Saturday, June 30, 2007

計画と展望

一旦 6 時頃目が覚めて二度寝。 10 時に起床。 珈琲を飲んで、通信チェスの手を考え、 掃除機がけと洗濯もの畳みなど家事をし、 今月の家計簿を整理して、昼食。 御飯を炊く元気がなく、かけ蕎麦。 少し昼寝をしたあと、私的プロジェクトの作業。 夕食は豚のスペアリブを使って、酢豚。野菜なしの北京風。 自分で作ったとは思えない美味しさ。恐るべし、ウー・ウェン先生レシピ。 今日の京都は気温が30度をかなり越えたようだが、 ずっと家にいたので知らない。

もう明日から 7 月。早いなあ。 そろそろ夏休みの計画を考える。 プーケット島にでもバカンスに行こうかと思っていたのだが、 一緒に行ってくれる相手もないので、多分家に引き篭り。 プロジェクトとしては今のところ、二ヶ月かけて、 (1)数学の問題(新古典不等式がらみ)を考える、 (2)ちょっと長い秘密のドキュメントを書く、 (3)ダイソンの掃除機を買うかどうか悩む、 を予定している。

最近、blog 長くない?と言われたので、たまには短く。 細く長くも、太く短くも、また良し。 人生は帯に短し、タスキに長し。 年年歳歳花相似、歳々年々人不同。

Friday, June 29, 2007

赤い本

9 時起床。 空気が大量に湿気を含んでいて、蒸し暑い。 雨も降りそうだ。午前中はあれこれ家事に励んだ。 昼食は今年初?の素麺。午後は少し昼寝してから、百万遍へ。 京大での関西確率論セミナ。韓国の人が 3G 定理について話していた。 何のことかなと思っていたら、 グリーン関数三つの積についての評価の話だった(ようだ)。 また古書店でラヴゼイの文庫をいくつか買って、 バスで大宮まで帰ってくる。 近所のワイン屋さんで注文してあったチーズを受け取って帰宅。 これでようやくカルボナーラが作れる。 夕食はカルボナーラ(笑)

最近読んで抜群に面白くて刺激的だった本。 「ファインマン流 物理がわかるコツ」(ファインマン、ゴッドリーブ、レイトン著/ 戸田盛和、川島協訳/岩波書店)。 かの有名な「ファインマン物理」の「補講」にあたる講義録。 物理な苦手な学生のための補講集の格好になっている。 第一章は物理で必要な数学について解説した講義で、 ファインマン先生流の「難しい関数を簡単に微分する法」、 みたいなことが書いてあったりする。 講義録なので、関数の後ろに括弧をひらいて、ここにこの指数を書いて…、 と言うタイプの記述が最初はサッパリ分からなかったのだが、 三分くらい考えて、ああ対数微分しているのか、と気付いた。

この本の前書きにレイトンがこんな話を紹介していた。 チベット問題で中国とインドの国境沿いが緊張していたときのこと、 中国側の人民解放軍は、自分たちが見られているのを承知の上で、 高らかに赤い本を振りかざして、インド兵士をあざけっていたと言う。 言うまでもない「毛沢東語録」である。 そのときインド兵の中に、余暇に物理学を勉強している人がいて、 そのあざけりにうんざりした彼は、 お返しにこちらも赤い本を向こうに振りかざして溜飲を下げたそうである。 その赤い本とは「ファインマン物理学」全三巻である。 この彼が後にレイトンにこんな手紙を書いてきたそうだ。 さて、あれから二十年、どっちの赤本がいまだに読まれているかな、と。 これは共産主義と他のシステムとどっちがいいかとか、 思想と科学の対立とか、 大衆と科学者の対決がどうとか、そういう話ではない。 人間が人間であることの意味と価値と誇りを本当に伝えているのは、 どっちだ、と言う話である。

Thursday, June 28, 2007

ガギグゲゴ

9 時起床。 珈琲を飲んですぐに出勤。 午前中は委員会の仕事を片付け、 昼食は研究室でサンドウィッチ。 続いて、12 時半から「情報理論」の講義。 情報源の直積の話の続きをして、 Shannon の第一定理とその証明、具体例など。 続いて、14 時 10 分より卒研ゼミS。 (離散)マルチンゲールの定義など。 学生側の都合で今日はあっけなく短時間で終わったので、 その後は定期試験の問題作成。 三教科分集中して片付けて、事務に提出。 数年前から、 ほぼ確実に必要のない追試の準備まで全員が、 定期試験問題提出と同時にしなければならないことになった。 カレンダーがタイトで追試が決まってからでは間に合わない、 と言う理由らしい。 追試がなかったらその問題は返すから来年使えば良いと言う。 敵は毎年同じ問題でいいと思っているのである。やれやれ。 今日は数理ファイナンスセミナはなし。 夕方、キャンパスを後にする。

夕食は近所のバーにて。 ソムリエの O さんにおみやげを持っていった。 この前のトーナメントでスポンサが配っていた、 ガンダムのチェス駒のおもちゃ。 開けてみたらネモ(ポーン)の雑魚キャラで申し訳なし。 どうせ使い捨てのポーンですから…と拗ねていたが、 ポーンはいずれ、ナイトにだって最強のクイーンにだって、 好きなものに成れるのだ。 世界一のソムリエ目指して頑張っていただきたい。 ガンダムのキャラクタってガギグゲゴ系が多い。 例えば、デザルグ(パイロットはメネラウス大尉)とかってどうだろう。 いま、くすっと笑った人は多分、閲覧者の 5 パーセントくらい。

最近、木曜の早い時間も結構混んでいる。 今日はカウンタに知り合いが二人もいた。珍しい。 メニュに噂のロモランタンがオン・リストしていた。 デフォルトの白グラスワイン。うーん、一般うけするだろうか。 鯛とゴーヤとシメイで洗ったチーズのキッシュ、 鱸の蒸したのにヴァンブラン・ソース。 最後にデザートワインとチーズ一種。 鯛、ゴーヤ、チーズが意外に絶妙のコンビネーション。 ニュースとしては、シェフの F さんが指を怪我して、 しばらく料理が出せない状態だったらしい。 知らなかった。 でも結局大したことではなくて、 医者から「もう料理して良し」の許しが出たそうだし、 今日は通常通りに料理していた。 この理由で予約をお断りしたお客もあったらしいが、 もう大丈夫そうですよ。

Wednesday, June 27, 2007

post mortem

7 時起床。珈琲を飲み、胡瓜とハムのサンドウィッチを作って出勤。 午前は修士ゼミ。離散マルチンゲール理論の最初のあたり。 勉強ゼミは全然進んでいないが、 夏休みはそろそろ研究っぽいことをさせてみてもいいかもなあ、 と思案中。取り敢えず、数ファ研の端末には入ってるはずだし、 Mathematica が使えるようになっておくといいよ、 とアドバイス。 30 分ほどの休憩時間にサンドウィッチの昼食を研究室で食べて、 12 時半から「シミュレーション技法」の講義。 時系列データの周波数解析について。 今日は学科会議はお休みなので、夕方から少し時間が出来た。 定期試験の問題を作るか、委員会の仕事をするか、 あまり力の必要なさそうな ToDo は…と手帳を見ながらしばし考えて、 そうだ散髪に行こう。

