Sunday, December 31, 2006

第六日、大晦日/「繻子の靴(上)」了

9 時起床。珈琲だけの朝食。 「繻子の靴(上)」(P.クローデル/渡辺守章訳/岩波文庫)は昨夜、読了。 下巻に入った。午前中は "Problem Paradise" の解答書き。 昼食は卵と甘藍の炒飯。 午後は実家へのお土産を買って、帰省する予定。 一泊だけしてすぐ戻ってきます。

大晦日。 今年の目標は生活の立て直しだった。夏までの半年は確かに毎日の生活の中に、 大学の仕事と自分の仕事をうまく配分すべく努力し、 なかなかうまく行っていたのだが、後半はいまひとつだったか。

研究活動の反省。 今年は A 堀先生と書いた数理ファイナンスの論文が一つ出版された。 L 先生との共同研究の論文も出るはずだったが、 条件つき採択されたものを、うっかり L 先生に任せてしまい、 そのおかげでいつ仕上がることやら分からなくなってしまった。 嗚呼、私が出版社に送り返しておけば良かった。 とは言え、このダイジェスト版は今年私が書いて、 来年プロシーディングに出版される予定。 講演は三月の国際シンポジウムで一回だけ。 研究自体は考えている問題はあるものの、全く成果はなく、 解決の糸口も今のところない。 近い内に別の問題を探す必要があるかも。 そんなわけで今年は今一つだったが、一昨年の遺産で何とか暮らせた感じで、 次の春の年会の分科会で特別講演をさせていただけることになったのも、 そのおかげだろう。 その講演の準備を口実に仕事を整理して、その後どうするか考えたい。

それ以外のプロジェクトの反省。 一昨年に初稿を仕上げた某ノンフィクションの翻訳は、 出版社の都合でお蔵入りしたようだ。 確かに、この今出版されても全然売れないだろうな、とは思うが。 これまた一昨年に自分のパートは仕上げた某数学書の翻訳も、 共著者の所で完全にストップしているようだ。これはいい本なのだがなあ。 まあこれらについては、私から出来ることはもうないだろう。 チェスのトーナメントにはかなり参加できて、 大体 OTB がどんなものか分かってきたことは良し。 ただチェスの勉強は計画に比べて、全く出来なかった。 やはりシステマティックに土台を作っていかなければ、と思う。 来年はエンドゲーム中心の基礎固めと、タクティクスを磨くことに集中したい。 私の実力では、「セオリー」はまだ全然重要でない。 プログラミングももっと勉強するつもりだったのに、今一つ。 来年はスクリプト言語でもっと書けるようになることと、 そろそろ秘密プロジェクトA用のソフトウェアを書き始めること。 ファイナンス部門は、市場全体がいまひとつだったこともあり、 年末に至って「まあまあの一年」と言うところ。 とは言え、私のプランは極めてパッシヴなので、 予定通りに買い付けたかどうかだけが問題で、その意味では今年も上々だった。 秘密プロジェクトBにもそろそろ手をつけたい。

Saturday, December 30, 2006

第五日(後)、「繻子の靴」

大掃除のつもりだったが、 洗濯と掃除機がけと書類の整理などをした程度。 レンジ周りは明日の昼食を作った後かな。 「繻子の靴」は今、二日目第四場まで読んだ。 「四日間のスペイン歌舞伎」と言う副題の通り全体で四日なので、 今、三分の一くらいか。段々と乗ってきたが、 これはやっぱり舞台で観劇した方が面白いだろうな、と思う。 夕食は御飯を炊いて、回鍋肉と納豆。おかしな組み合わせだが、 冷蔵庫と相談した都合上こうなってしまった。 食後はお風呂に入って、 シャンパーニュ(Vilmart)の残りを飲みながら、一人で一年の反省会。

第五日(前)、「繻子の靴」

9 時起床。晴天。 朝食は珈琲とシュトーレン。 Fritz のスパーリングモードと一局。今日は勝った。 午前中は少し読書。 次は「繻子の靴(上)」(P.クローデル/渡辺守章訳/岩波文庫)。 ポール・クローデルはマラルメに師事した詩人であり、 日本駐在大使を務めたこともある外交官でもあり、 20 世紀で最も重要な劇作家…のはずだが、 実際に一番良く知られているのは、 カミーユ・クローデル の弟としてだろう。 「繻子の靴」は岩波文庫で訳が出て以来いつか読まねば、 と思っていてついにその機会を得たのだが、 戯曲は気持ちが入って行き難くて、なかなか進まない。 確かメインプロットは、美しき人妻の運命の恋の、 世界を股にかけた壮大なすれ違いのメロドラマ… と言うような話のはず。 今、まさにヒロインが恋人のもとに走ろうという時、 一方では自らでそれがうまく行かないように、 と片方の靴を捧げて祈る場面まで読んだ。 このせいか、主人公の逢瀬はすれ違い続きになるのだが、 「神は曲がりくねった線で真っ直ぐに書く」と言う、 ポルトガルの諺が冒頭に挙げられているように、 最後にはその回り道が直線だった、と言うことになるのだろうか。 昼食は青椒肉絲と、豆腐と若布の味噌汁で冷や御飯。 午後は大掃除をしよう。

Friday, December 29, 2006

第四日(後)、「ぬいぐるみ団オドキンズ」了

午後も雪が降り続く。マグカップで珈琲を飲みながら、 寝室の出窓から外を眺めて、京都の冬だな、と思う。 ruby でちょっと遊んで、読書。 「ぬいぐるみ団オドキンズ」(ディーン R. クーンツ/風間賢二訳/早川書房)。 ほとんど全ての漢字にふりがながある本を久しぶりに読んだ。 いいお話だ。子供向けとは言え内容は完全にクーンツ節で、 ページターナーであり、勧善懲悪であり、必ず最後に心正しきものが勝つ。 夕食は御飯を炊いて、ケチャップ海老チリと葱のスープを作り、一汁一菜。 夜はチェス・プロブレムを考えたり。 締切まで後三日だが、ようやく二手が解けただけ。 今回はさっぱりだなあ。

