのだろうか、 弱いからそんな意味のない情報で安心できるのだろうか。 それぞれがそんな弱い意思しかないと言うことが、 組織の本質なのだろうか。 本当に組織でしか出来ないことって何だろう? 本当にそんなものがあるのだろうか? 組織がなければ人類は月に行けなかったかも知れない。 本当に? 組織でない、力の組み合わせ方はあるんじゃないだろうか?

Monday, March 13, 2006

チェスの話、二題

東京から新幹線で戻ってきたその足で BKC へ。 研究費を生協書籍部で使い切って、 夕方から解析セミナ。 シンポジウムのためにドイツから来た I 先生の講演。 地球の温暖期氷河期のサイクルの確率モデルの話で、 なかなか面白かった。 夜は I 先生の歓迎会を南草津で。 帰宅は 11 時くらい。

失踪中のイベントとして、 東京で開催されていたチェスのトーナメント、 「百傑戦」の一日コースに出場していた。 今回は春休みで学生中心に時間に余裕のある人が多いのだろう、 二日コースは約 60 人くらいと盛況だったが、 一日コースの方はわずか 10 名ほど。 成績は、午前一つ、午後三つの対局数四つの中、 3.0 ポイントを上げ、第二位だった。 四局目は三連勝同士の対決になり、私の方が負けた。 はっきり勝った、と思っていただけに、 エンドゲームでうっかり負かされたのが悔しい。 この悔しさをバネに、 次の目標は何とか時間をやりくりして、 今年中に二日以上のコースに参加し、 勝ち越すこと。

チェスの話をもう一つ。フリーのインターネット通信チェスクラブ IECC から、ガイドラインを日本語に翻訳してくれないか、 とボランティアのお誘いがあり、快諾した。 私自身は IECC でわずか二局しか対局したことがなく (しかも両方、ドロー)、 どういう経緯で私に回ってきたのかは謎だが、 ささやかとは言え、 これで少しでも日本でチェスが盛んになるかも知れないと思って、 引き受けさせていただいた。 春休み中くらいに仕上げてしまいたい。

Saturday, March 11, 2006

探さないでください

良く寝た。 ローカルオーガナイザとは言え、 大して働いたわけではないのだが(とりわけ今年はそうだ)、 この三月シンポジウムが終わるとようやくほっとして、 春休みらしい心持ちになる。 勿論、年度末だけに通常通りかそれ以上に会議などもある。 しかし、あくまで気持の上では。

明日日曜日は休んで、次回更新は月曜日の深夜の予定。 二泊三日で失踪して、のんびり読書でもしてきます。 文庫版の J. ジョイス「ユリシーズ」にするかな…

Friday, March 10, 2006

最終日

World Scientific 刊のプロシーディングの宣伝で「プレスティジアス」とまで言われているらしい、 国際シンポジウム最終日。 最終日もフルに 5 コマ。 昼食のための休憩の一時間半は、 学科の重要な会議のためにつぶれ、 あわてて歩きながらサンドウィッチを食べるような昼食。 夜は草津のホテルでレセプションパーティ。 草津スペシャルとして鮒鮨をふるまった後、 最後の O 先生の締め括りの挨拶で、 ほのぼのと無事に全てのイベントが終わった。 色々と問題はあったような気はするが、 全体としては良いシンポジウムだったよね、 と言うあたたかい雰囲気で終了し、 例年の通り、 R 大学の学生は「異常に良く働く」、「礼儀正しく」、 「けなげで」、「優秀な」、学生たちとして、 ヨーロッパとアジアにその名を轟かせたのであった。

パーティの後は、A 堀先生がさらに外国からのゲストを、 ホテルのバーで接待するようなことを言っていたが、 私は Y 大の K 先生に誘われて他に飲みに行く。ところが、 K 先生とジャズのライブを聴きながら音楽談義などをしていると、 すぐ後から、A 堀先生も学生を引き連れてやってきた。 ゲストの相手は? それはともかく、最後まで毎晩全力投球の A 掘先生であった。 帰宅は 11 時過ぎ。

ダッシュ

国際シンポジウムの四日目。 今日はフルに 5 コマ、プラス、ショートコミュニケーション 3 つ。 夜は A 堀先生に誘われて、 数理ファイナンス関連若手(?)の人々と南草津周辺で飲む。 11 時くらいになって、A 堀先生が京都行きの電車は 11 時 5 分だと言うので、 N 宮先生とダッシュして駅に向かったら、 電車はずっと先の時間だった。 結局、帰宅は 12 時半くらい。