夕食は、冷やさない冷やし蕎麦。葱と半熟茹で卵。 あ、天滓を買っておかないと。 3 割減の食事制限で一週間過ぎた。 特にお腹が減るでなし、体調も悪くない。 冬と違って体温の発熱量が小さくて済むので、 こんなもので十分なのだろう。

この前のトーナメントで唯一、我ながらいいゲームだった一局。第一ラウンド、 全日本チャンピオンとの対局。白番、フレンチ・ディフェンス。 1 ポーンダウンのまま、クイーンとポーンだけのエンドゲームになった。 39. ... Qc4+ とチェックがかかったところ。 私の応手は 40. Kd1? だった。そのまま数手後に時間切れで負けたのだが、 ここで 40. Qd3! が正着だった。 勿論、頭に浮かびはしたが、 b5 で駄目だとすぐに思って、Kd1 と Ke1 しか考えなかった。 しかし、40. ... b5 のあと、 こちらからもクイーンを取れないが、向こうも取れないので、 41. Kd2! g5 42. Qg6! で、ドローっぽいんじゃないだろうか。 今思えば、それしかないだろう、と言うくらい簡単な手だが、 持ち時間があと数分、となると指せない。 これが指せてれば、どうせ時間切れで負けるにしろ、 チャンピオンにここまで迫った、と自慢できたと思うのだが… まあ、ラピッド(持ち時間30分の短時間対局)ならではのことで、 普通ならここまで届くことはない。

Tuesday, June 26, 2007

SとM

7 時半、起床。ゴミ出しして、サンドウィッチを作って出勤。 午前中は卒研ゼミI。 教育実習に行っていた学生が久しぶりに発表。 風邪も引いているようで、全く準備できていない。 国枝桃子先生ばりに、 「まるで頭を使ってない。時間の無駄だから止めよう」 と舌の最先端まで出かかったが、 学生たちに「原先生はドS」とかって言われるのも嫌なので、 どんどん助け船を出して通常通りに終了。 数ファ研の学生たちは、 ゼミで黒板の前で立ち往生したときに放置する先生や先輩院生を「」、 すぐに助けてくれたり、説明してくれる先生や院生を「」 と分類していると聞く。 そのイニシアルが何を表しているのかは分からない。 "Sharp" と "Mild" だろうか。 20 分ばかりの空き時間でサンドウィッチの昼食を研究室でとり、 12 時 30 分から「暗号理論」の講義。 暗号系の定義と、古典的な暗号方式とその攻撃法。 続いて 14 時 10 分から卒研ゼミS。 一次元ランダムウォークの破産問題。 その後は研究室で雑用をいくつか片付けたり、 学生の質問を受けたり。 アクロスの図書室に計量ファイナンスの教科書を返しに行こうと歩いて行く途中、 その本をぺらぺら見ていたら、やっぱりもうちょっと読んだ方がいいなと思い直して、 カウンタで更新手続をして戻ってくる。 生協食堂で早めの夕食をとって、18 時から某委員会の会議。 会議終了後、研究室でメイルをいくつか書いてから、帰る。 そして今、帰宅。

Monday, June 25, 2007

雨降りだから

8 時起床。6 時間ほどしか寝てない。まあ、何てことでしょう。 寝床でしばらく読書してから起き出して、珈琲を飲む。 午前中は講義の予習。 昼食は御飯を炊いて、常備菜と葱の味噌汁で一汁一菜。 一時間ほど昼寝をしてから、午後も講義の予習。 そろそろ定期試験の問題も考えないと。 夕方になって、食材の買い出し。 電気代のお報せがポストに。6 月分、2222 円。 お、ゾロ目だ。いやそれより、一軒家に住んでこの安さは何だろう。 時々思うのだが、光熱費が安過ぎる。 これでは皆が無駄遣いもするし、温暖化も進むはずだ。 夕食を作る前に、ダンボールを一つ細切れにして可燃ゴミにした (明日はゴミの日)。 なかなかのエクセサイズだった。 夕食は冷や御飯を使ってオムライス。食後に珈琲。 夏に向けて軽量化のため、 食事の量を冬季の 70 パーセントくらいまで下げた。 光熱費どころか食費まで安くなる。 夜になって雨が強くなってきた。 そうだ、雨降りだから「雨降りだからミステリーでも勉強しよう」 でも勉強しよう。

髪を中途半端な長さに切ったせいで、 目のあたりにかかって鬱陶しい。 じっとしている時はいいが、 動いていると邪魔でしょうがない。 特に講義の間は加えて手がチョークで汚れているので、 髪をかき上げることもできない。 今日、髪を切ろうかと思っていたが、 時間がなくて美容院に行けなかった。 今週末が次のチャンスかな。

Sunday, June 24, 2007

雨の日のエクセル

昨夜、某企業のコンサルティングの仕事をちょこっとだけした。 夜は人のために働かない習慣だが、お酒も飲んでいなかったし、 暇だったし、すぐできそうだったので。 この企業からは普段全く仕事をせずにお金だけもらっている。 何か詐欺行為を働いているような気がしないでもない。 ただ、時々忘れた頃に質問や相談が来て、それに答える。 数学の得意な人にちょっと訊いてみたいな、 と言うタイプの問題が起こったときに気楽に尋ねられる人材を確保しておく、 と言うことに価値を見出しているのだろう。 いずれにせよ、雇われている方が言うのも変だが、卓越した判断だ。 時間と情報は無料で取引されることが多いが、 実際にはこの二つにしか価値はない。

昨深夜から降り始めた雨が、朝もまだ続いている。 この元気の良さからして一日中、降りそう。梅雨だ。 目が覚めるときに、「あ、こう条件を関連させれば問題が簡単になるな」 と思っていた。金曜日のセミナ中の妄想の続きと思われる。 コプロセッサが意識下で働いていたようだ。 でも最近、コプロセッサの性能が落ちたな、と思う。 今では動いてないよりマシ、程度の機能しかない。 つまり猫の手くらい? 午前中は寝床で読書をしていて、 昼食にコック・オ・ヴァン・スパゲティなる思いつき料理を作って食べる。 またしても、不味くはないし、思った通りの味だが、 あえて作って食べるまではないだろう、と言う今一つの料理だった。

午後はキャンパスに出勤。 教務委員の仕事で、月曜の朝の内に資料を提出しろ、 と土曜日の昨日連絡があったので。 委員会の資料は大量のプリントで配布されるので、 昔はこんなの誰が使うんだろ、 と思っていた厚さ15 センチもあるコクヨのバインダにファイリングして、 会議が終わったと同時に研究室の書架に放り込んで忘れることにしている。 もちろん、そんな巨大なバインダを家に持って帰ったりしない。 だからこんなときには、出勤せざるを得ない。 強い雨が降り続く中、キャンパスに到着。 自宅から持っていったコーヒープレスと豆で珈琲をいれて、 Excel でカリキュラム改訂一覧表を作る作業開始。 Word じゃないだけマシか… こういうのを何と言うのだったっけ、奢れる平家は久しからず?…違うな。 一時間弱ほどで終了。Excel じゃなくてテキストでデータが書かれていれば、 絶対に 10 分以下で出来たはずだ。 例えば、どうやったら一段分のデータを挿入できるのか分からない。 しょうがないので、挿入したいところから下全部をコピー、カット、 ペーストして一段ずらせた。 どうやったら、この馬鹿みたいなイルカの漫画が消えるのかも分からない。 このイルカ、きっと世界中の人々に笑顔でストレスを振り撒いている。 以前、このイルカの話をしていたら、 「あのイルカ、名前もついてるんだよ」と教えてくれる人がいた。 知りたくない。