第四日(前)、入門書/「働かない」読了

9 時起床。やはり雪。 朝食は珈琲とシュトーレン。 Fritz のスパーリングモードに軽くひねられた後、 少し「初めてのプログラミング」(C.Pine/西山伸訳/オライリー・ジャパン) を読みながら、ruby の練習。 昨夜、執事がやって来て、私がこの本を読んでいるのを見て、 今頃そんなもの読んでどうするんですか、と言っていたが、 私は入門書は何でも好きなのだ。 特に、滅多にないことではあるが良く書かれた入門書には、 特別の敬意を持っている。 この本は確かに良く書けている。 午前の残りは読書。「働かない」(T.ルッツ/小澤英美・篠儀直子訳/青土社)、 読了。今まで聞いたり読んだりした中で最も鋭く、かつ深い、 働かない人たちを巡る問題の分析と批評。やはり歴史的考察は重要だ。 ニート対策とか再チャレンジ何とかとか議論している人たちにも、 是非一読をお勧めしたい。 昼食には鍋焼饂飩を作った。

Thursday, December 28, 2006

第三日(後)、 「働かない」/ "lifehacker"/牛蒡

昼食後は合間に ruby をいじったり、 プロブレムを解いたりしながら、読書。 「働かない」(T.ルッツ/小澤英美・篠儀直子訳/青土社) を読んでいるところに、amazon から注文していた本が届く。 "lifehacker" (G. Trapani/ Wiley Publishing). タイミング良く、「働かない」と正反対にある、 仕事中毒礼讃、働き蜂万歳、みたいな本が届いた。 しかし良く考えてみれば、ライフハックの真髄とは、 いかに無駄な労苦を除き、いかに上手に生きるかにあり、 その意味では怠け者の思想である。 最近、街の本屋でも「ライフハック」本を見かけるようになったが、 その余裕のない能率向上テクニック集ぶりが、どことなく、貧しい。 人生をハックすることは、労働をハックすることとは違う。 良く生きることは、どんな問題よりも難しい。 オスカー・ワイルドは、 自分の天才の全ては(作品にではなく)生活に用いた、と言った。 究極のライフハッカーだったのかも知れない。

夕方、近所のワイン屋にチーズなどを調達に行く。 年の瀬とは言え、まだまだお忙しそうだった。 せっかくパジャマから着替えたので、 そのままの姿でしばらく家で時間をつぶしてから、 「働かない」を持って近所のバーに夕食に行く。 こちらもお忙しそう。予約の電話がじゃんじゃん入っていたので、 食事だけして早めに切り上げる。 百合根、椎茸、合挽きミンチ、チーズのキッシュと、 鴨胸肉のソテー。つけあわせの牛蒡が美味しかった。 子供の頃は牛蒡が好きでなかったのだけれど、 大人になってみると大好きな野菜になり、 例えば、鯛のあっさりした煮つけなんかに牛蒡がついてないと、 まあなんてことでしょう、と思ったりする。 今夜から急に冷えてきた。猛烈に寒い。 ひょっとしたら明日は雪になるかも。

第三日(前)、「強盗紳士ルパン」/「働かない」

9 時起床。晴天。気温もぐっと下がった。 朝食は珈琲と黒パンを数切れ、フォアグラのムース。 Fritz のスパーリングモードでチェスを一局して、 午前中は、ruby の統合開発環境 RDE をインストールしたりしながら、読書。 ルブラン「強盗紳士ルパン」(中村真一郎訳/ハヤカワポケットミステリ)、 読了。 次は「働かない ~ 『怠けもの』と呼ばれた人たち」 (T.ルッツ/小澤英美・篠儀直子訳/青土社)を読み始める。 何故、我々は働かない人間を見ると怒りを感じるのか、 人間にとって労働とは何で、怠けものとは何か。 カウチで寝て TV を観てばかりで何もしない息子に激しい怒りを感じ、 そのことに当惑したビート世代の父トム・ルッツは、 怠け者の歴史と意味の研究を決意する。 怠惰な冬休みにぴったりだ。 昼食は豚汁を作って、冷や御飯を食す。

Wednesday, December 27, 2006

二日目(後)

午後。 読書は「時間割」の次は軽いものをと思って、 モーリス・ルブラン「強盗紳士ルパン」(中村真一郎訳/ハヤカワポケットミステリ)。 やっぱりルパンはかっこいいなあ…しみじみする。 夕方、珈琲豆を買いに外出。ついでに河原町の本屋へ。 冬休みにプログラミング言語 ruby を勉強しようと思って、入門書を二冊購入。 「初めてのプログラミング」(C.Pine 著/西山伸訳/オライリー・ジャパン)と、 「たのしい Ruby」 (高橋征義・後藤裕蔵著/まつもとゆきひろ監修/ソフトバンククリエイティブ(株))。 近所のスーパーで食材を買って帰る。 夕食は御飯を炊いて、麻婆豆腐と葱のスープで一汁一菜。 花椒と唐辛子で身体が温まった。 食後に昨夜以来の珈琲。ほっと一息。 やっぱり珈琲がないと駄目だ。 カフェインの禁断症状で、 今日はちょっと身体がだるいような気さえしていた。

食後はチェスの勉強と、ruby をちょこっと勉強。 プログラミングの勉強も、私の遠大な人生計画の一環なのだ。 この小さな環においてすら、まだまだ道は遠いが。 それはさておき、 上記「初めてのプログラミング」を読んで、 プログラミングの入門教育は、C なんかより、 こういうオブジェクト指向型のスクリプト言語から入った方がいいかも、 とかなり真面目に思った。

二日目(前)、「時間割」読了

8 時起床。早起き。昨日とうって変わって、今朝は良い天気。 日差しが眩しいくらい。 朝食は紅茶とパン二切れ。珈琲豆が切れている。買いに行かねば。 午前中はビュトール「時間割」(清水徹訳/河出文庫)の続きを読む。 昨日は丁度半分くらいしか進まなくて、 今日の午後に入ってようやく読了。 ビュトールはもっと難解な作家かと思っていたのだが、 なかなか面白かった。 フランス人がイギリスの架空の町に一年間派遣されて外国暮らしをする、 という設定がいかにもだし、 架空の推理小説についての議論をしながら、 それが原因で起きた現実の事件を探る、 と言う二重のミステリ仕立てになっている点も面白い。 まあ、フランス人がマンチェスタみたいな工業街に一年も放り込まれたら、 これくらい憂鬱にはなるだろうな… ビュトールはマンチェスタで仏語教師をしていたことがあり、 架空の都市「ブレストン」のモデルはこことのこと。