Wednesday, March 08, 2006

カイゼン

シンポジウム、三日目。 今日は午前中の二コマだけで、午後はエクスカーションまたは休憩。 エクスカーションをどこに入れるか、あるいはそもそも入れないか、 毎年議論があるのだが、 五日間にも渡るシンポジウムでは、 途中に軽い日があると参加者にとっても主催者側にとっても、 楽なことは確かだ。

それはさておき、 以前と比べてシンポジウム全体のオーガナイズが随分と省力化されたように思う。 第一に、以前は我々確率論関連教員のローカルオーガナイザと、 それが特に専業ではない事務の数名、ときに一名だけで、 何から何までほとんど全てのことをやっていた。 今ではかなりの部分がアウトソーシングされている。 第二には、期間中のスタッフとして働いていくれている学生たちに、 毎年のノウハウが蓄積されて、雑務がスムースに動くようになった。 このシンポジウムシリーズは今回で 6 回目で、 今まで様々の失敗を繰り返してきたが、 そのおかげでかなりの知恵が蓄積されている。

実際、ここの学生たちは本当に良く働くねえ、 と言う感想を外部の方からよくいただく。 A 堀先生は、「払ってるからね」と即答していたが、 勿論、それだけではないだろう(確かに、結構払っているけど)。 思うに、例えば東大や京大にいれば、 学生のうちから国際的な研究活動に触れる機会がいくらでもある。 しかし、ここではそうではない。 この機会は学生にとっても貴重なのだ。 無論、数学はそもそも国際的な学問なので、 特に「国際的」という言葉を意識する必要はない。 それでもやはり、外国から沢山の研究者がやってきて、 何だか皆でわいわいやっているのを、 すぐ近くで眺めることにはそれなりの意味がある。

Tuesday, March 07, 2006

白い上着

私の基準では「地獄起き」に近い早起きをして、 草津のホテルへ。 L 先生は今日の午前に帰られるので、 そのお見送り。 フロントのあたりで会うと、 昨日のパーティのときに言ったアイデアを計算してみたんだが…と、 清算手続きをしながらも領収書の裏に数式を書いて議論を始め、 ちょっとは見送りらしい挨拶をしようと思っていたのに、 結局、「はるか」に乗り込む最後の一秒まで数学の話をしていた。 うーむ、変わってないな… L 先生。

お見送りを済ませて、キャンパスへ。 シンポジウムの二日目。 今日は経済や数理ファイナンスの講演が集中しているせいか、 参加者も減っていたようだが、 かなり熱心な質疑応答が続き、 むしろこういうのも良い感じだろう。 流石に疲れが溜ってきたので、 シンポジウム終了後、すぐに帰宅。

明日の午後のエクスカーションの時間は、 休養かな…とか思いつつ、 「月の沙漠」を口遊みながらとぼとぼと家まで歩いているときに、 ふと思い出したことには、 私は随分と長い間、 あの詞に出てくるのは「亀」だと思っていた。 金の鞍には銀の亀、銀の鞍には金の亀、 二つの亀はそれぞれに、紐で結んでありました… シュールだ。 月の沙漠の駱駝の金の鞍には銀の亀、銀の鞍には金の亀が乗っていて、 しかも紐で結んであるのだ。 子供心にも凄い詩だな、さすが詩人は想像力が違う、と思っていたものだ。

Monday, March 06, 2006

ブルー

シンポジウム初日。なかなかの盛況ぶり。 午後の二つ目が私の講演で、 まあ酷いあり様ではあった。 講演後、いつものようにブルーになっていると、 L 先生に、「なかなか良かったよ。 少なくとも、叫んでた」、 と慰められる(?)。 自分の講演の時間の他は、雑用をしたり、 L 先生と数学の議論をしたり。 今日は、モスクワから来た S 先生が大活躍だった。 H 大の F 先生の講演の後に、 リマークしたいことがある、 とホワイトボードでひとしきり説明したり、 私の講演の後にも同様のリマークをしたり。 パワフルな御老人である。 夜は、歓迎パーティ。こちらの参加者も盛況。 その後、ちょっとだけ数理ファイナンス研究室での飲み会につきあって、 Y 先生と一緒のバスで退散。 帰宅は 10 時半。

Sunday, March 05, 2006

シンポジウム

いよいよ明日から、BKC にて国際シンポジウム、 「確率過程と数理ファイナンスへの応用」が始まる。 明日の月曜日 6 日から金曜日 10 日までの五日間。 blog は毎日更新するつもりですが、 更新時間は遅くなるでしょう。 無事、終了できますように。