ますます強まる雨の中を 18 時過ぎに帰宅。 夕食はかけ蕎麦。具は葱と半熟茹で卵。 夜は "Google Hacks" を読んだり、チェスの手を考えたり。

「パレット」

Saturday, June 23, 2007

君のための薔薇 / 成長

8 時起床。快晴。最近、休日でも早く目が覚める。 脅威だ。いや、驚異だ。とは言え、寝台から出たのは 10 時。 寝床本が二冊たまっていたのを読んでいたので。 一冊は技術書で、 もう一冊は「きみのためのバラ」(池澤夏樹/新潮社)。 小説ばかり読んでいるような印象かも知れないが、 実際は小説以外が多い。 これも最近の変化として、 買う本の量に読む量が追い付かなくなった。 読むのは僕一人なのに、書くやつが多くて敵わない。 みんなアウトプットし過ぎじゃないかな。 朝食はようやく珈琲。 そう言えば、 研究室用に一杯立てのコーヒーメイカが欲しいと思っている。 Russel-Hobbs とかどうかな… さすがイギリス製品だけあって、紅茶も出来るそうだ。 ただ、職場を快適な場所にしないように気をつけてもいるので、 判断の難しいところ。

午前中は掃除機がけをしてから、 近所のワイン屋に注文していたものを受け取りに行く。 朝から日射しが厳しい。 店の入口脇に大きな葡萄の鉢をおいてあるのに、 言われるまで気付かず。綺麗だな。 スーパーで少し食材を買い、 帰りにタリーズで予備の珈琲豆を買って帰る。 昼食は御飯を炊いて、卵丼。御飯を炊く傍ら、 古くなった玉葱と人参でコック・オ・ヴァンを仕込む。 午後は少し寝床でうとうとしつつ、時々、エッセイを読んだり。 夕食はコック・オ・ヴァンと御飯を一杯。 この場合、御飯はサラダなのかな…

日本人はもうそんなに働かなくていいんじゃないだろうか。 これからどんどん人口が減っていくのならば、 今あるリソースをより少ない人数で使うことになるから、 一人当たりは豊かになって行きそうなものだ。 「どんどん人間が増えていって、どんどん顧客が増えて、 どんどん組織が成長していって、 しかし積み上げた利益はさらなる成長のために再投資するので、 経営陣以外の構成員はちょっぴりずつしか(または、全く)豊かにならないが、 組織の未来と成長を信じてがんばろう」、 というモデルが自然な形ではもう、あり得ない。 成長と豊かさはカテゴリの違う概念のはずだ。 たまたま今のリーダ達の成長期にそのモデルが有効だったので、 その成長体験の呪縛から逃れられないのかも知れない。 「成長」と言う言葉の意味を考え直すと良さそうだ。 そう言えば、「彼も成長したよね」と言うときは、 大抵が「彼も世間でちょっとは痛い目もみて、角が取れて丸くなったよね」 とか、つまりは凡庸になったことを意味していて、 大して良い意味ではないと私には思われるが、 世間では良い意味で使われているようだ。

何かを待つクロソフスカヤ

Friday, June 22, 2007

登頂経路

7 時起床。寝直して次に起きたのは 9 時過ぎ。 強い雨が降っている。珈琲豆もフィルタも切れていて、朝食はなし。 昨日から珈琲を飲んでいないので、調子が悪い。 私はカフェイン中毒なので、珈琲が一日切れるとかなり辛い。 雨なので買いに出るのも面倒だし… 洗濯をしながら、読書。 一階は暗いので、二階の寝室に行って自然光で読む。ささやかなエコロジィ。 午後からは小雨になった。 京大の関西確率論セミナに行く。 少し早く百万遍についたので、古本屋で物色。 ハヤカワ・ポケミスの A.A.フェア「馬鹿者は金曜日に死ぬ」(井上一夫訳)、 F.W.クロフツ「列車の死」(能島武文訳)を買った。 今日の関西確率論セミナは、 シアトルから来日中の Z.Q.C. (勿論このイニシャルからして中国系)さんの講演。 ディリクレ形式理論の話で良く分からないので、 ぼーっと英語を聞き流していたら、ちょっといいことを思いついた。 あわててノートを取り出して、メモをとっておく。 昨日まで発表のために整理していたのが良かったのかも知れない。 まあ数学では「良い思いつき」の内、 百回に一回も実際に進展に結びつくことはないものだが。

セミナのあと、 百万遍のファーストフード屋であれこれ考えごと。 まだ小雨が降り続いている。 さらに、出町柳のワインバーに夕食に行く。 この前、久しぶりに渋谷の「黒い月」に行った時のこと、女主人から、 友人が京大の近くでワインバーをやっているから訪ねてあげてくれ、 と言われていたので、その約束を守るため。 ベトナムの牛筋煮込みなどでワインを二杯ほどいただき、 バスで四条大宮に帰る。 四条通りでは祇園祭のお囃子の練習の音が聞こえてきた。 私は実際に祇園祭を見に行った、と言う経験は一度か二度しかないが、 この季節になるとあちこちでお囃子の鉦の音を聞いて、 ああ、もう夏なのか、と思う。 夜にひっそりとした通りを歩いていると、 どこか遠くから鉦の音が聞こえてくる。 なんとなくしんみりとした気持ちになるものだ。 また夏がやってくる。この一年も早かったなあ…

考える価値のある問題は大抵が難しい。 しかし問題は解けるか解けないかで、その意味ではオールかナシングだ。 ところがそれでは仕事にならないので、 何とか部分的な解が得られないものかと考える。 つまり頂上まで行けないにしろ、途中で色々な良いことがある道がないか、 登頂経路を探す。 そうすれば目的の問題が解けなかったとしても、 努力が何らかの形で実を結ぶ。 そういうことが上手な人が、良い数学者になるように思う。 これは数学の研究に限らないような気がする。 私はずばり、これが大変に下手だ。

Thursday, June 21, 2007

Neo-classic

もう慣れっこだが今日もどこかでの人身事故で電車が遅れていた。 鉄道って本当に脆弱で、人間の善意に基いたシステムだ。 自動車などよりもコストが安くてエコロジィだと言うけど、 人間そのものを仕事のために長距離移動させる、と言う、 人間そのものの価値が低かった時代の習慣を、 そろそろ脱却すべきじゃないだろうか。