昼食は冷や御飯を使って、雑炊を作った。シャンパーニュの残りを一杯。 雑炊を食べていると、執事がやって来た。 今日は仕事納めで、午前中は大掃除、午後から休みだとのこと。 今日が仕事納め、って人が多いのかな。 じゃあもう冬休みか、いいねえ、と言うと、 残業代を稼ぐために年末年始も出勤します、と言っていた。 「どうせ、.emacs をいじったり、そんなとこでしょ」 と言うと、 「スクラッチから書き直したりね」との返事だった (ここで、くすっ、と笑った人は、テッキー)。

Tuesday, December 26, 2006

冬休みの初日、後編

昼食後にお風呂に入って、風呂上がりにシャンパーニュを一杯。 しばらくチェスの勉強。 その後、「時間割」(ビュトール/清水徹訳/河出文庫)を読み始める。 雨は段々強くなり、夕方からはほとんど大雨。 夕食は御飯を炊いてだしを引き、回鍋肉と大根の味噌汁の一汁一菜。 食後も読書。合間にチェスプロブレムを少し考える。 "Problem Paradise" の締切が月末なのだが、 まだほとんど解けていない。そう思うと師走は忙しかった。 だからと言うわけでもないが、 この年末年始はきっかり二週間、完全に休むつもり。 大晦日から元旦にかけての夜、実家に一泊しに行く以外に何の予定もない。 強いて言えば、本を読むのと、チェスの定跡を勉強するのと、 家の掃除と…えーと後は、一年の反省をして一年の計を立てること。 昨夜バーで、冬休み中は研究とかですか、とソムリエに尋かれて、 「いいえ、休みます」ときっぱり答えたくらいだ。 リトルウッド先生の指南によれば、 数学者は休むときには三週間休むべきだ、とのことである。 一週間少ないのは残念だが、完全に仕事も数学も休みたい。

冬休みの初日、前編

9 時過ぎに起床。確かに今日の京都は曇り時々雨かも知れないが、 私の心は晴れ渡っている。 延々と続く緑の丘はしっとりとした霧に薄く覆われ、 朝露の輝く緑の葉には蝸牛が悠々と這い、 木々の枝には小鳥がピー(ここまでが心象風景)、 寝室のドアの前では猫がニャー、 神は天におわして世はこともなし。 朝食は珈琲と、いただきもののシュトーレン。 午前中はシャンパーニュを飲みながら、 読み残していた「プリーストリー氏の問題」 (A.B.コックス/小林晋訳/晶文社)を読む。 朝からシャンパーニュ(Gosset Brabant)。 そう言えば冒険小説の名作「深夜プラス1」 (G.ライアル/菊池光訳/ハヤカワ文庫)に、 「シャンパンは昼食の時間を過ぎたら、女の子向けの飲み物だ」 と言うような台詞があったなあ。硬派だ。私は軟派なので、 朝でも昼でも夜でも、良いシャンパーニュなら喜んで飲むけど。 「プリーストリー氏」は残りわずかだったのですぐに読了。 良きコメディは偉大だ。 昼食には豚と長葱の炒麺。もちろんシャンパーニュ。 午後はいよいよ読書リストの消化に取りかかる。 最初の一冊は「時間割」(ビュトール/清水徹訳/河出文庫)に決めた。 その前にお風呂でも入ろう…

続きは夜。

Monday, December 25, 2006

百合根

10 時少し前に起床。早起きの習慣は二日で消え失せたようだ。 TV で「相棒」の再放送を観ながら、 講義の予習のおさらい。 早めの昼食を長葱と卵の炒飯でちゃっと済ませて、衣笠へ出講。 「数理の世界」と「情報の数理」。 「数理の世界」の方は前回のおさらいをして、 引き続き確率論の基礎づけについてのパズル。 それぞれお金が入った二つの封筒があって、 片方にはもう一方の二倍の金額が入っていることが分かっている。 君はこの内の一方を選んで受け取れる。 選んだ封筒に 1000 円入っていたとしよう。 と言うことは、もう一方には 500 円入っているか、 2000 円入っているかのどちらかだから、 その期待値は (2000 + 500)/2 = 1250 円。 これは 1000 円より高い。つまり、君はこちらに選ぶ直すべきだ? 「情報の数理」はエントロピィの定義。 兎に角、終わった…これで明日から冬休み。 18 時頃に衣笠を後にする。 近所のワイン屋の近くで下車して、 注文していたシャンパーニュの三本セットを受け取る。 銘柄はおまかせにしてあったので、 その場で選んでもらった。そんなわけで、K 山セレクション。

夕食はかなり久しぶりに近所のバーにて。 シャンパーニュを一杯の後、 年末最後の仕事を終えた記念に、かなり良い赤ワインを一杯。 料理は鶏肉、トマト、百合根のキッシュと、 鴨の腿肉の赤ワイン煮込み。 持ってきた「ボーヴォワールへの手紙」から、 クリスマスイヴから年末のあたりの書簡を読みながら飲んで、しみじみする。 やはり私はグラスに二、三杯と言うところが、良い調子みたいだ。 しばらくご無沙汰だった分、今年中にあと一回か二回は来ようかな。

Sunday, December 24, 2006

おすそわけ

8 時前に起床。シンポジウムで早起きが習慣化されたようだ。 朝食は黒パンを二切れと珈琲。 ぼうっとしている内に昼食の時間。 ホロホロ鳥の腿の冷製をスライスして、 パスタとあわせてみる。 ちょっとだけクリスマス気分…(?)。 そして、その冷製の残りをつまみに、 白ワインを飲んでいると、これはちょっとだけ既におせち気分…(?)。 でも、そして日曜日だけれど、気を取り直して午後はキャンパスへ。 一週間以上行っていなかったので、色々と今年の後片付けのため。 静かなキャンパスであれこれ雑務して、夕方に帰る。 スーパーで食材を買って帰宅。 夕食は御飯を炊いて、メインは北京酢豚(ウー先生レシピ)。 食後しばらくして執事がやって来たと思ったら、 私がお祝いにあげたロゼのシャンパーニュを持って、 またすぐに出て行った。 これからフィアンセといただきます、とのことだった。 らぶらぶ三昧で毎日お泊りのため最近全然見かけない執事に、 「そうか。ありがたく飲むように」と命じておく。 そしてこちらは虚しく明日の講義の予習。 その後は一人でシャンパーニュでも飲もうかな、 と思ったが、いやいやそれは明日、 今年最後の講義が終わってからだ。 とか思っていたら、執事の携帯電話から画像つきのメイル。 これが幸せのおすそわけ、ってもの…?

