夏の終わり
今日で八月も終わり。まだやや蒸し暑いとは言え、夕方にはもう秋だなと思う。 時々、虫の声が聞こえる。 八月の最後の日をどう暮らそうかな、と思って色々考えたのだが、 結局、ひっそりと家でお酒でも飲みながら本を読むことにする。 遅い昼寝をした後、お風呂に入り、じゃが芋を茹でつつ、 白ワインを飲みながらクイーンの「盤面の敵」 (青田勝訳/ハヤカワ・ポケット・ミステリ 901)を読む。
この小説では、 章の各タイトルが全てチェスに関係した名前になっている。 これがなかなか本格的であることに今さら気付いた。 と言うのも、子供の頃、文庫版で読んだ当時は、 チェスをそれほど知らなかったので気付かなかったのだ。 例えば、「Yのギャンビットは応じられない」 (原文は Y's gambit declined ?)、 「空いている縦の筋」(原文は open file ?)、 「発見された王手」(原文は discovered check, つまり「開き王手」に違いない!)、 「孤立したポーン」(isolated pawn だろう)、 「組み合わせ」(combination だろう)などなど。 誤訳と言うほどでもないが不適切と思われるこれらの訳は、 ひょっとしたら意図かも知れない。 それはさておき、エラリィ・クイーンはかなりチェスを知っていたようだ。 この "The Player on the Other Side" が出版されたのは 1963 年だから、 アメリカではフィッシャー・ブームが始まっていた頃か。