数理ファイナンスセミナで発表。 「新古典不等式について」。 その後は、 数ファ研の専属料理人 K 君と K 川研の料理人 (調理師免許を持っているらしい)の二人による料理で、夕食会。 私のリクエストによって散らし寿司、 そして全然あわないけれど、鶏肉の煮込み料理二種類。 チーズ色々、パン色々、最後にパスタ。 ワインと終わりの方にカルバドスを一杯いただき、 けっこう長々と飲んでいた。 D 大が、もう少しスピシフィクに言えば、D 志社大が、 数学科を作って数理ファイナンス系も設けるらしい。 確率論グループがバルクで移籍するのってどう? とか勿論、酒席での軽いジョークを交わしつつ。

「だいたい正午」

Wednesday, June 20, 2007

グラデーション

帰宅したらいつになくクロソフスカヤが甘い声でなついてくるので、 今朝、キャットフードが切れていて御飯を少ししか与えなかったことを思い出した。 面倒だがやむを得ない。 自分の食事は後回しにして、 大宮駅の前のコンビニエンスストアまでキャットフードを買いに行く。 再度、帰宅してクロに食事を与え、 しめじとベーコンのスパゲティを作る。 食べるものを食べたら、何のお愛想もしてくれなくなった。 これだから女って(差別的発言)。 「この雌猫!」と言いながら、ブラッシングをしてやる。

「現実のグラデーション」

Tuesday, June 19, 2007

誤差の誤差

7 時過ぎに起床。今日はいい天気、かも。 ゴミ出しをして、珈琲とバゲット一切れの朝食。 残りの古バゲットで、昼食用のサンドウィッチを作る。 このホースラディッシュ入りのマスタード、 業務用の大型を買っておけば良かったかな… 電車の中で財務諸表を読もうといくつか鞄に入れて出勤。 丁度、株主総会の季節で事業報告書が送られてくる。 私のポートフォリオは大半がインデックスの類なので、 企業の個別選択は趣味に過ぎないし、 数理ファイナンス理論上は「無駄」なのだが、 まあ一応は真面目に(一年に二度だけ)チェックしている。 午前中は卒研ゼミI。 こう言うと他の卒研生に怒られそうだが、 I(確率入門),F(数理ファイナンス), S(確率過程論)の中でこのIが一番面白い。 20分ばかりの昼食時間でサンドウィッチを食べて、 続いて「暗号理論」の講義。確率論と計算量の理論から、 いくつかのトピック。 続いて、卒研ゼミS。離散伊藤公式。 隙間時間で生協書籍部に行って注文していた本を受け取り、 続いて 16 時から全体教授会。 今日はわりとヘヴィな議題が複数あったが、 出席者は少なく、思ったより早く終わった。 その後に、学部の大改革構想の会議があるかららしい。 教授会に出たあと、近くのトイレに行ったら、 その途中で驚くべき部屋を見つけた。 「理工学部改革事務室」とか言うのだ。 ちょっと覗いたら、わんさか人が働いていた。 こんな大勢の人が毎日朝から夕方まで改革のために働いていたとは。 改革が尽きないはずだ。 でなければ、改革の波に乗り遅れてしまう。 私も 18 時から別の会議が入っていたが、 教授会がずれ込んで、夕食を食べていたらかなり遅れそうだったので欠席した。 そのまま帰宅してから、カルボナーラと小さなサラダを作って食べた。 そして今。さ、「きょうの料理」でも観てから、お風呂に入ろう。

財務諸表と言えば、この前の某食事会の時に、 「数学も時に役に立つ」と言う一例として、 帳簿の改竄の見破り方を話したら、テーブルの近辺でけっこう好評だった。 帳簿に並んでいる数それぞれの、 一番上の桁の数字だけに注目するのである。 本当なら大体、"1" が一番多く、次が "2"、次が "3"、最後が "9" と段々少なくなっているはずだ。 極端に "1" が少なく、大きい数字が多いようだと、改竄の可能性がある。 細かい議論は面倒だが、おおざっぱにポイントを言うと、 帳簿に載っている数のほとんどは、もっと小さな数の合計になっていること (例えば、一年間の商品の売上とか)、 そして、一番上の桁とは位上がりで出来る数字なのだから、 "1" でいる時間が一番長いことである。 この数字の現れ方の分布は理論的に分かっているので、 その分布から大きく外れていると疑惑が生じる。 おそらく税務署が 「数字の顔付きがクサイ」と思うときは、 このあたりを経験とカンで感じとるのだろう。 まあ、ここまではその道の人は誰でも知っているのだが、 もう一歩詳しいところまで進もう。 貴方がこの分布を知っていて、 それに従ってデータ捏造をしても、 プロが詳細に見れば分かるかも知れない。 と言うのも、現実のデータはランダムだから、 理論値からかなりずれて実際の数字は現れるはずで、 理論的分布に完全に一致しているのはおかしいからだ。 だから、本気で(?)捏造や改竄をするときは、 理論的分布からのずれの理論的分布に従って、 誤差を加えなければならない。これを「二次の捏造」と言う。 勿論、この理論的分布からのずれの理論的分布からのずれまで考慮して、 「三次の捏造」も可能ではあるが、 おそらくそこまでは必要ないことがほとんどだろう。

Monday, June 18, 2007

いつもの月曜日

8 時起床。珈琲とパンを一欠片の朝食。 午前中は講義の予習をして、 昼食は御飯を炊いてベーコンエッグと若芽の味噌汁。 午後は今週木曜日の数理ファイナンスセミナでの講演のノート作りなど。 夕方になって食材の買い出しに行く。 まず遠方からで、ワイン屋さんでチーズを買う。 月曜日の夕方は随分と静かだ。 休日の後だし、月曜日休みの店が多いからかな… 次はスーパーであれこれ。スーパーも結構空いている。 さらに本屋に立ち寄って、と順に自宅に近付きながら帰る。 夕食にはしめじとベーコンのリゾットを作った。 昼の残りの冷や御飯を使ったサボリ料理。白ワインを一杯だけ。 米料理はどうも食べ過ぎてしまうなあ… 米つぶを残すと目がつぶれる、とか、 お百姓さんに申し分けない、とか言われて育ったせいだろうか。 もう大人なんだし、あまり動いてもいないし、 カロリー面から見て、実際は今の半分の食事で済むんじゃないかな… 森先生みたいに一日一食にしてもいい年頃かも。 食後も少し講演の準備。

Sunday, June 17, 2007

対局のあと / グラッパ

夜、京都に帰宅。 トーナメントは A クラスのトップのレイティングでエントリィしながら、 結果の勝ち点はほとんどビリ。全然、勝てない。 最近、壁を感じるなあ… トーナメント自体の方は、快速戦(持ち時間 30 分のラピッド)にも関わらず、 二日間の方も一日のコースもどちらも 30 人くらいの参加者が集まり、 意外にも盛況。 特に一日コースの方はレイティングのまだない新人が沢山参加していて、 ひょっとしてチェスって広まってきてるの?と思った。 そう言えば、今回は JCA にとって画期的かも知れない出来事があった。 一日目の午前の部が終わったところで、 Z スイス式でなくて正式のスイス式で対戦組みをすべきだ、 と選手たちから抗議があり、ディレクタがこれを受け入れたのである。 ディレクタ側としては、 もうトーナメントが始まってしまっているからと言う理由で、 つっぱねることも可能だったはずだが、 選手の声を聞き入れてくれたのは正しい判断だったと思う。 こういう小さなところからではあるが、 良くも悪くもマイナ・スポーツの親睦会的な部分から脱却して、 真に国際的な団体になって行って欲しい。