冬休みの読書セレクション。 無粋なもので、長期休暇でも本を読むくらいしか娯楽がないです。 文学部門より、これが目玉、 ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟(上、中、下)」。 そしてビュトール特集、「時間割」「心変わり」の二冊。 戯曲からも一つ、クローデル「繻子の靴(上、下)」。 ミステリ部門より、 ディキンスン「キングとジョーカー」、 ルブラン「強盗紳士ルパン」、加賀美雅之「双月城の惨劇」。 子供の頃はホームズの方が好きだったのだけど、 大人になってみるとルパンを時々読み返して、しんみりしたりする。 コメディ部門はこれしかない、 ウッドハウスの新刊「サンキュー、ジーヴス」。 ウッドハウスを読むと幸せになれる。良きコメディは偉大だ。 変わった企画として、ジュヴナイルを二冊。 かの D.R.クーンツが子供向けに書いた知られざる傑作 「ぬいぐるみ団オドキンズ」と、 「執事もの」の名作でもあるフライシュマン 「Gold Rush! ― ぼくと相棒のすてきな冒険」。 学術部門(?)より、 文系はルッツ「働かない ~『怠けもの』と呼ばれた人たち」と、 理系はデマルコ編 「ソフトウェア・エンジニアリング論文集 '80 ~デマルコ・セレクション」

Saturday, December 23, 2006

莞爾

博多から帰還。 シンポジウムはなかなか面白かった。 何故か、 安定分布が何らかの意味で関係してくる講演が多かったような気がする。 私は安定分布のことを全然知らないのだが、 やはり一度はちゃんと勉強した方がいいんだろうなあ…。

シンポジウムも終わって昨夜は良く寝たはずだったが、 さらに昼寝までしてしまった。 出張中の出費の家計簿をつけてから、 夕方、近所のワイン屋にワインとリエットなどを受け取りに行く。 さすがにレジの周りは大忙し。季節だなあ。 家に戻って床下収納のワインを数えつつ、 この上にあとシャンパーニュを三本注文してあるから、 これで冬休みは万全、と一人莞爾と微笑む。 博多では外食ばかりの上にちょっと食べ過ぎたので、 今日の夕食は少なめに。 胡桃入りの黒パンを数枚切って、 鰯のリエットとフォワグラのムースで食べる。 ワインを二杯ほど。鰯が美味しい。 詰め物をしたホロホロ鶏の腿もあるのだが、これは明日にしよう。

冬休みの読書用に、さらに購入。 これで大体、一日一冊くらいにはなったと思う。 「サンキュー、ジーヴス」(P.G.ウッドハウス著/森村たまき訳/国書刊行会)、 「強盗紳士ルパン」(モーリス・ルブラン著/中村真一郎訳/ハヤカワポケットミステリ)。 ジーヴスで思い出したけど、 私のここ最近の一番のお気に入り blog は、 これ。 なかなか更新してくれないのが欠点だが、 ジーヴスものの新刊が出た以上、近々更新されるだろう。

Monday, December 18, 2006

焼き饂飩

9 時起床。10 時間以上寝た。 午前中は TV で「相棒」の再放送を観ながら、今日の講義の予習のおさらい。 午後は衣笠へ出講。生協食堂で昼食を済ませて、 「数理の世界」と「情報の数理」。 期末レポートの課題発表日だからか、「数理の世界」は大入り満員。 前回の確率のパズルの解答の説明など。 他の例も挙げて、「同様に確からしい」と言う中学高校流の概念が、 実際は非常にデリケイトかつ、あやしげなものであり、 ほとんどの場合、何が「同様に確からしい」のか、 と言うことは数学の外にある問題であることを説明する。 面白い話ではあるので、講義の後の質問タイムに沢山質問があった。 「情報の数理」は前回に続き、対数の復習。 いつも通り 18 時頃に衣笠を後にする。 四条堀川で降りて、近所のワイン屋で注文していたワインを受け取って帰宅。 明日から出張なので冷蔵庫をほとんど空にしてある。 近所のバーに夕食に行こうかなと思いもしたが、 運悪く第三月曜日は定休日だった。 家に帰って、 冷蔵庫に残った小さな玉葱と大蒜のかけらを見ながら三分ほど悩んで、 焼き饂飩を作ることにした。 大蒜と唐辛子で香りを出して、玉葱を炒め、冷凍饂飩をもどしたものを入れて炒め、 醤油と酒で味つけをして、 大量の花かつおで仕上げる。 まあ、こんなもんかな…と思いつつ、白ワイン。

また冬休み読書用に購入した本。 「働かない ~ 『怠けもの』と呼ばれた人たち」 (T. ルッツ著/小澤英美・篠原直子訳/青土社)。 18 世紀から現在まで英米に現れた「怠けもの」たちの歴史を通じて、 人類と労働の関係を考察する労働文化史(笑)。 これは冬休みに持ってこいだ。 さらに「双月城の惨劇」(加賀美雅之著/光文社)。 一冊くらいは国産ミステリを入れようかな、と。

明日の火曜日から年末恒例の通称、確率論「大シンポ」のため博多に出張。 出張中は更新を休みますので、次回の更新は 23 日土曜日の夜です。 せいぜい一日一回しかチェックしませんが、メイルでの連絡はつくはず。

Sunday, December 17, 2006

占星術と交通事故

9 時起床。天気予報は雨模様とのことだったが、 朝は上天気。完全オフの日曜日。 でも、合間に少し気になって計算などしてしまった。 でも、行き止まりの道が一つ分かっただけ。