Saturday, March 04, 2006

出迎え

学生の T 君と一緒に、L 先生の出迎えに関西空港へ。 毎回、空港の出迎えは万が一と言うこともあるから、 と思って飛行機の到着時間からずっと出口で待っているのだが、 大抵、一時間くらい経たないと出てこないものですよね… それから常々思っているのだが、 関西空港の到着出口は何のために左右二手に分かれているんだろう。 両方見張らなくてはいけないので、無駄に疲れる。 それはともかく、L 先生は無事に到着し、「はるか」で京都まで、 京都から草津のホテルまで送り届ける。 久しぶりに会った L 先生はいつもの通りお変わりなく、 ほぼ丸一日の空の旅の疲れも感じさせることなく、 二時間あまりの間、饒舌に、容赦なく、話し続けていた。 ほとんど数学の話だったが、 雑談でちょっと面白かったのは、 「J○Lのフライトアテンダントが妙に親切だった」、かな。

L 先生が一日早い到着で、ほとんどのゲストは明日、 日本に到着の予定。

Friday, March 03, 2006

油滴と霧箱

今日も寒い。 テクノコンプレックスとか言う、 ダンスミュージックの新ジャンルみたいな名前の建物に、 外国からのゲストの JR チケットを受け取りに行き、 今度は反対方向にはるばる歩いて、 生協書籍部に注文していた本を受けとりに行く。 午後は、卒業判定の会議。

実験すること自体も才能だが、 実験の方法を考えることも実験家に必須の才能である。 そう言えば、高校生の頃に物理の授業で、 「ミリカンの油滴実験」を習って、 このアイデアの巧妙さに感動したものだ。 アナクロかつ素朴な実験装置で、 電子一個の電荷という超ミクロな量を測定する方法で、 これによって人間は電子の実在を初めて認識したわけである。 私よりちょっと前の世代までは、 学生実験で時に題材にされていたように思う。 勿論、その難易度の高さからして、 学生の腕では滅多に成功しなかっただろう。

上のリンクの Wikipedia の記述で知ったのだが、 この本質的なアイデアは C.T.R. ウィルソンによるようだ。 ウィルソンは 「霧箱」 の考案者でもある。 これまた、よくぞそんなことを思いついたものだ、 と感心するアイデアだ。 こんなもので素粒子が観測できるなんて。 実験科学者はこんな途方もないことを思いついて、 しかも、それを実際に自分の手でやってのけなくてはならない (今では、実験方法だけを提案する、 というタイプの「実験科学者」も珍しくないようだが)。 実験家に対する憧れはあったものの、 私の人生のかなり早い時期に、 私には到底不可能であると認識し、 将来計画から却下されたのであった。

Thursday, March 02, 2006

実験

科学と言えば、私は実験というものをやってみたかったなあ、と思う。 ただ正直に言って、才能がなかった。 学生実験の経験からして、実験には確かに才能が必要だ。 英語には「緑の親指」と言う言葉があるが、 あれと同じで、その人がやるとどんなにいい加減にやっているように見えても、 何故だか実験がうまく行く、と言うタイプの同級生がいて、 その一方で、 私はどんなに丁寧にビーカを洗い、何度「とも洗い」 (なつかしいなあ、この言葉)をしようが、 どう注意深くメータをつなごうが、 乳鉢で一所懸命混ぜようが、良い結果が出なかった。 才能がなかったのだ。

残念ながら、数学には実験がない。 実験は既に、この世界が出来た時点で全て完了しているから。 実験数学とか、数値実験とか言う言葉もあるが、 それは本当の意味では実験ではないと私には思われる。 それも実験であるように、私の定義を修正しようにも、 定義が曖昧なのでうまく直せない。 大事なことの幾つかは、本質的に定義が曖昧だ。

Wednesday, March 01, 2006

ランキング

寒い。しかも、雨。 個研に四年生の学生が訪ねてくる。 土曜日の L 先生の関西国際空港出迎えに、 ついて来てくれると言うのでその打ち合わせ。 私だけで済ませるつもりだったが、 もう一人いてくれればフェイルセイフの意味で勿論ありがたい。 15時から教室会議。 いつもより一時間早く始めたが、終わるのは同じような時間。 雨の中、最寄り駅までの満員バスに乗っていると、 ああ、何と貧しい生活であろうか、とちょっと泣けてきた。

世界でもっともホットな科学者、 今年のベスト4。 ランキングのアルゴリズムは、 論文を被引用回数でリストしておいて、 その超上位層に入る論文、 つまりスーパーホットな論文を、その人がいくつ書いているか、で決めているようだ。 私は研究者のランキングとか論文数比較とかの話題はあまり好きではないし、 有害だとすら思っているが、 世界一を決めるようなこんな派手なランキングは、 一種のお祭りとして楽しいから許せる。 それに、今回の日本の健闘は凄いなあ。 トリノの金メダルくらいには騒いでくれても良さそうなものだが…、 ってそんなはずはないか。 そして、やっぱり物理の人たちって、猛烈な論文数を書くのだなあ。