個人的に今回、参加して良かったことは、 日本チャンピオンの K 君と対局できたこと。 残り時間 5 分間を切って、棋譜を取る義務がなくなってからも、 記録しておかないと勿体ないと思って、 きっちり最後まで採譜した。 私の方がフルに時間を使い切ったので、 結局、第一ラウンドで最長の対局になったが、 その後、時間がないにも関わらず、チャンピオンに感想戦 (と言うより指導対局)につきあっていただけて、 大変に勉強になった。多謝。

公式トーナメントとは別に、 初日の 4 ラウンドが終わったあと、 有志を募ってのブリッツ大会(持ち時間 5 分間の指し切り対局)があり、 無謀にも参加してみたが、やはり全敗だった。 そもそも参加者がほとんど麻布の生徒か OB 学生かで、 トーナメントの最中、しかも 4 ラウンドも終わった直後に、 「わーい、ダブル・ラウンドロビン(二重総当たり)でやろうぜー」 とか言うほど元気がありあまっている連中の中に、 ほとんどブリッツなどやったこともない人間が参加しても、 まるで歯が立たないのは試してみるでもなかったが。

一応、父の日だしと思って、洋酒を送っておいたのだが、 さきほど、実家の父からお礼の電話があった。 と言っても、二言、三言くらいしか話すこともなかったが、 相変わらず元気そうではあった。

Saturday, June 16, 2007

足元の時間

Friday, June 15, 2007

揮発する夢

Thursday, June 14, 2007

押し寿司

8 時起床。朝から雨。今日は終日、降り続けるようだ。 朝食は珈琲だけ。 残りの鮭ハラス散らしを昨夜詰めておいたお弁当を持って出勤。 研究室で昼食を取る。 昨日より美味しいな…押し寿司効果だろうか。 駅弁の鱒寿司みたいな感じ。 12 時 30 分より、「情報理論」の講義。 エントロピィの基本的性質、コードの平均語長との関係など。 続いて 14 時 10 分より卒研ゼミS。 今日も二人がきっちり話してくれてフルに三時間。 また会議の通知が来ているのにメイルで返事を書いたりしている内に、 続いて 18 時より数理ファイナンスセミナ。 先週に続いて、S 沢先生が分枝過程について話してくれた。 来週は私が話す予定。 A 堀先生がラフパス理論と微分方程式解の連続性の関係を話して欲しそうな ことを言っていたが、そんな難しい話が 1 時間でできるはずもないので、 最近、凝っている「新古典不等式」の話でもするつもり。 これなら学生でも完全に分かるし。

そして今、帰宅。これから近所のバーで夕食。

明日の夜から東京に移動して、 土日とチェスのトーナメントに出場しますので、 明日 15 日(金)と明後日 16 日(土)の更新は定かではありません。

Wednesday, June 13, 2007

思いつき料理

7 時半起床。珈琲とトースト、林檎のコンポートの朝食。 昨夜作っておいたお弁当を持って、すぐに出勤。 と言っても、 日の丸弁当に塩昆布と鮭ハラスの焼いたのを入れただけのもの。 午前中は修士ゼミ。線形予測の残りと、条件付確率の復習。 30 分弱の休憩時間、研究室でお弁当の昼食。 12 時 30 分から「シミュレーション技法」の講義。 自己回帰過程と移動平均過程についてなど。 あとは研究室で雑務をして帰る。 夕食は御飯を炊いて、 鮭ハラスの散らし寿司を作ってみた。 鮭の皮も刻んで散らす。 大抵、私の「思いつき料理」は、 まあ不味くはないけど、あえて作るまでのことは… と言う感じになるのだが、これもそんな感じ。 鮭はやっぱり雑炊かお茶漬。

Tuesday, June 12, 2007

2003 年の北野ホテルにて

今日は祖母の命日。 いつでも昨年のような気がするのだが、実際は四年になる。 父から携帯電話に連絡があったとき、私は神戸の北野ホテルにいた。 しばらく前から入院していて、 いつでもおかしくなかったこともあり、ほとんど何の感慨もなかった。 すぐに来てもらう用もないと言うので、予定通りにホテルで次の朝を迎えた。 北野ホテルはその朝食で有名である。 大きなテーブルにかかった白いクロスに、 色々な形のパンを盛った籠、 不必要に様々な種類を取り揃えたジャムの小皿、 冷たいクスクスや果物を入れた白い皿が一杯に並び、 珈琲とミルクが入ったポットから微かに湯気がたっていて、 オレンジジュースのグラスはほんのりと汗をかき、 近くのテーブルからは茹で卵を鉄製の専用の道具で割るコツンと言う音がする、 と言うような朝の食卓は、 世の中で最も平和で幸福な風景の一つだろうと思う。 近所から朝食のために来たらしい、 つい何度も盗み見てしまうほど綺麗な母娘が、 少し遠くのテーブルにいた。 びっくりするほど綺麗な女の子と、 この子がこんな風に年をとったらいいな、と思うような女性だった。 きっとそうなるのだろう。 明るい日差しの中、 中庭で午後の結婚式か披露宴のためらしい準備をしているのが見えた。 ホテルの女性スタッフたちが百合や白い薔薇の花を抱えて、 右往左往していた。

祖母は孫や親戚の中で私のことが特別に好きだったようだが、 私自身は滅多に実家に寄りつかないし、 会ったとしても祖母とはお互いにまるで接点もなく、 いつでも話すことが何も思いつかなかった。 話すこともないもので、たまに会うと、 祖母は私をこっそり呼びつけて一、二万円ほどの小遣いをくれた。 こっそり、と言っても祖母だけがそう思っているだけで、 もちろん家族は皆、良く知っているのである。 他にお金を使うところもないし、 それだけが楽しみなのだから、と母が言うので、 いつも私は(そっけない態度でだが)ありがとうと言って受け取っていた。 同時に母はいつも、 私の妹が祖母からの小遣いを受け取らない、と愚痴をこぼすのだった。 むつかしことを言わんと、にこにこもろたったらええのに、と。 妹は妹で何がしかの屈託があったのだろう。 祖母の晩年、妹がふとしたときに、 祖母が一番に偉いと思う、と私に言っていた。 三代の女三人が暮らしていると色々あるのだろうが、 祖母はけして悪いことを口にせず、常に機嫌が良かった。 そのあたりのことかも知れない。 それに本当に仕事が好きやね、とも言っていた。

祖母は田舎のそのまた田舎の小さな村から一生ほとんど出ず、 それどころか畑仕事以外はほとんど家からも出ず、 ただ着物を縫っていただけで暮らし、 朝食の茶粥と径山寺味噌と、 三時のインスタントコーヒーだけが贅沢だった。 私はずっと祖母のことを特に何とも思っていなかったが、 最近は、妹が言っていたことを少し考える。 うまく言えないが、徳のある人だったなと思う。 もう少し、一緒に話すようなことがあっても良かった。 祖母の晩年にもそう思い始めていたのに、 亡くなる少し前、 意識のあった最後に病院で会うことができたときにも私は、 何一つ言えなかった。