カナダの保険見積りサーヴィス会社が、 星座が交通事故の重要な要因であることが判明した、 と発表したと言うニュース。 またか、と思ってソースを検索したのだが、 生のデータは手に入れることができなかった。 でも、要点は各星座別に交通事故の数を数えると、 ○○座が一番多かった、とか、まあそんな話のようだ。 実はこれと全く同様の発表を、 日本のあちこちの県警が以前から度々行なっている。 もちろん少し統計の知識がある人がデータを見れば、 すぐに「有意でない」、つまり、 かなりの確率で起こりうる程度の偏りで、 何か相関があるとは判断できないことが分かる。 しかも、多くの発表では各月生まれの人口比を考慮していない。 例えば、かつての日本では 1 月から 3 月生まれが多かった。 当然、交通事故を起こした人が冬生まれである確率も高い。 この補正を加えれば大抵は、統計学的判断をするまでもない、 パッとしないデータになってしまう。 まあ、警察や保険会社が交通事故問題に人々の興味を引こうとしての、 確信犯的「おもしろニュース」だとは思うが、 こう言う逆啓蒙はやはり有害だ。 愚かさは悪より有害である。なぜなら、悪は時々休むが、愚かさは決して休まない。

逆に占星術側から言えば、 占星術は科学ではないが統計だ、 と言う主張がされることが多いが、もちろん統計でもない。 占星術はあくまで魔術である。魔法は魔法として誇りを持ち、 こう言う似非科学化には断固反対していただきたい。

Saturday, December 16, 2006

古典音楽

やや休日モード。 10 時まで寝坊。あれこれしている内に昼。 昼食は近所のベンガルカレー。午後は少し仕事をしてから、 輸入食器屋に珈琲カップを買いに行く。 しかし、たまたま目指すものがなく、 他の種類も見てみたがやはり気に入らず、そのまま帰ってきた。 昔、一人暮らしを始めた頃に、一つくらいはまともな食器を買おうかな、 と貧乏暮らしから食費を削り、 清水の舞台から飛び降りるつもりでジノリの某珈琲カップを買った。 そのカップを十数年におよんで大切に使っていたのだが、 ついに京都の地で割ってしまった (日記によれば、2002 年 3 月 17 日に)。 今はその二代目で、しばらく前にひびを入れてしまったのだ。 時々買い直そうと思うし、 学生のときならいざ知らず今では大した値段ではないのだが、 つい買い渋ってしまう。 私は質素に育ったのでとても物持ちがいい、 と言うことの他に、 やはり初代を学生の頃から大事に使ってきた気持が残っているのだろう。

Friday, December 15, 2006

観測班兵卒サルトル

9 時過ぎまで寝てしまった。今日は久しぶりに良い天気。 気温も高くて冬とは言えないくらい。 朝食は珈琲のみ。 午前は洗濯機で洗濯しながら、 「プログラミング演習」のレポート採点をして、 全員にレシートをメイルで返却。 昼食は納豆スパゲティ。 午後は天気も良いので外出。 中京郵便局に郵便物を受け取りに行く。 中京郵便局は近代建築の外壁保存として有名。 この近所には近代建築が多い。 まだ明るい内に帰って、 新しく購入したノート PC ("Let's Note" R5)の設定をして、 その後はプロシーディング論文の著者校正に目を通す。 今日もけっこう仕事したなあ、と思い、 里芋と若布の饂飩の夕食の後はゆったり

今日の読書。「ボーヴォワールへの手紙 (サルトル書簡集II)」 (J.P.サルトル/二宮フサ・海老坂武・西永良成訳/人文書院)を少し。 昨年末、今年はサルトルと実存主義が再流行する、と予言したのだが、 かすりもせず大外れしたようだ (後、二週間以内にブームにならない限り)。 サルトルが書いたものの中で一番面白いのは手紙だと私は思う。 状況が状況とは言え、この二段組 270 ページの本一冊分の手紙を、 わずか四ヶ月の間で、しかもたった一人に向けて書いた、 と言うところも単純にすごい。

Thursday, December 14, 2006

ベルギー・ワフル

研究室でマネケンのチョコレート・ワフルと珈琲の朝食をとり、 午前は今年最後の「プログラミング演習」。 生協食堂で昼食をとって、 ちょっと雑用をしてから、 午後は今年最後の卒研ゼミその1。 Williams でラドン・ニコディムの定理の続き。 σ加法族が可分でないときへの拡張。 抽象的議論がものを言う難しいところなので、 学生の発表はやはりぼろぼろ。全然進まなかった。 夜の自主ゼミまでの 30 分間を利用して、 また生協食堂でわびしく夕食。 夜は今年最後(?)の修士自主ゼミ。 話すことが尽きたのか、 途中から言わゆる「これからの方針ゼミ」みたいな感じになっていた。 一緒に自主ゼミに出ていた K 先生と一緒に雨の中を帰る。

まだ九大のシンポジウムと、あと二回の月曜日の文系講義があるし、 細々した仕事もいくつかあるが、 今年は今日で一段落ついた感じ。 ほっと一息ついてみる雨の夜。

Wednesday, December 13, 2006

巴里に死す

昨夜の遅いタイムスタンプで、 東京の天才プログラマ K 氏より画像つきのメイル。 アルゼンチン料理が美味しい、ブラジル料理屋でもある、 フランス料理屋にまた行ったらしい。 そこで「岩塩ドレッシング」を買ったとかで、その画像が添付されていた。 美味しいんだそうだ。 その画像のドレッシング瓶のラベルで、店の名前と住所が分かった。 店名は「コロンボ」らしい。 しかし、確かコロンボってスリランカでは… ますます謎は深まる。

9 時起床。眠い。昨夜うっかり、 芹沢光治良の「巴里に死す」(新潮文庫/1954年)を手に取り、 読み終えてしまったので。しかし心が洗われた。 高橋源一郎がどこかに書いていたが、 みんな最近、芹沢光治良への敬愛の念が足りんのじゃないかね。 フランス語に翻訳されるやいなやベストセラーになり、 パリ中を号泣させたと言う「巴里に死す」が、 日本で品切れ絶版とは納得いかない。 仮にもノーベル賞候補作品だし、 今でも日本人女性がフランスで良いイメージを持たれているとすれば、 いくらかは「巴里に死す」の伸子のおかげなんじゃないだろうか。 おそらく、某新興宗教団体との関係や、 晩年の宗教色の強い作品群が芹沢作品を敬遠させているのだろうが、 こんなシンプルで美しく哀れな物語も書いている。

早めの昼食は、回鍋肉と若布の味噌汁で御飯。 午後はキャンパス。雑務をあれこれ。 その合間に、生協書籍部に冬休みの読書用の本を買いに行く。 「繻子の靴(上、下)」(クローデル著/渡辺守章訳/岩波文庫)、 「心変わり」(ビュトール著/清水徹訳/岩波文庫)を買う。 そして、今年最後の学科会議。 予定通り、色々と難しい議題が多く、長引いた。 とは言え、予想よりは早く終わった…これで今年の会議は全て終了。

明日は、午前が今年最後の演習、午後が今年最後の卒研ゼミ、 夜が今年最後の自主ゼミ。

Tuesday, December 12, 2006

アメリカの教科書

9 時起床。雨。朝食は珈琲のみ。 午前中はあれこれ雑事。 早めの昼食を味噌煮込み肉玉饂飩で済ませて、 雨の中を出動。 午後は今年最後の卒研ゼミその2。 Lieb-Loss で Lp 空間の可分性の証明。 次の会議までの合間の 30 分を使って、 生協書籍部に行って注文していた 「ソフトウェア・エンジニアリング論文集 ~ '80 デマルコ・セレクション」 を受け取り、 冬休みの読書用としてビュトールの「時間割」(清水徹訳/河出文庫)を買い、 さらに経済学部の図書室に行って、 P. Wilmott の "Paul Wilmott introduces Quantative Finance" (www.paulwilmott.com)を借りる。 ファイナンス理論のやや古典的な側面も知っておくのがいいかな、 と思ってのことなのだが、 中をぱらぱらとめくってみると、 内容的には大学院レベルか、それ以上に高度なことまで書いてある。 しかも、流石アメリカの教科書、マンガなみに分かり易い。 これを翻訳すると売れるんじゃないかな… 続けて、今年最後の教授会。 最後だけにヘヴィな議題が続く。 お上のお達しで、 助教授という職名が来年の四月から「准教授」と改名されるらしい。 へえ、そうだっけ。 講師と助手の間くらいの「助教」と言うポストが新設されるので、 まぎらわしさを除くためだろうか。 名前が変わるくらいは別にいいけど、 システムをいじり過ぎなんじゃないかなあ、最近。 特に「助教」の扱いにダウト。 終わったのは 20 時。 夕食はわびしく生協食堂。

明日は今年最後の学科会議、つまり今年最後の会議だ(多分)。 明日も簡単には終わらなさそうな感じ。

Monday, December 11, 2006

同様に確からしい

8 時起床。食欲がなくて朝食は珈琲のみ。 午前中は数学を考える。 やった、できたぞ!と思ったら、 最後の最後のステップで Jensen の不等式を使ったのが間違っていた。 うう… 3/5 が 1 以上なら良かったのだが。 流石にまだ誰にも解かれていない問題は、易しくないものだ。 でもどこが難しいのか分かった気がする。 ちょっとは進展した、と思うことにしよう。 昼食にオムライスを作って、午後は衣笠に出動。 衣笠には私の研究室はないので、 事務室の片隅の寄合所みたいな所で講義時間まで待機する。 今日の「数理の世界」は確率へのイントロ、 「情報の数理」はエントロピーへのイントロとして対数(log)の復習。 講義の間の休憩&質問タイムに女の子たちが教壇に来て、 「12 月 25 日は来レないんですけどー、 期末レポートの課題、来週出してくれますか?」と訊くので、 「来週は課題の一斉掲示日だから、掲示板を見るといいんだよ(にっこり)」 と答えておく。 バスで帰宅して、夕食は鶏鍋とその後の饂飩。

昨日の問題の答。もう一方も男の子である確率は 1/3。 この問題にはほとんどの人が 1/2 と自信を持って答え、 正しい答と説明を聞いても頑なに信じないことが多い。 1/2 と答えた人は、 「一人が男だろうが女だろうが、それとは無関係にもう一人は男か女。 よって確率は 1/2」と考えたか、 あるいは(実際は同じことだが)、 「片方が男と言うことは、子供は男女か、男男のどちらか。 よって、もう一方も男である確率は 1/2」と考えたか、 またはもっと厳密(?)に、 「片方が男と言うことは、兄弟の兄、兄弟の弟、兄妹の兄、 姉弟の弟のいずれか。よってもう一方も男である確率は 2/4=1/2」 と考えたに違いないが、これらのロジックはどれも間違っている。 一つめは「(少なくとも)一人が男の子」と言う条件を誤解している。 つまり、「二人子供がいて、上の子は男の子。では下の子も男の子の確率は?」 というような問題と混同している(この答は 1/2 で正しい)。 そして後の二つについては、何が同じ確率を持つのかを勘違いしている。 正しくは、兄弟、姉妹、兄妹、姉弟の四通りが同じ確率で起こるのだから、 少なくとも一方が男である場合、 同じ確率を持つのは兄弟、兄妹、姉弟の三通りである。 この内、もう一方も男になるのは一通りだから、 正しい確率は 1/3。でしょ?

Sunday, December 10, 2006

唐辛子鶏

10 時起床。今日は天気が良さそう。 昼食はカルボナーラ。午後は明日の講義の予習。 数年ぶりに昔の彼女にばったり道で会ったら、 いつの間にやら結婚をしていて、 しかも子供が二人できたと言う。 その内の一人は男の子だと言うことも、立ち話から分かった。 さて、もう一方の子供も男の子である確率はいくらでしょう (ただし、男女が生まれる確率は単純に独立で半々であるとし、 一卵性双生児などの特殊なケースは考えない)。 なんていう問題を講義用に用意した(答は明日!)。 予習はけっこう早く出来たので、 その後は自分の数学を考える。 あっと言う間に二時間経過したが、進展ゼロ。 色々と便利な記号は発明したけど。 あ、そうだ今日はスーパーの割引き日だった、 と夕方になって、食材の買い出しに行く。 えーと、それからキャットフードと電球だ。 数日前にバスルームの電球が一つ切れていたのだった。 私は湯船でも本を読むので、暗いのは困る。 夕食は御飯を炊いて、唐辛子鶏などと食べる。 見ためは凄いけど、ほとんど辛くない料理です。

今年のお仕事もあと二週間ほど。 しかもその二週目は博多出張なので、 実際は明日からの今週でほとんどの業務は終わる。 今週で今年最後のゼミが三つ、今年最後の演習が一つ、 今年最後の会議が二つ。 衣笠の文系講義だけは月曜日なのが理由で運悪く後三回あり、 クリスマス 25 日月曜日のマスプロ講義二つが今年最後のお仕事。