Monday, June 11, 2007

a lay pilgrim

最近、朝方に一度目が覚めてしまう。年のせいだろうか。 今日もいい天気、でも今日は「入梅」らしい。 季節の移り変わりは早いね。あっと言う間に寿命が来そうだ。 朝食はトースト、林檎のコンポート、珈琲。 朝は講義の予習をする。昼休憩。郵便局に住民税を払いに行く。 私はサラリーマンなので特別徴収と言う名で天引きされているが、 調整額があるらしくて、その差額分の支払い。 差額とは言え、一度に払うにはかなり抵抗のある額。 しかし、分けたところで面倒が増えるだけだ。目をつぶって、 アナマンダラ・リゾートのスウィート・ヴィラに連泊できそうな額を一括で払った。 ついでに、今週末に東京であるチェストーナメントの費用も振り込んで、 本屋を少し流して帰る。

午後も講義の予習。今回はちょっと細部を詰めるのが面倒だった。 講義では「よって、明らかに…」とか、「定義より自明に…」と言って、 はしょるのだが、 一応念のために、私のノートの上ではちゃんと計算がしてある。本当だよ。 こういうのを何と言うんだっけ、仏を作って魂入れず?…違うな。

夕食はカルボナーラ風に鮭ハラスのパスタ。 夜の読書は、「池澤夏樹の旅地図」(池澤夏樹/世界文化社)。 私は文化人類学的な相対主義が嫌いだ。 百聞は一見にしかず、とか、経験しないと分からない、 とか言う経験第一主義も好きでない。 だから基本的に旅行記や旅エッセイとは相性が合わない。 しかし私の中にある定住生活やムラ的な暮らしへの怨念のようなものが、 時々それを上回ってしまう。

Sunday, June 10, 2007

射影の時間

6 時くらいに一回目が覚めたが、二度寝。 結局、10 時近くまで寝ていた。 今日もいい天気だが、いかにも不安定そうな雲行き。 食欲がなくて朝食は珈琲のみ。 家計簿をつけたりしている内に昼食。 近所のベンガルカレー屋。 ベンガル人が客と人生相談をしていた。 店の中から、5分間ほどざっと雨が通り過ぎて行ったのが見えた。 午後はあれこれ考えごとをする。 夕食は薬味と天滓のかけ蕎麦。 夜は講義の予習。

読書は「殿下と騎手」(P.ラヴゼイ/山本やよい訳/ハヤカワ文庫)を少し。

Saturday, June 09, 2007

空想のヴァカンス

9 時少し前に起床。昨夜遅くまで起きていたので寝起き悪し。 強い日差しがカーテンから差し込んでいる。 天気は良いが、いつ大粒の雨が降ってきても驚かないような、 不安定そうな空模様。 遅めの朝食は卵とベーコン、珈琲。 午前中からお風呂に入ってさっぱりする。と言うのも、 今朝寝台から降りたときにふと眼鏡のレンズを見たら、 細かい油ですっかり曇っていて、 焼き肉ってこんなに油が飛ぶものなんだ、と思ったから。 着ている服などは台無しになってしまうだろう。 昼食は汁ビーフンでエスニック調。

午後は読書など。 「偽のデュー警部」(P.ラヴゼイ/中村保男訳/ハヤカワ文庫)。 高校生の頃、読んだのだが、最近ラヴゼイを再読している。 ラヴゼイの代表作としては「マダム・タッソーがおまちかね」 を挙げる人が多いが、 私は「偽のデュー警部」が一番ラヴゼイらしくて、完成度も高いと思う。 映画化が決定していると訳者あとがきに書かれていたけど (当時 1983年)、そんな映画があったっけ? 時代はチャップリンがイギリスに凱旋をした 1921 年、 舞台はイギリスからニューヨークへ向かう豪華客船、 犯人が名探偵役を押しつけられてしまうドタバタ風味、 どれも映像化にもってこいな感じ。 しかし、 やはりラヴゼイらしくおっとりとしていて、かつ格調が高過ぎて、 昨今のハリウッド映画化には向かないかな、と言う気もする。

夕方、近所のワイン屋さんに注文していた品を取りに行き、 本屋で少し立ち読み。 そろそろバカンスの特集が雑誌の表紙を飾る季節。 もともと旅行が好きな方ではないが、最近、逃避の気分が高揚中。 今年の流行はモルディブですか… 南の島もいいけど、バスク地方なんてのもいいよな、 フランス側バスクの小さなホテルで二週間ほどのんびりしながら、 トレヴィニアンの「シブミ」でも読むのはどうだろう… 読書に飽きたらスペイン側のグッゲンハイム美術館に行ったりして。 ヴァカンスの夢を見ていても、どうにもならないよな、 と見切りをつけて、帰宅。 こういうのを何と言うのだったっけ… 酒は人を酔わさず人自ら酔い、色は人を迷わさず人自ら迷う? 違うな。 夕食は饂飩を茹でて、あっさり盛り饂飩。

Friday, June 08, 2007

野菜を焼く

やはり年甲斐もなかった。 うんうん、若いもんはどんどん肉を食べればよかろう、 私は隅っこのスペースでオクラとか茄子とかエリンギ焼いてるから。 こういうのを何と言うのだっけ… 船頭多くして船山に登る?違うな。

さ、今夜は「時効警察」の最終回でも観よう。

ああ神様、神様なんていないのね

9 時起床。珈琲だけの朝食。午前中は講義の予習。 昼食は蕎麦を茹でて、薬味でもり蕎麦。

昨夜、「神は妄想である」(R.ドーキンス/垂水雄二訳/早川書房)、読了。 大変に面白かった。アメリカとイスラム圏では焚書されかねないが。 この本が広く読まれれば、世界はずっとずっと良いものになるだろう。 昨日、帰りの電車の中で、 この本の最後のあたりを読んでいて、つい吹き出してしまい、 隣に座っていた人に変な目で見られてしまった。 「神」がどうしたとか言う題名の本を読んでいれば、なおさらだろう。 その箇所が以下の長い引用 (実際、吹き出したのは「それはとっても危ないわ!」のところ)。 ジュリア・スウィーニーと言う喜劇女優の「神様にさよなら」 と言う舞台の大詰めのあたりらしい。

……裏庭にある事務所から家に入ろうと歩いていると、私の頭のなかで、 ちっちゃなささやく声がしているのに気づいたの。 いつからその音がしていたのか、はっきりわからないけれど、 突然それが一デシベルくらい大きくなったのよ。 それは「神様なんていないのよ」とささやいたの。
私はそれを無視しようとしたわ。でも、そうしたら、ちっちゃな声がいっそう大きくなった。
「神様はいない。神様はいない。ああ神様、神様なんていないのよ」……
そこで私は身震いした。筏から滑り落ちていくような気がしたわ。
それから私は考えた。 「私にはできない。神を信じないことができるかどうかわからない。 私には神が必要なの。だって、世の中には歴史ってものがあるでしょ」……
「でも、私にはどうすれば神を信じないでいられるのか、 そのやり方がわからない。どうすればそんなことができるのか、 私にはわからない。どんなふうにして朝、目を覚まし、 一日をどう過ごしたらいいの?」 もうこのあたりでは気が動転してきて……。
それで考えたのよ。 「オーケー、落ち着きましょう。ちょっとのあいだ、 ほんの一秒だけ、神を信じないという眼鏡をかけてみることにしましょう。 神を信じない眼鏡をかけて、ちょっとあたりを見わたすだけで、 すぐにはずしましょう」。 そして、私はその眼鏡をかけて、あたりを見わたしたの。
ちょっと言うのがきまり悪いんだけど、最初は眩暈がしたわ。 実際にはこんなふうに思った。
「さあ、地球がどうして空に浮いていられるの? 私たちは宇宙を猛スピードで駆けぬけようとしているってこと? それはとっても危ないわ!」 私は走りだして、地球が宇宙から落っこちる前にこの手で捕まえたいと思った。
それから私は思い出したの。 「そうだわ、重力と角運動量が、私たちが太陽のまわりを、 多分長い、長いあいだずっと、旋回しつづけるようにしているんだったっけ」。

今夜は、年齢不相応にも「焼き肉食べ放題」に参加してきますので、 更新は遅くなるか、ひょっとしたらスキップします。

Thursday, June 07, 2007

手巻き寿司 / 封筒の問題、解答編

8 時起床。 珈琲だけの朝食をとって出勤。 早めの昼食をまた生協食堂でとって、 12 時半から「情報理論」の講義。 前回集めたアンケートにあった質問や要望について、 10 分間ほどかけて回答のあと、今日の講義。 エントロピィの簡単な性質など。 続いて、14 時過ぎから、卒研ゼミS。 マルコフ連鎖の定常分布について。 17 時に終了。事務の人が研究室にやってきて、対応。 たまたま質問の学生もやってきた。対応している内に、 18 時からの数理ファイナンスセミナの時間。 今日の発表者は S 沢君。 終了後、数ファ研お抱え料理人 K 君が腕をふるう食事会。 今日は手巻き寿司。 最後にサプライズ企画(?)として、 A 堀先生のバースデイケーキが出た。 学生からのプレゼントは A 堀先生が R 大に就任した年のワイン。 21 時過ぎに先に失礼する。 帰宅は 22 時半くらい。

昨日の封筒の問題の解答。 正しく封筒と中身が一致している数の期待値は 1。 これは封筒の数が 30 でも 100 でも(実際、いくつでも)同じ。 勘で正解できた人は、ランダムな現象について鋭い直感を持っている。 ギャンブルの才能があるかも知れない。 計算の仕方については、おそらく多くの人が以下のように考えてしまうだろう。 30 の封筒の中に 30 通の招待状を各々入れる方法は、 30 の階乗通り、つまり 30 x 29 x 28 x … x 3 x 2 x 1 通りある。 そしてこの内で一通だけ正しい封筒に入っているのは…通りで、 二通だけ正しい封筒に入っているのは…通りで、 と場合の数から確率を計算し、公式通りに期待値を計算することは、 原理的に可能である。しかし、数が巨大すぎてまともに出来るとは思えない。 ここまで考えて諦めてしまったのでは? ところが、この問題は以下のような驚くべき方法で解ける。 確率変数の概念と期待値の線形性というやや高級な (とは言え、高校で習うことになっている)道具を使うので、 興味のある人だけ読んでいただきたい。

一つめの封筒に正しい招待状が入っていたら 1、 そうでなければ 0 の値をとる確率変数を考えよ。 同様に二つめ、三つめ、…の封筒についても同じように考えて、 30 個の確率変数を用意する。 すると、正しく招待状の入った封筒の数とは、 これら 30 個の確率変数の和に他ならない。 この和の期待値が答であるが、 これはそれぞれの期待値の和に等しい。 各々の確率変数の期待値は明らかに 1/30 だから、 答は (1/30) x 30 = 1 。 もちろん、この計算は 30 と言う封筒の数に依存せず、 一般の N 通に対して答は、(1/N) x N = 1 となって同じ。
(専門家向けのコメント: これらの確率変数は独立ではない。しかし、 期待値の線形性は独立性と無関係に成り立つ。)

Wednesday, June 06, 2007

封筒の問題

7 時半起床。朝食は珈琲のみ。 昼食用にサンドウィッチを作って、すぐに出勤。 ウェストウィングの一階の自動販売機で買った菓子パンと 珈琲の朝食その二を研究室でとって、 午前中は修士ゼミ。 定常性についてなど。 研究室でサンドウィッチの昼食をとり、 12 時半から「シミュレーション技法」の講義。 偶然、朝の修士ゼミと同じテーマで、時系列解析での定常性など。 研究室で明日「情報理論」の講義で対応をするために、 前回とったアンケート(コミュニケーション・ペーパーとやら)を整理し、 15 時過ぎから一つ目の会議。 結局の実務仕事は私に振りかかってくるらしい。 こういうのを何と言うのだっけ…袖擦れあうも多少の縁?…違うな。 そのまま続いて、16 時から学科会議。 こちらは運良くも珍しく、一時間強で終わった。 久しぶりに生協食堂で夕食。

以下の問題は大変易しくも基本的だし、 勘の良い人ならあてずっぽうで正解できるが、 実際はかなり深い確率論の理解が問われる問題。

30 通の招待状と封筒の宛名書きを終えたあなたは、 各封筒に招待状を一通ずつ入れるよう友人に頼んでおいた。 しかし、部屋に戻ってきてみるとおっちょこちょいの友人は、 あなたが招待状の方にも心を込めて宛名を書いていたことに気付かず、 でたらめな順序で封筒に入れてしまっていた。 ここで問題。正しく招待状と封筒の宛名が一致しているのは、 30 通の内でいくつくらいあるか? その期待値(平均)を求めよ。 また、招待状が 100 通の場合ではどうか?
解答は明日。

Tuesday, June 05, 2007

無神論者の「嵐ヶ丘」

7 時半、起床。 寝台に糊付けされた体を引き剥すようにして起きる。 ゴミ出しして、朝食は珈琲のみ。 昼食用のサンドウィッチを作って(胡瓜とロースハム)、出勤。 キャンパスに到着するとバスの窓から、 案内所の中の机で勉強をしている講師の先生が目に入ったので、 ちょっと挨拶。 そろそろ大学辞めてデイトレーダーになるって噂だけど? いえ、おでん屋台です、などと歓談。 研究室でメイル仕事を一つやっつけてから、 卒研ゼミI。ベルヌーイ確率変数など。 30 分間の昼食時間を、 学科横断的にやっているランチセミナに、 サンドウィッチを携えて行ってみる。 どんなものかと思って。 発表時間 5 分とチラシに書いてあったが、 何かの間違いだろうな、と思っていたら本当だった。 基本的には特許手続関係の宣伝が主旨らしい。 折角出席したので、発表者だった情報学部のサラブレッド教授 N 嬢に、 分子コンピューティングの現状について質問だけして、 次の講義に向かう。 12 時半から「暗号理論」の講義。平方剰余など。 続いて、14 時過ぎから、卒研ゼミF。 単純ランダムウォークのマルチンゲール表現定理についてなど。 16 時前に終了して、次は 17 時からの会議までを、 研究室で読書。 「神は妄想である」(R.ドーキンス/垂水雄二訳/早川書房)。名著だ。 無神論者の一人として、ドーキンスの勇気を尊敬。 オカルト流行下の日本でも広く読まれるといいが。 17 時から教務委員会。 初めて委員になってみたら、 今年はたまたまカリキュラム改訂の年で大変なことになりそう。 こういうのを何と言うのだっけ。牛に引かれて善光寺参り…違うな。 議長が次の会議があるそうで、予定のたった 15 分押しで終わった。 帰宅して、蕎麦を茹でて食べる。そして、今。 お風呂でも入ろう。 その後、まだ元気があったらアイヨリでも作って晩酌しよう。