Saturday, December 09, 2006

プルースト氏/プリーストリー氏

完全に休日。雨。 9 時起床、と言うより目覚めたのが 9 時。 私は平均的成人より遥かに睡眠時間が長い。 その分、平均より人生が短いわけだ。 亀のように遅く、兎のように寝ているのでは駄目な人生だなあ、 と反省しながらも、 午前中はほとんど寝台で過した。 珈琲だけの朝食を寝台でとる。 プルーストのように日々をほとんど寝台の上で過したいものだ、 と思って、より快適な寝台生活のために、 寝台の頭を壁のところまで少し移動させて、 壁にもたれることができるようにしてみた。 あ、これは快適かも。しばしその姿勢で読書。 とは言え、 毎朝クロワサンとカフェオレを寝台まで持ってきてくれるような、 献身的な秘書がいるわけでなし。 昼食は御飯を炊いてだしを引く。 白菜の炒め物、大根の味噌汁、お漬物など。 午後は "Zurich 1953" から棋譜を並べたり、本を読んだり。 ちょっと数学を考えたい気分だったが、 今日は休みだし、と思って禁欲。 それどころか、昼寝までしてしまった。 しかも、一日中パジャマ。 夕食は冷や御飯で卵と長葱の炒飯を作る。白ワインを一杯だけ。 夜までずっと雨で、今日は家を一歩も出ず。

今日の読書、「プリーストリー氏の問題」(A.B.コックス著/小林晋訳/晶文社)。 A.B.コックスは、 アントニイ・バークリーまたの名をフランシス・アイルズの本名。 バークリーやアイルズとして活躍する前には、 本名でコメディを書いていた。

Friday, December 08, 2006

ありあわせスパゲティ

10 時起床。寝坊。 午前中は洗濯しつつ、雑用。 昼食には鍋焼饂飩を作った。 午後は京大での関西確率論セミナに出席。 S 川先生が一次元拡散過程の話。 具体的な面白い計算をしていた。 関西セミナはこれが今年最後。 今年最後、のことが色々と増えてくる。 バスで四条大宮まで帰って、少し買い物をして帰宅。 夕食は冷蔵庫のありあわせスパゲティ (「村上レシピ、プレミアム」(台所で読む村上春樹の会/飛鳥新社)の 108 ページ参照)。 白ワインを一杯。コンドリュー。

冬休みの読書用の本をまた一つ注文。 「ソフトウェアエンジニアリング論文集 80's ~デマルコ・セレクション」 (T.デマルコ、T.リスター編/児玉公信訳/翔泳社)。 こういう固いのも入れたので、その反対にと、 ローラーコースター・サスペンスと評判の 「数学的にありえない(上、下)」 (A.ファウアー著/矢口誠訳/文藝春秋) を買うかどうかは考慮中。 さすがにこんなタイプの本は文庫落ちでいいと思うのだが、 年末年始にはこういうのを一つくらいは読みたい。 ディーン・R・クーンツを読み返す、という手もある。

Thursday, December 07, 2006

雨の木曜

8 時起床。珈琲とレーズンパンの朝食をとって出勤。 午前は「プログラミング演習」。 生協食堂で昼食。 午後は 14 時過ぎから卒研ゼミその1。 Williams でラドン・ニコディムの定理の簡単ヴァージョンの、 マルチンゲールを使った証明など。 17 時半くらいに終了。雨の中を帰る。

Kramnik vs. DeepFritz マッチ、クラムニク黒番の最終ラウンドは、 Fritz の勝利。結局、2.0-4.0 で Fritz がマッチを制した。 ここまでに一敗していたから、 クラムニクは黒番で勝ちに行かなければならない。 シシリアン防御、ナイドルフ変化。 敗局なのは残念だが、このゲームが私には一番面白かった。 特に、これまた残念なことに、Fritz の手の方が面白い。 いかにも機械らしい手が多かったので。 10. Re3 11. Rg3 が流行したりして。

Wednesday, December 06, 2006

悪と戦う

9 時起床。 朝食は珈琲とレーズンパン。 午前中は時々休憩を入れながら、レポート採点。 昼食は御飯を炊いて、回鍋肉と大根の味噌汁。 午後もさらにレポート採点。 そして、ついに終わった。 期末レポートがあるけど、それは来年のことだ。忘れよう。 夕食は麻婆豆腐に再チャレンジ。今回の方がうまく出来た。

今日の読書。「エンジニアのための時間管理術」 (T.A. Limoncelli 著/クイープ(株)訳/オライリー・ジャパン)。 言わゆるライフハック系。なかなか面白かった。 「忙しい」「時間がない」が口癖のシステム管理者、プロジェクト管理者、 そして研究室や大学のネットワーク管理をやらされている院生、 などにおすすめ。 とは言え、スケジュールの管理、雑用のルーチン化、 顧客の要求やクレームへの対応、文書化の方法、 などなど、ここに書かれているテクニックや秘訣は、 IT 産業に限らず、どこでも通用するはず。 しかし、挙げられている例や説明が全て「テッキー」用なので、 他の分野の人には読み難いだろうし、 ちんぷんかんぷんな箇所もあるだろう(例えば、unix のスクリプト例とか)。 なお、この本の一番良いところは、 そうして出来た時間の余裕を何に使うべきかに対して、 明解な解答があることだろう。 すなわち、「悪と戦え」と。 例えばそれは、愛する人と一緒に過すことであり、 または、自分の力と知識で善き人々を助けることである。

Tuesday, December 05, 2006

指なし手袋

9 時起床。朝食は珈琲とレーズンパン。 午前はレポート採点。 昼食に鍋焼饂飩。キャンパスに移動して、 午後は 14 時過ぎから卒研ゼミ、その2。 Lieb-Loss で滑らかな関数による近似の証明をようやく終えて、 Lp 空間の可分性など。 学生たちも随分とサマになるようになっては来たけど、 まだ自分一人だけで数学を勉強できる所までは行かないな、 と言う感じ。 もうしばらくは手とり足とり、かな。 続いて、夕方 16 時から会議。 予定より早く終わった。 混雑時に帰路につく。 早く帰れたが御飯を炊くほどの時間はないので、 ベーコンしめじスパゲティ。食後に珈琲。 夜もレポート採点を続ける。明日一日かければ終わりそう。

今日もかなり寒い。我が家は全て板張りなので、余計に冷える。 今日から家の中でも、指先を切った手袋を導入。 もちろん暖房はあるのだが、ちょっと寒いくらいが好きなので、 相当控えめにエアコンをかけている。

Monday, December 04, 2006

満月

9 時起床。 午前中はレポート採点、まだまだ終わらないなあ。 昼食は冷や御飯と粗食。 午後から衣笠キャンパスへ。 「数理の世界」は複素数について、 「情報の数理」は情報源の拡大と最適コードの平均語長など。 講義が終わって外に出て空を見上げると満月。冴え冴えと美しい。 秋の月山辺さやかにてらせるはおつるもみぢの数を見よとか。 バスで大宮まで戻って、少し買い物をして帰宅。 夕食は一人鍋と、その後の饂飩。 既に開けてあったシャンパーニュの残りをグラスに一杯。

Kramnik vs. DeepFritz のクラムニク先手の第五ラウンドは、 またしてもドロー。 微かに白が良さそうだったし、 キャスリングせずに h4 なんてところでは、ちょっと期待したのだが。 いずれにせよ、最早機械が強すぎて、 こういうタイプのゲームにしかならないのかも知れないなあ、 と思ったり。

Sunday, December 03, 2006

キングとジョーカー

昨夜は天才プログラマ K 氏とその奥様と松ヶ崎のお鮨屋さんで会食。 6 時半に入って閉店まで、長々延々と食べていた。 この前はトーナメントの直後で疲れていたのであまり話せなかったのだが、 今回はゆっくりできて良かった。 相変わらず良く飲む人で、その後まだ飲みたいと言うので、 家の近所のバーに電話してみたら、こちらは満員。 ひとまずお二人が泊まっている祇園に行って、 花見小路のバーを覗いてみると運良く席があった。 飲み直しで、1 時くらいまで。 こちらの店では、 奥様とバーテンダさんと隣りのお客さんの三人が皆、 埼玉の熊谷に縁の人達で、ローカルな話で盛り上がっていたのと、 K 氏が最近、スバラシク美味しい店を発見した、 と言う話の二つが印象的だった。 「ほほう…それってどんな店?」 「ブラジル料理なんだよね」「ブラジル料理?へぇ」 「でも、店の看板にはフランス料理、とも書いてあって」 「ブラジルでフランスなんだ」 「で、そこのアルゼンチン料理が美味しいんだよね」 「はあ?」。 謎だ。塩漬肉を切って焼いただけの何とか言う料理が絶品だそうで、 椰子の芽のサラダも美味しいそうだ。 次に東京に行ったときにでも、連れて行って下さい。

10 時起床。寒い。京都は昨日から急に気温が下がった。 昨夜はけっこう飲んだはずだが、特に二日酔いもなく爽やかに目覚める。 時間をかけて飲んだからだろうか。 午前中は「確率と統計のパラドックス ― 生と死のサイコロ」 (S.セン著/松浦俊輔訳/青土社)の残りを読了。 この訳者はいつも教養あふれる良いサイエンス本を選ぶのだが、 そのせいでいつも、訳があまり良くない。 昼食は近所のベンガルカレー屋さん。スパイスで身体が温まった。 午後は明日の講義の準備など。 夕方、食材の買い出しに行く。 京都の冬にしては、まだそれほど寒くはない。 ついでに本屋さんで、冬休みの読書用に「キングとジョーカー」 (P.ディキンスン著/斎藤数衛訳/扶桑社)を買う。 以前 サンリオ SF 文庫から出ていたのが、改稿復刊されたもの。 これは買っておかないと、またなくなりそう。 そう言えば、サンリオ文庫はどこに行ってしまったんでしょうねえ… 絶対に文庫ではペイしないと思われる凄いラインナップと、 驚くほどの悪訳で一世を風靡したものだったが。 今、思えばああいう下手物こそ、 引越しのときに処分したりせずに持っておくべきだった。 サンリオ文庫と富士見ロマン文庫を大量処分したのは、今から思えば痛恨。 夕食は御飯を炊いて、ウー・ウェン先生レシピの麻婆豆腐。白ワイン、一杯。 たっぷりの花椒がいい感じだったが、 今回はレシピの手順を確認した程度かな。次はもっと上手に作れるだろう。

Kramnik vs. DeepFritz, クラムニク黒番の第四ラウンドは、またドロー。 ペトロフ・ディフェンスのモダン・アタック。 ドロー・ツールの印象があるペトロフをクラムニクが指すとさらに手堅い印象。 絶対、負けません、と言う感じ。 でも勝ちもしません、と言う感じ、でもあるが。 今夜のクラムニク最後の白番で勝てるかどうかが見所。 対局自体とは別に、ペトロフ・モダンってなかなか面白い定跡だと思った。 ペトロフもちょっと勉強してみようかな… 一方、オリンピックのアジア大会では、 小島君がインド最高のプレイヤーの一人サシキランを相手にドローの快挙。 すごいなあ。

Saturday, December 02, 2006

珈琲と定理

9 時起床。朝食は珈琲のみ。 午前中はどんどんレポート採点。 昼食は甘藍スパゲティ。 食後に珈琲をまた淹れて、ようやく一服。 左の画像まで、レポートの山が減りました。 あと、二三日くらいで出来そう。

数学者のエルデシュ曰く、 「数学者とは、珈琲を定理に変える機械である」。 珈琲をレポート採点に変えるのは、 数学者と言うより先生業だなあ。

Friday, December 01, 2006

紫蘇漬け

9 時起床。珈琲のみの朝食。 午前中は洗濯の傍ら、ばりばりとレポート採点。 「情報の数理」の方は全部、終わった。 しかし、問題は「数理の世界」である。 レポートの山の厚みからエスティメイトしたところでは、 およそ後、正味で 10 時間くらい根を詰めてやれば出来そう。 昼食は御飯を炊いて、大根の味噌汁、もやし炒め、胡瓜の紫蘇漬け。 午後は郵便局で用事を片付けてから、京大へ。 関西確率論セミナに参加。 帰りに近所のワイン屋さんで注文していたブリュット・ゼロを受け取り、 タリーズで珈琲豆を買って、帰宅。 夕食は炒飯と紫蘇漬け。紫蘇漬け、美味しいな…

明日の夕食は、 東京から関西に来ている天才プログラマ K 氏とその奥様を、 松ヶ崎のお鮨屋さんで接待の予定。