私はかつて、《デザート・アイランド・ディスク》というラジオ番組に 「今週のゲスト」として出演したことがあった。もし砂漠の島に置き去りにされるとして、 そのときもっていく八枚のレコードを選ばなくてはならないのである。 私が選んだうちの一枚は、バッハの「マタイ受難曲」からの「わが心よ、おのれを浄めよ」だった。 司会者は、宗教心のない人間がどうして宗教的な曲を選べるのか理解できなかったようだ。 キャサリンとヒースクリフが実際には存在しなかったことを完璧によく理解していながら、 どうして『嵐ヶ丘』を楽しむことができるのかと言っているようなものだろうに。
「神は妄想である」(リチャード・ドーキンス著/垂水雄二訳/早川書房)より

Monday, June 04, 2007

クールビズ

9 時起床。とは言え、なかなか寝台から降りられず。 朝食は珈琲、オレンジジュース、林檎のコンポート。 午前中はまだ朦朧とした感じのままメイルベースで仕事。 昼食は梅炒飯と韮玉。 午後は考え事をする。夕方になって、買い出し。 サンドウィッチ用のパンと具材などを買い求める。 夕食にはカルボナーラを作った。食後に珈琲。

大学から「クールビズの開始のお報せ」、と言うメイルが来ていた。 今日から 9 月一杯まで、ワイシャツにノーネクタイ、ノー上着にしろ、 と言う。 スーツを着ないでもよい、と言う自由ではなくて、 上の通りの服装にせよ、である。 折角、マルグリット・デュラスの「愛人(ラマン)」を意識して、 麻のスーツを作ったところなのに。(嘘。) しかも、「ビズ」だ。ビジネスなのだ。 大学教員は教育現場にふさわしい服装を心がけるように、 との注意もあったので、 環境保護にかこつけての風紀の引き締めだろう。 うーむ、いいタイミングで髪を切ったかも知れないな。

アダムス、駄目だったか…残念。 2004 年にカシムジャノフに 1 点差で負けたのがつくづく悔やまれる。 年齢から考えると、もうあんなチャンスはないかなあ。 だからこそ、つい応援したくなるのだが。 カールセンも、ジュディット・ポルガーも散ったし、 好きな棋士は全員敗退。 第二ラウンドの注目は、アロニアン vs. シロフと言うところか。 ここまでの戦いぶりを見るに、 最後に残るのはアロニアン、と予想しておこう。 だからシロフを応援。

Sunday, June 03, 2007

机上のエントロピィ

Coq au vin

まあこんなもんかな… どうせ食べるのは自分なので、面倒で面取りとかしてません。 勿論これだけでは量が足りないので、 パン、ポテト、ソースはお代わり自由となっております。

Saturday, June 02, 2007

Mad Hatter's Holiday

10 時近くまで寝てしまった。 昨深夜、「時効警察」を観た上に(来週は最終回)、 本を読んでなかなか寝付けなかったから。 朝食は珈琲とトースト。昼食は蕎麦とだし巻き。

午後は少し考えごとなどをする。 眠くなってきたので、 コック・オ・ヴァンの仕込みをして(一晩漬け込み。明日は昼も夜もコック・オ・ヴァン)、 林檎のコンポートを作る。 私は飲み残しのワインを集めておいて料理用に使っている。 いつの間にやら随分とたまっていたのを一気に消費するためのメニュ。 そんな都合もあって、 コンポートはほとんど白ワインで煮て、 香りと色を足すために少し赤を使った。 コンポートを冷ます間に買い出し。 近所のワイン屋に注文してあったものを受け取り、 本屋で新刊書を見たりして帰ってくる。 コンポートを容器に移して冷蔵庫に保存。 お風呂上がり用のつもりだが、食欲のない朝にもいいかも。 夕食は昨夜の冷や御飯で葱の炒飯と、冷奴。 食卓に麺類が多くなる季節でもあるが、冷奴が多くなる季節でもある。 豆腐も私の好物の一つ。基本的に食の好みが安上がり。

長々とお風呂に入って、湯船で読書。 「帽子屋の休暇」(P.ラヴゼイ/中村保男訳/ハヤカワ文庫)。夜も続き。 ラヴゼイは好きな作家の一人。 名ストーリィ・テラーでもあるが、 斜め読みしていると飛ばしてしまいそうな、 ちょっと、あれっ、と思う捻った文章表現に特徴がある。

Friday, June 01, 2007

大きなつづらに小さなつづら

8 時起床。今日も良い天気、洗濯日和だ。 朝食は珈琲だけ。 何となく Google Reader を試しだしたら、 小一時間経っていた。反省。 それどころか、もうちょっとで、 新しいフリー版 ChessBase までインストールするところだった。 一週間分の洗濯をしながら、講義の予習。 昼食は御飯を炊くのが面倒で、冷やし饂飩と韮卵。 饂飩は薬味と天滓。韮玉はチヂミ風に作った。

午後はもうちょっと講義の準備。 今日は京大セミナが休みなので、 その後は押入の整理など家事。 小さな箱が一杯入った大きな箱が出て来て、 いかにも怪しげなオーラを放っている。 実際、おかしなものが色々出てきた。 赤いガラスをはめた銀の指輪とか、 誰からもらったのかも忘れたガラス細工の蜘蛛とか、 いかにも安物っぽい蜥蜴のブローチとか。 この指輪って、確かずーっと昔、 私がちょっと評判の美青年だったころ(本当だよ、嘘じゃないんだ)、 画廊で知り合いになった宝飾デザイナのおばさんに気に入られて、 作ってもらったんだっけ、 とか一つずつ回想していたら、あっと言う間に時間が経った。 関係ないけど、347 円分の小銭も出てきた。 こう言うのを何と言うのだったっけ…花より団子?

珈琲豆が切れそうだったので、夕方、買い出しに行く。 私はワインが切れてもそれほど困らないが、 珈琲が切れると何も手につかなくなって、 ただのナマケモノになると思う。 既にただのナマケモノにかなり近いのは確かだが。 少し書店に立ち寄って、新刊書など眺めてから帰宅。 夕食は御飯を炊いてだしを引き、 ソーセージに野菜つけあわせ、豆腐と長葱の味噌汁。 夜は読書など。通貨と債券のディーリングについての本。